感想メモ

2018年09月30日(日) 透明なゆりかご

 沖田×華のマンガが原作のNHKのドラマ。

 看護師を目指すアオイ(清原果耶)は、アルバイトの看護助手として由比産婦人科に勤めることになる。

 初めての病院での仕事は、中絶手術に立ち会うことだった。中絶は数多く行われており、死因のトップだということを知り、驚きつつも、院長の由比(瀬戸康史)、看護師長の榊(原田美枝子)、先輩看護師の紗也子(水川あさみ)のもとで、様々な体験を重ねていくアオイ。

 そんなアオイは、発達障害と診断されていて、幼い頃はそうとは知らない母・史果(酒井若菜)から怒鳴られながら育った。父とも離婚して、母一人子一人の生活を送っている。

 アオイの視点から様々なケースを見て、毎回考えさせられる内容になっていた。子供がほしくても授からない人がいれば、子供が多すぎて育てられず中絶をする人、中絶手術にお金が払えず、わざわざ田舎の病院まで行く人、育てられない赤ちゃんを捨てる人もいれば、せっかく授かった赤ちゃんに先天的な病気があり、長くは生きられないケースもある。また、いまだに出産時に母親が死んでしまうケースもなくすことはできず、出産というものはやはり命がけなことであると思う。

 妊娠は病気ではないけれど、そのせいで病気になったり、最悪の場合には、死ぬこともある。

 授かった命、無事に五体満足に生まれてくれた命は、本当に貴重で大切なんだなーと改めて思い、自分の子供を大切にしないとね…とも思うのであった。

 アオイ役の子のひたむきさが本当によかった。



2018年09月29日(土) 半分、青い。


 NHKの朝ドラ。北川悦吏子脚本。主題歌は星野源「アイデア」。

 子供時代にムンプス難聴を患った鈴愛(永野芽郁)は、岐阜の梟町で高校までを過ごす。父・宇太郎(滝藤賢一)は母・晴(松雪泰子)とともに食堂を営んでいる。

 鈴愛と同じ日に同じ病院で産まれたのが律(佐藤健)。写真館を営む父・弥一(谷原章介)、それをやさしく見守る母・和子(原田知世)の下、天才肌だが、喘息持ちであまり友達づきあいがうまくない少年時代を過ごす。

 そんな律のことを一番理解しているのが鈴愛であり、高校に入ると、小学校時代からの親友・ブッチャー(矢本悠馬)、菜生(奈緒)とともに梟会という会を作り、喫茶店に入り浸る日々を送っていた。

 高校を卒業し、それぞれの道に進もうというとき、律が貸してくれた秋風羽織(豊川悦治)のマンガに感銘を受け、漫画家になることを決意。母の反対を押し切り、東京のオフィス・ティンカーベルへ。

 そこで出会ったのは、同じく漫画家を目指している裕子(清野菜名)とボクテ(志尊淳)、秋風羽織の秘書・菱本(井川遥)。紆余曲折の末、鈴愛は念願の漫画家デビューを果たすが…。

 普通の朝ドラなら、主人公が漫画家を目指したら、漫画家になる…というストーリーだと思うのだけれど、今回の場合は、主人公は漫画家デビューを果たすものの、才能の枯渇に悩み、結局漫画家をやめるという選択をする。

 そして、東京の100円ショップで働き始める。その頃、頼りにしていた律は鈴愛に交際を断られたショックから別の女性と結婚してしまい、鈴愛は絶望に打ちひしがれている。

 そんな時に出会った涼次(間宮祥太朗)は映画監督を夢見る青年。自分が果たせなかった夢をかなえてもらえるように応援したいと思った鈴愛は涼次と結婚。一児をもうける。

 苦しい生活の中、涼次にチャンスが巡って来る。そのときに涼次が取った行動は、妻子を捨てて映画にかけるというものだった。鈴愛は離婚し、実家の梟町へと戻る。

 律もまた、苦しい結婚生活を送っていた。母が病気で長くないこともあり、律は一人で実家に戻って暮らしていた。

 実家に居場所がなくなっていた鈴愛は食堂の2号店を開店し、祖父・仙吉(中村雅俊)の名物・五平餅を受け継ごうと思う。

 しかし、娘がスケートをやりたいと言い出したことから、再び東京へ…。

 そして、さらに年月が過ぎ、律も離婚し、東京で一人暮らしを始める。鈴愛は一人で色々なものを発明し売るような仕事をしているが、律との距離が縮まっていき、二人で事業を始めることに。

