酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年04月29日(金) |
『犬夜叉』11~15 高橋留美子 |
いつの間にか仲間が増えた犬夜叉とかごめ。愉快な(?)仲間たちと砕け散った四魂の玉のかけらを集め続ける。その先々で現れる宿敵・奈落。そして桔梗。奈落と桔梗の間に起こった因縁とは・・・?
うーむ。この路線っていつの世にも健在なのよね。仲間が集っていくってたまらん感じが好き。しかし私がかつて愛したアノ漫画に激似な気もするけれども(苦笑)x
お気にいりキャラ6:タヌ公 なぜだか弥勒の使いっぱな狸がキュートv お気にいりキャラ7:刀々斎 犬夜叉と殺生丸の刀をつくったじいちゃん
2005年04月28日(木) |
映画『Shall we Dance?』 |
周防監督との出会いは『ファンシィダンス』でした。主人公の修行僧を本木雅弘(漢字あってるかしら)が演じて、彼の役者としての魅力にハジメテ気づきました。それまでモックンはジャニ出のただ顔がいいだけの奴って感じていた事はヒミツです(笑)v そのあとそのモックン主演の『シコふんじゃった。』で俄然周防監督に興味を持ったのです! ジャァーン! そして『Shall we ダンス?』で周防監督にノックアウト喰らっちまったのでありました。ふふふ、前振り長いな(苦笑)v その『Shall we ダンス?』がハリウッドでリメイク。主演はあのリチャード・ギア。いくつになってもダンディなリチャード・ギアが素敵で素敵で。もうめろめろにめろりんぱ。リチャード・ギア扮するジョン・クラークは家庭でも職場でもチャーミングな男性だが、心になにか足りないものを感じていた。その彼がめぐり合った美しい女性と社交ダンス。恥ずかしいとコソコソしていたジョンが次第に生き生きと輝いてきて・・・この輝きっぷりが絶品。あぁっ、思い出しても身もだえしちゃう~。 日本版とハリウッド版は微妙に異なるシロモノです。日本とアメリカの違いを見ることができます。中でも男と女の形。日本の女性がよその国の男性に熱をあげる意味がここでも垣間見る事ができると言えましょう。そこのところこの映画で研究したまえ、男性諸氏。 続けて2回観ましたが、2回とも泣いた。泣いた。泣きましたぁ~。映像のため息がでるほどの美しさや登場人物の心の動きやユーモアに泣けたの。中でもラストの薔薇からは圧巻。泣きっぱなしでした。超オススメv
2005年04月27日(水) |
『犬夜叉』6~10 高橋留美子 |
半妖怪の犬夜叉は50年前に巫女・桔梗の手によって封じられていた。桔梗の生まれ変わりらしいかごめの手によって封印を解かれた犬夜叉は砕け散った四魂の玉のかけらを集めている。桔梗は何故50年前に犬夜叉を裏切り、封印したのか・・・?
今回7巻でまたまた美しい兄じゃ殺生丸が復活。やっぱりこの手のキャラは必要よねぇ。犬夜叉がどんどんかごめに手なづけられていく様が笑えます。あと桔梗と犬夜叉のはかない恋が哀しいなぁ・・・ 顰蹙かもしれませぬが、実写の時にはキムサマに犬夜叉を演っていただきたい(ポポポ)w
お気に入りキャラ3:弥勒 C調なお坊さま 笑えますv お気にいりキャラ4:珊瑚 きりりとした美少女。うっとりv お気にいりキャラ5:雲母 こんなペット欲しいなぁ。
2005年04月26日(火) |
『犬夜叉』1~5 高橋留美子 |
日暮かごめ15歳。神社の娘のかごめは隠し井戸から落ち、戦国時代にタイムスリップ。かごめは封印されていた半妖・犬夜叉を解き放ってしまう。犬夜叉はかごめが手にした四魂の玉の力で完全な妖怪になろうと・・・?
