[ 天河砂粒-Diary? ]

2004年06月11日(金) 煽りだけ書きまショー第2弾『rainy-day-dream』

注意:
これは、「煽りや一話にあたる部分だけ書いてみよう」という、橘さんがその昔、創作日記で公開されていた企画であり、基本的に続きは書かないという無責任でふざけたコーナーの、第2弾です。
くれぐれも、そのつもりでお読みください。



 5月。ゴールデンウィークも開けたばかりの、爽やかな新緑の春に。街は早朝から、きめ細やかで柔らかな雨のベールに覆われていた。
 雨水を弾いて、艶やかに光る緑。しっとりと濡れて、色を深めるアスファルト。まるで、雨が周囲の音を吸収して、そっと地面に流していくように、街は穏やかな静寂に満ちていた。
 そんな、優しく雨に霞む街を。
 満井克利(みついかつとし)は、ぼんやりとした足取りで、学校に向かって歩いていた。
 今日もまた、徹夜してしまった。オンラインゲームにハマってからというもの、睡眠はすべて、授業中にまかなっている。寝ていないわけではないので、体調的には今のところ不具合を感じないのだが、最近、顔にはっきりとした寝不足マークが出ていることを、克利は自覚していた。
 自棄になっている部分もあるかもしれない。
 傘に降り積もる雨の滴を、意味もなく振り払いながら、克利は思う。
 今ひとつ冴えなかった中学時代。高校進学を機に、バラ色の青春生活を謳歌してやろうと、春休みのうちからイケメンファッション雑誌を読みまくり、なけなしの小遣いをはたいてヘアカットもし、爽やかな笑顔、自然な挨拶、ポップでクールな会話術さえも、独学で練習し。さあ、今ここに高校デビューだ。と、気合いを入れて登校した入学式初日。
 緊張と期待を胸に踏み込んだクラスには、中学時代、学校で一番のモテ男と言われた河井拓人(かわいたくと)が、年代物のモテモテオーラを身にまとい、既に、クラスの女子の視線を集めていたのだった。
 アレが同じクラスで、俺に光が当たるはずがない。
 がっくりとうなだれた克利の予想通り、入学してから今日までの1ヶ月間、女子に遊びに誘われたことは一度もなかった。コンパがなかったわけではない。モテ男河井は、毎日のように女子とカラオケに行っているという話も聞く。
「なんつーか、やる気失せるよなぁ」
 ぼやきながら、ふと、通りの脇に目をやった克利は、目に飛び込んできた光景に、思わず足を止めた。
 静かに降り注ぐ雨の中。小さな三つ葉のクローバーを傘代わりにさして。体長10センチ程の少女が、小さな水溜まりで遊んでいる。
 何だあれは。妖精か? それとも、新種の人型昆虫か?
 ありきたりな行動だと思いつつも、手の甲で目をこすって見たりして。
 いや、ここは常識的に考えて、徹夜明けによる幻覚と判断する方が……?
 超高速で駆けめぐる、取り留めない思考を脳みそ内で回転させながら、克利は鞄からカメラ付き携帯を取り出した。
 楽しそうに、足先で水を蹴り上げている人型昆虫に向かって、カメラを構える。
「ぴんぽろぽろり〜ん♪」
 緊張感の無い音が、雨の中にこだました。
「!」
 その音に、人型昆虫が、驚き振り返る。
 オフホワイトのワンピースが、やわらかく、ふわりと揺れる。光沢のある髪は薄水色で。くるくるとした丸い瞳は、海の色を思わせる、濡れて輝く深い青。ノースリーブのワンピースから伸びる人形のような白い肌は、見るからにみずみずしい。そんな、幼くも整った顔立ちをした小さな美少女は、振り返って、克利の手に握られているカメラ付き携帯を見るなり、鈴の音がなるような、小さく可愛らしい声でこういった。
「おい、何勝手に撮ってやがんだ。ええ?」
 ガ、ガラ、悪……。
 あまりのギャップに脱力を禁じ得ない克利の胸元に、ぴょーんと飛びついて。
「そういう行為は盗撮ってんだぞ。わかってんのか? ったく、何処でも誰でも勝手に写しやがって。少しは常識ってもんをわきまえたらどうなんだ? ああん?」
 髪の毛が揺れるたびに、ほんのりと香る、甘い香り。艶やかに光る、小さな唇。吐き出される、乱暴な言葉。
「……」
 幻覚にしては、リアルだし。第一、外見と言葉のイメージが違いすぎる。
 何なんだ、これは。夢か?
 判断できずに、傘をさすのも忘れて胸元を見下ろす克利に、外見だけは可愛らしい小さな生き物は、延々と説教を続けたのだった。

 コードネームは「彼女が欲しい!!!」
 水色人型昆虫と、高校デビュー失敗男の、学園ラブコメディ
 『rainy-day-dream』
 近日公開!……の予定はありません。

 ……うーん。
 思いついたときは、おお! 良いじゃん、萌え萌えじゃん!?
 と、思っていたんですけれども。
 書いてみると、あんまり面白くないですね。……困った。
 まあ、いいか。いいよね。掌サイズ(謎)

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三紀藍生 [Mail] [Home]

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