 と、紆余曲折があって、最後は結局律と鈴愛は結ばれるだろう感じで終わる。

 途中のナレーションとかから、多分最後はこうなるだろうなーとは思っていたのだけれどね。まあ、終わり方としては悪くはなかったと思うのだけれど、でも、最終回なのに結末がわからずじまいなことが多すぎた。

 二人が発明した扇風機は結局売れるのか? そして、二人の会社は反映していくのか? 鈴愛の娘のスケートはどうなったのか? 転校させたのか? 津曲(有田哲平)の息子はどうなったのか? 

 この後、続編でも作れそうな勢いで、いろんなことが投げっぱなしで終わってしまったような気も。

 登場人物の思考や行動が急すぎて、どうしてこんな展開に?と思うような無理な部分もあったし、セリフの中には、こういうことは言わない(放送しない)ほうがいいんじゃ?と思うような部分もあったし…。

 そのたびに引っかかるところもありつつも、やはり律役の佐藤健がかっこよくて、いい感じで、つい見てしまった感じ。鈴愛役の子もメイクをするとすごいきれいなのに、最初の方、ホントにかわいくなく描かれていてかわいそうなぐらい。

 でもまあ、色々悪目立ちするようなところもあったけれど、時々登場人物がいいことを言うので、きっと脚本家はこれを書きたかったんだと自分を納得させる。

 朝ドラとしては、冒険的なことの連続だったような気がするけど、最後まで二人がどうなるのかを引っ張って見せ続けたのは、最終回が回想シーンばかりの脚本家に比べたらよかったのかもしれない。



2018年09月24日(月) 過保護のカホコ2018~ラブ&ドリーム


 「過保護のカホコ」の続編。

 初(竹内涼真)と結婚して1年。過保護に育ったカホコは、念願だった子供たちのための施設「カホコハウス」を作り、正興(平泉成)、多枝(梅沢昌代)、教子(濱田マリ)とともに何とか運営していた。

 しかし、家の中は大荒れの状態。家事はうまく回らず、洗濯物は山積み、洗い物も山積み、ストック品の買い置きもなくて、切れてしまったり…。とにかくカホコの手際が悪すぎるのだ。

 相変わらず初の絵は泣かず飛ばずの状態で、祖父の福士(西岡德馬)と何とかばあば・初代(三田佳子)の家で暮らしていたが、八方ふさがりの状態。

 仲の良かったはずのカホコの親戚たちの仲にもひびが入りつつあり、両親(黒木瞳・時任三郎)も離婚すると言い出す。母・泉はカホコのことが気になって子離れできておらず、ちょくちょくカホコの周りに出没するし…。

 果たして、カホコは家族の問題を解決できるのか? そして、カホコハウスに来ている保(横山歩)は、奔放な母(映美くらら)に振り回されていたが、保を何とかできるのか?