おもしろーい! 親友の娘(小学生)から貸してもらった犬夜叉。母親から私の話を聞いて観察していたらしい娘が私にはコレをと貸してくれた漫画。いやーこんなに面白い物語だったのね。妙な笑いがプププっと出てしまうところがよいでするーv
お気に入りキャラその1:殺生丸 犬夜叉の兄ちゃん かっこええーv お気にいりキャラその2:七宝 キツネの七宝ちゃんかわええーvv
2005年04月25日(月) |
『君たちに明日はない』 垣根涼介 |
村上真介三十三歳、日本ヒューマンリアクトというリストラ業務を請け負う会社の面接官。さまざまな会社に出向き、いろいろな人々を辞めたい方向へ追いこむ。不景気な御時世にリストラされてはたまらない人たちとの攻防戦、リストラ対象者の女性との恋愛。かつてバランスを取りながら、いい加減に仕事をし、リストラされた過去を持つ真介の新しい生き方・・・
これはすっごく面白かったですっ!(鼻息荒くてよ、フンフンフンッ) 垣根涼介さんは個人的には当たり外れの大きい作家さんだなってイメージがあります。でもこれは絶賛だった『ワイルドソウル』に負けないくらい好きでしたねー。登場人物の心情が非常によくわかるから。働くって本当に大変なことなんですよね。うんうん。またヒロインの名前が‘陽子’だったものだから、すっごく感情移入して読んじゃいました(笑)v かなーりオススメvv
実を言うと陽子は小心者だ。自分でも分かっている。そして小心者には、意外に怒りっぽい人間が多い。あれこれとロクでもない想像をついアタマの中で先走りさせ、その妄想に感情が振り回されるからだ。
『君たちに明日はない』 2005.3.30. 垣根涼介 新潮社
2005年04月24日(日) |
『さよならの空』 朱川湊人 |
オゾン層は有害な紫外線を防いでくれるバリアー。フロンなどの影響でオゾン層に穴があき、オゾンホールとなる。そのオゾンホールの拡大を防ぐために開発された化学物質ウエアジゾン。しかし人類を救う代わりにウエアジゾンは夕焼けを消し去ってしまう? 開発者テレサは日本へ向かい、やらなければならないことを密かにはたそうと・・・
夕焼け。見ていると哀しくてせつなくて、家に帰り母の顔を見ると安堵する。そんな小さな頃のことを思い出しました。有害な紫外線から地球を守るために開発された化学物質が夕焼けを消してしまう・・・化学物質を開発した科学者自身も夕焼けの思い出と過去に思い悩み日本で無謀な行動を起こす。そこから不思議な事件に巻き込まれていくのですが、・・・泣きました。私も会えるのかしら。うう。
二十七歳の夏、突然人恋しくてならなくなった夜。 死んだ恋人は、生身の自分を抱き寄せてくれる腕を持たない。死んだ恋人は、写真の中で同じ笑顔を浮かべ続ける以外のことは、何もしない。それが苦しくなる時が、肉の体を持つ人間には確かにある。 「誰だって、きれいごとばかりじゃ生きていけないのよ」
『さよならの空』 2005.3.25. 朱川湊人 角川書店
2005年04月23日(土) |
『聖者は海に還る』 山田宗樹 |
梶山律はひとり息子を抱え、陵光学院で養護教諭(保健室の先生)をしていた。校長の方針の有名大学に入れてみせるという惹句にひかれ、エリートたちが集まっている。律は前に務めていた学校の生徒達の荒れ方を見ているだけに、ここの生徒達の聞き分けのよさは不気味ですらあった。ある日、生徒の一人が切れ、教師を射殺し、自分も自殺。衝撃を受けた学校側は、カウンセラーを招聘する。彼によって生徒や学校スタッフは救われるのか・・・?