 カホコの持ち前の明るさとパワーで、家族の問題や周囲の問題を解決していく…という話。

 面白く見ることはできたけど、家の中が悲惨すぎるな…。初や福士も一緒に生活しているんだったら、少しは家事分担したらどうなんだ?って思うけども…。

 実際に家の中がこんな状態だったら、家庭も荒ぶよなーと思うのだけれど…。

 まあ、そこは固いこと言わないで見るのがよし…。



2018年09月22日(土) 騎士団長殺し  村上春樹


村上春樹 新潮社 2017

STORY:
ユズと離婚をすることになった肖像画家の私は、車で家を出て放浪の旅へと出かける。友人から高名な画家の父の家に住んでもらえないかと打診を受け、私はその家に住むことになるが、不思議なことが起こり…。

感想:
 村上春樹好きの義弟より貸し受けたこの本は第一部と第二部に分かれていて、2冊ぎっしりと文字が書かれている。

 私は大学時代に村上春樹の本を1冊手に取って、合わないとずっと読むのを避けてきたのだが、この本はとっつきやすい(?)かもと言われて、借りてみた。

 図書館の本がちょこちょこ入ったりして、読み進めるのに時間がかかってしまったけれど、ようやく読み終わった…。

 しかし、村上春樹…。よくわからない作家だ。不思議な話の人なのかな?

 この「騎士団長殺し」は、高名な画家・雨田具彦(ともひこ)の家に主人公の私が住むことになったことによって起こる不思議な話を描いたものだ。

 あとからプロローグに戻ると、この話、まだ完結ではないのだなと思う。

 物語は私が昔を回想する形で始まるが、プロローグはその現代なのだと思う。そして、現代でも、この不思議な事象が何だったのかは、私本人にもわからないでいるということなのだろう。

 雨田具彦が生前に描いて公にしなかった「騎士団長殺し」という作品を私は屋根裏で見つけ、その封印を解いてしまう。そのときから不思議なことが起こり始める。

 肖像画家をやめた私だったが、近所に住む免色(めんしき)という男から肖像画の依頼を受ける。依頼を引き受けることにした私だが、夜中に鈴の音がして、眠れなくなってしまう。

 どうやら祠のようなところの下から鈴が鳴り響いているようだ。この話を免色にすると、免色は業者に頼んで祠の下を掘り起こそうと言い出す。掘り起こした穴の中には確かに鈴があったが、誰も中にはいなかった。

 そして、その頃から、「騎士団長殺し」の騎士団長の姿かたちをしたイデアが現れ出す。イデアは形を持たないので、騎士団長の体を借りているらしい。

 免色が肖像画を描かせたのは、実は私が友人に頼まれた絵画教室に秋川まりえが来ているからでもあった。秋川まりえは免色がかつて付き合っていた恋人の子供だが、もしかしたら自分の子供かもしれないというのだ。そのことをまりえに言うつもりはないが、まりえと会話を交わしたいという気持ちが免色にはあった。

 しかし、まりえは行方不明になってしまい…。

 人の強い思いは現実になりうるっていうことなのかなー。不思議な話で先は気になるけど、なかなか進まなかったし、あんまり相性がよくないのかな。それと、村上春樹の文体は何となく翻訳小説を読んでいるような気分にさせられるのはなんでなのかな…。



2018年09月20日(木) 義母と娘のブルース


 綾瀬はるかが好きなので、見ることにしたドラマ。

 亜希子(綾瀬はるか)は、仕事人間で、仕事以外のことには興味のなさそうなタイプだった。しかし、宮本良一(竹野内豊)と結婚し、専業主婦となって義理の娘・みゆき(横溝菜穂)を育てることに。

 最初はみゆきになかなか打ち解けてもらえない亜希子だったが、持ち前の粘り強さで、次第にみゆきと打ち解けていく。

 そんな時、良一が倒れて、あっけなく死んでしまう。実は、亜希子は自分が病で先が長くないと思った良一にみゆきの母になってくれるように頼まれて良一と結婚したのだった。

 亜希子は良一の死後もみゆきとともに暮らすことに。仕事はせず、家にいつもいて、みゆきをサポートする。

 そんなみゆき(上白石萌歌)も高校3年生となり、進路を決める時期に来ていた。みゆきが自分が家にいることで仕事に対する情熱が持てないのでは?と思った亜希子は、近所のパン屋で働くことにする。

 昔は流行っていたパン屋は、息子である麦田章(佐藤健)が継いでからはいい加減なやり方が災いして、流行らない店へと成り下がっていた。その店を繁盛店にするべく亜希子は奔走する…。

 第一部は、小学生のみゆき、そして、第二部は高校生のみゆき。義母の人柄が面白かった。第一部では第二部に繋がるとは思ってないから、お父さん、死んじゃうのかな…、お涙ちょうだいものなのかな?って思ったけど、そうじゃなかったのね。

 クスッと笑えたり、ほろっと泣けたり、バランスもよかったね。やっぱり綾瀬はるか、いいなぁと思った…。



2018年09月17日(月) グッド・ドクター


 幼い頃に兄を不慮の事故で亡くし、「大人になれない子供を減らしたい」と小児外科医を志した新藤湊(山﨑賢人)。

 しかし、彼は生まれつきコミュニケーション能力に障害があるサヴァン症候群だった。抜群の記憶力があるものの、コミュニケーション能力が欠如する湊に小児外科医が務まるはずはないと周囲は否定的であるが、東郷記念病院の院長・司賀(柄本明)の推薦により、東郷記念病院で働くことに。

 東郷記念病院は経営が思わしく行かなくなっており、父から病院を受け継いだ東郷美智(中村ゆり)は、経営陣の猪口(板尾創路)から老人向け療養病院への転換を迫られていた。それには、採算の取れない小児外科と産科をまず最初になくすというのが、援助の条件となっていた。

 小児外科医の髙山(藤木直人)は湊にきつく当たる。他の医師たちも湊には否定的だ。そんな逆風をよそに、湊の面倒を見ることになった瀬戸(上野樹里)は、次第に湊のよさに気づいていく。また、子供たちも湊を慕っていき…。

 子供たちは病気で入院しているけれど、それぞれに明るく毎日を過ごしていたり、助けられる命もあれば、助けられない命もあったり…。

 子供たちが闘病する様子は子を持つ親になって見ると、余計に辛く…。

 山﨑賢人の演技は非常にうまかったし、上野樹里も「のだめ」のイメージがなくなり、しっかりした悩める女医を演じていたと思うし、各話の内容もよかったのだが、この後の病院の経営はどうなってしまうのだろうと、そこだけがちょっとひっかかってしまった。

 小児外科はこのまま存続し、病院も安泰でいられるのだろうか? そこの描写までやってほしかったなー。それとも続編を作るつもりなのかな?



2018年09月07日(金) おもかげ  浅田次郎


浅田次郎 2017 毎日新聞出版

STORY:
孤児として生まれたが、自力で大学に進学し、大手商社に入社。結婚し、二児の子をもうけ、一人を嫁がせ、孫も生まれ、定年の日を迎えた竹脇正一は、祝賀パーティーの帰り道に地下鉄で倒れ、病院に担ぎ込まれるが…。

感想:
 大手商社で定年まで勤め上げた正一は、これから妻とともに旅行でもしようかと思っていたが、祝賀パーティーの帰りに地下鉄で倒れて、意識不明となる。

 妻や、娘の婿、同期で社長まで上り詰めた男、同じ施設で育った男などが、それぞれの思いを持って病院に見舞いに訪れる。

 しかし、正一は不思議な体験をしていた。次々に現れる女性とともに、食事をしたり、色々な話をしたり…。

 それは正一の生まれと関係があるのかもしれなくて…。

 死ぬ前は動けなくても声は聞こえるとよく聞く。この話の中でも、正一は妻の声を聞く。しかし、動くことはできないから、正一にその声が届いているかは、妻にはわからない。

 物語は正一の死では終わらないし、少し希望を持たせるような終わり方だった。人が死ぬ前にどうなるのか、そして、死後、どこに行くのか、それはわからないけれど、こんな風な世界もあるかもしれないなーと思わせる作品だった。

 浅田次郎って地下鉄が好きなのかな? よく作品に登場するような気がする。


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