面白かったです! ちょっとだけひっかかる部分も無い訳ではないのだけど・・・それでも展開のうまさにドキドキしました。ま、私はとにかく山田宗樹さんはかなり注目してますからv 心ってなんでしょう。壊れた心、壊れていく心、でもその基準値はどこにあり誰が決めるのだろう。生きてる人だけ心はあって形も色も違うハズ。その心を治すとか癒すとか救済するとか、果たして人間に可能なのでしょうか。うさん臭い宗教を盲信してしまう心もわからないではないのよね。自分の心の形や色やありようを考えてしまったのでありました。オススメv
言葉はね、人を傷つけることもあるけど、人を救うこともできるんだよ。わたしたちは、人を傷つけたり、傷つけられたりするけど、どこかでそれを補いながら、背負いながら、生きていくしかないんじゃないかな。それで、いいんじゃないかな。
『聖者は海に還る』 2005.3.25. 山田宗樹 幻冬舎
2005年04月22日(金) |
『名探偵症候群』 船越百恵 |
13日の金曜日、仏滅。しかし相原茅乃には関係ないっ。32歳にして恋人からプロポーズを受けるのだ! 勢い込んでデートに出かけた茅乃に彼氏が言った言葉は「別れよう」のひとことだった・・・。傷心の茅乃に母からの無情な指令。幼馴染で永遠のライバル花連の結婚パーティへ彼氏を連れて出席すること! 別れたばかりでどーすりゃいいのよ、とほほ。そして急遽あつらえた(笑)素敵な恋人‘役’と田舎へ向うのだが、そこで事件が発生し、茅乃は名探偵宣言をして!?
とんでもなくハイテンションな始まりで、最初はとまどいがちでした。これはひょっとすると相性悪いか?・・・と思いつつ読みすすめると結構面白く読了できましたv コメディちっくで最後のほうは笑いながら読んでましたvv なかなか面白く読めると思いますよ?
『自分で自分のことを嫌いだなんて言ったらダメだよ。自分のことは、自分で好きになってあげないと、誰も好きだなんていってくれないよ』
『名探偵症候群』 2005.3.30. 船越百恵 カッパ・ノベルス
2005年04月21日(木) |
『夜夢』 柴田よしき |
柴田よしきさんが1999年から2002年の間ホラー・アンソロジーに発表された作品(短篇)を、月夜の下の不思議な人たちの語りを通して幻想的なひとつの物語に再生されています。ホラーであるゆえに死や終わりや絶望を感じさせる短篇たちを再生させるって柴田さんの大きさを感じました。中でも気に入ったホラーはエロチックさが際立った哀しい女の物語・・・
「夕焼け小焼け」 哀しい女の血と宿命の物語。これは思い浮かべる赤い風景にゾクゾク鳥肌が立ちました。ほんと女って哀しい。せつない・・・
いざ捨てられる段になったら、そんな取り澄ました顔でいられやしないやしないんだから。女ってのはそういうもんなの。男と寝る時にね、代償を求めない女なんてのはこの世にいないんだよ。お金じゃなければ愛、愛じゃなければお金。そのどっちもいらないなら、腰が抜けるほど気持ちいい思いさせなって、女ってのは貪欲に思う動物なのさ。
『夜夢』 2005.3.20. 柴田よしき 詳伝社
2005年04月18日(月) |
『とっても不幸な幸運』 畠中恵 |
新宿にある『酒場』と言うバーには店主もヘンな男だが、常連客たちも一癖も二癖もある(笑)。ある日。店主の娘が100円ショップで“とっても不幸な幸運”などというネーミングの缶を持ち込んでくる。この缶を開けると・・・
舞台が『酒場』というバー。それだけで嬉しくなってしまう。店主の娘が持ち込んだ妙な缶がもたらすものは不思議なことばかり巻き起こす。店主や店主の娘や常連たちに起こるファンタジー。店主が作るフーズも美味しそうなのですが、それをもっともっと詳しく書いて欲しかった! 美味しそうなだけに残念で。
「人間歳を取ると、時間にも体験にも重みが出る。ずしりと心にこたえるものが、増えるんだよ」
『とっても不幸な幸運』 2005.3.30. 畠中恵 双葉社
2005年04月17日(日) |
『孔雀狂想曲』 北森鴻 |
雅蘭堂、東京下北沢の片隅にある骨董品屋。越名集治の店はいつも開店休業の風情。迷い込んでくるのは訳ありの妙な事件ばかり・・・
久しぶりに雅蘭堂の物語を読み返しました。店主・越名集治のキャラクターがとても好き。ただ冬狐堂の物語に出張ってる時と感じがちょこっと違う気がするのだけど・・・私だけかしら。妙齢の美女相手だとちょっとええかっこしいぃなのかな(笑)。どの事件も好きだけど「幻・風景」が一番好きかもしれない。何かを創りだす人の魂について書かれていて納得しちゃうから。
特に何事かを創造する立場にある時、周囲を傷つけ、引き裂くことでしか行為をなしえない魂が、確かに存在するのである。驚くほどの繊細さと、傍若無人、そして不遜とが一つの魂の中に矛盾することなく同居しているといってもよい。
『孔雀狂想曲』 20051.25. 北森鴻 集英社文庫
2005年04月16日(土) |
映画『CONSTANTINE』 |
ヘビィ・スモーカーのジョン・コンスタンティンは、人間界に紛れ込んでいる地獄の住人を地獄へ送り返すエクソシスト。幼い頃から見えざる者が見え、恐怖に怯え苦しんだコンスタンティンは自殺をはかった過去がある。肺癌で余命いくばくもないコンスタンティンの望みは自分の悪魔祓いの実績が認められて天国へ行くこと。コンスタンティンの壮絶な運命は・・・
公開初日に行って参りました! 行かないわけにはいかんっ。期待満々で観たら面白くて圧倒されて、二回続けて観てしまいました。二回目には一回目で気づかなかった話のリンクが見えたり、登場人物の細やかな感情の変化すら見てとれたり。最高に楽しめましたねっ。早くDVDにならないかな~。速攻で買って何度でも観ちゃうと思うわー。ゴージャスな映像を是非にご堪能くださいましv あ、エンドロール最後の最後まで席を立ってはダメですよ!! 一番最後に「あっ」という映像が出ますのでv さて、まじめな話。この宗教観の違いは根深いものだと思いました。自殺は罪であり、地獄行き。これを本当に信じている人にはヘビィかもしれません。天国とか地獄なんてことはわからないけれど、自殺が罪深い事だけはわかります。あとヘビィスモーカーの人も観ていてキツイかもしれない。あれって煙草産業からクレームこないのかしら・・・。
南海市市民相談室で働く倉永は市民からの苦情に振り回される日々。ある日、有名な苦情おばさんから池でワニを見たから捕獲しろと電話が入る。倉永はそこからどんどんとトラブルに巻き込まれ、巻き込まれ、巻き込まれて、そして・・・
これでもか!というくらいトラブルに巻き込まれ、どんどん破綻していく倉永。確かアメリカ映画でそんな路線があったなーと思いつつ読んでいたらラストが意外な方向にv これって面白い~。この方は初読みだったのですが、気に入っちゃいました。巻き込まれ型小説の前2作も読んでみたいと思っています。楽しみ。 ちなみにどうして読もうと思ったかと言うと、表紙のアロワナに惹かれたからです。アロワナ大好き~。ピラルクも~。
「松浦さん。あんたも独身のうちは多少ちやほやされたこともあったかもしれんけど、仕事はやりがいがなかったんやろ。窓口業務はわがままな市民相手に嫌な思いすることが多いし、デスクワークも何のための書類か判らんようなもんばっかり作らされる。そうかというて現場に出て汚れた作業服着るのも嫌。ああ、私はこんなとこにおるべき人間やないのにと、いっつも思てる。それが態度に出てしまうさかい、職場で浮いてしまう。そやけどなあ、あんたみたいなレベルの人間は、役所でも民間企業でも、掃いて捨てるほどおるんや。自分だけが悲劇のヒロインみたいに思てなよ」
『とげ』 2005.3.20. 山本甲士 小学館
2005年04月13日(水) |
『うそでしょう!』 『学歴詐称』 松村比呂美 |
子供が同じ中学に通っていることから仲良しの主婦の驚きの犯罪(「うそでしょう!」)。夫の会社の妻たちが集う場でライバルに差をつけられるvと喜んだのも束の間・・・(「学歴詐称」)
注目している松村比呂美さんの短篇を2編読むチャンスに恵まれました。ご本人のブログで「オチ」に関することを書かれているのを拝見して興味深かったのですが、本当に見事に落としてくださいます。ラストでの「あっ」と言う意表をつかれた感が心地よいの。2編とも女って哀しいと感じました。またヤラレタ(苦笑)。 短篇というものは力がないと描けない世界だと思っているので、この2編には参りました。さまざまな賞を受賞されている松村比呂美さん。是非是非短篇を集めて本にして読ませて欲しいです~。
『うそでしょう!』 『学歴詐称』 松村比呂美
2005年04月12日(火) |
『新・世界の七不思議』 鯨統一郎 |
ジョゼフ・ハートマンは古代史の世界的権威。来日し、早乙女静香に京都案内をしてもらうべくわくわくしていたが、静香の都合で延ばし延ばしに・・・。しかし、静香に連れて行かれた場末のバーで宮田六郎なる男と静香の歴史的解釈のバトルを見て、ここで過ごすも悪くない気になってしまう(笑)
やー、面白かったです~。『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編ですよー。世界の七不思議を宮田六郎が鮮やかな新解釈で高名な歴史学者を煙に巻く。美貌の歴史学者・静香に振り回されるジョゼフ。平凡なサラリーマンに翻弄される静香。六郎の新解釈は面白いですv カシスシャーベット食べたい。
『新・世界の七不思議』 2005.2.25. 鯨統一郎 創元推理文庫
2005年04月11日(月) |
『BAD KIDS』 村山由佳 |
工藤都は写真部部長の女子高生。問題写真ばかり発表しては生活指導に睨まれている。実は都、20歳年上プロカメラマンとの恋愛に苦しんでいた。自分で自分を制御できず、振り回されるように自然体で行動する都は、ラクビー部の隆之に目をつける。彼は絶好の被写体だった。そして都は隆之の密かな想いをファインダー越しに気づいてしまう。隆之が想いを寄せているのはチームメイトの宏樹。しかも宏樹は亡き隆之の兄の恋人と付き合うようになり・・・
とても読みやすい気持ちのいい青春小説でした。エキセントリックな都と自分の友達へのコイゴコロに苦悩する隆之との友情とも愛情とも言える優しい関係がすごーく素敵だと思いました。高校生の頃って、本当に感情や肉体が別々に制御不能で苦しかった事をさーっと思い出しちゃいました。まっすぐに生きる苦しさを乗り越えて欲しいと願ってしまうわ。あの日に帰りたい、すこしだけそう思ってしまったのでした。
あたしは何でも、ちゃんと子の目で選ばないと気が済まないの。自分にとって本当に値打ちのあるものしか、要らない。
『BAD KIDS』 1997.6.25. 村山由佳 集英社
2005年04月10日(日) |
『澁谷綺譚』 林 信克 |
渋谷でオカッパの美少女に出会うといいことが起きる・・・不思議な都市伝説のような噂が飛び交うが、それはアゲハと言う天才シンガーを売り出す戦略だった。そんな中、女の子達が次々と失踪し、渋谷で異変が相次ぐのだが・・・
うーん、惜しい。題材は揃ってる。都市伝説、美少女、桜、ドラッグ、洗脳、そして猟奇的連続殺人事件・・・なのにもうひと味足りなくて。残酷さや不気味さかしら。面白くなりそうと期待しすぎたのでちょっとだけ消化不良。残念。
『澁谷綺譚』 2005.1.1. 林 信克 第三書館
2005年04月09日(土) |
『スカイハイ』 高橋ツトム 小川智子 |
「ヒトソダテ」 交通事故死してイズコのいる怨みの門へやってきた滝川夫妻。ふたりは奇跡的に助かった息子が気に係り、息子の周囲を漂うのだが二人が見た息子の本当の姿とは・・・
「骨」 海底で発見された人骨。死後59年を経てイズコのいる怨みの門へ辿り着く尾崎。戦争に巻き込まれ、命を落とした男が見た現代ニッポン。尾崎がくだす決断は・・・
釈由美子さんのコスプレも麗しい「スカイハイ」は気になるドラマでした。怨みの門でイズコに出遭った人間には3つの選択肢がある。 一、死を受け入れて天国へ行き再生の準備をする。 二、死を受け入れず霊となって現世を永遠に彷徨い続ける。 三、現世の人間を一人、呪い殺す。ただし… 決断を下した人間にイズコはその方向を指差して言う。 「お行きなさい」 「お生きなさい」 「お逝きなさい」と・・・ シンプルな設定ゆえの残酷さが面白いのですよね。小説は、「ヒトソダテ」の方が無茶苦茶こわかったです。個人的にはそちらの方が好みでした。
『スカイハイ』 2004.1.30. 高橋ツトム 小川智子 集英社
2005年04月08日(金) |
『担任』 新津きよみ |
直子は臨時採用で小学校の教師となる。そのクラスの「担任」が産休に入ったため。そのクラスでは1年前からひとりの少女が行方不明になっていた。娘の生存を信じ、学校に顔を出す少女の母。そして空席のはずの少女の席に彼女の姿が見え始め・・・?
新津きよみさんはうまいですねー。ありきたりのホラーではない展開にうなりました。ホラーよりホラーな現代社会。心の闇はいつだって人間が自分で生み出しているのかもしれませんね・・・。
『担任』 2004.1.10. 新津きよみ 角川ホラー文庫
2005年04月07日(木) |
『オールド・ボーイ』 大石圭 |
オ・デスは27歳のとき、愛娘ヨニの4歳の誕生日プレゼントを購入し、帰ろうとしたところ拉致され監禁されてしまう。その日から15年間、窓一つない狭い部屋に閉じ込められ、与えられるものはテレビと餃子定食だけ。オ・デスは執念で狂うことよりモンスターになることを選び取る。ある日突然解放されたオ・デスが行きつく真実とはいったい・・・
面白かったです。映画を観そびれてしまったのですが、これは観ておくべきだった。残念。囚われた者と監禁した者。ふたりの因縁は意外なことでした。ただオ・デスが嵌った罠はわかりましたけど・・・。映画で観ると壮絶だったろうなぁ。15年間監禁されて狂わずにいられるかどうか想像すると気がおかしくなりそう。
時間というのは・・・・・・残酷なものだ。
『オールド・ボーイ』 2004.9.25. 大石圭 角川ホラー文庫
2005年04月06日(水) |
『野ばら』 林真理子 |
名門女子校で出会った千花と萌。美貌を武器に宝塚に進んだ千花とフリーライターとして頑張る萌。若く美しいふたりはどこへ行っても注目され、ちやほやされもてはやされる。いつも主人公、ずっと幸せなまま生きていけると信じ込んでいたふたりだったが、千花は若手歌舞伎役者に振り回され、萌は父親ほどの年齢の男との不倫に苦しむ・・・
歌舞伎界や宝塚という特殊な世界の裏側を林真理子さんならではの残酷な視線であでやかにいやらしく浮き彫りにさせています。華やかに見える世界の裏側の醜さや残酷さが興味深かったです。役者さんにモデルがいるのでは?とアレコレ想像しながら読めて下世話に面白かったです。 若くても美しくても、この世の春は永遠に続く事はありません。花の命は短くて・・・と言うことですね。傲慢にならず、地に足をつけて生きていきましょうv(いや、私はもはや既に若い娘ではないのだけれど。アハハ)
「モエちゃんだけじゃなくって、今の若い女の子っていうのは、男のことを知らないくせに見くびっている。男の心が、女の自分の相似系だと思っているんだからおかしいわね」
『野ばら』 2004.3.15. 林真理子 文藝春秋
2005年04月05日(火) |
『タイムスリップ釈迦如来』 鯨統一郎 |
はっちゃけた女子高生・麓麗(ふもとうらら)が今度は古代インドへタイムスリップ。女系家族に育ったためおねぇ言葉を話す仏陀と知り合い、世界征服、違う、世界宗教確立を目指すのだが・・・
ひゃははははは。出た、出た、鯨さんならではのオバカっぷり! 今だからの旬なネタ満載で大笑い。たまにはこういう笑える物語で心を癒すもいいものですねぇ。個人的には明治維新が今ひとつだっただけに、モリリンについでシーちゃんが最高でとっても嬉しいv
第一(ナンバーワン)にならななくてもいい もともと特別な唯我独尊(オンリーワン)
『タイムスリップ釈迦如来』 2005.3.5. 鯨統一郎 講談社ノベルス
2005年04月04日(月) |
『十四番目の月』 海月ルイ |
桑島樹奈は買物中に2歳の娘・美有を誘拐される。振り回された挙句、身代金を奪われた。現場となったシャングリアホテルでピアノ演奏をしていた奈津子は、事情徴収をされ事件と関わりを持つことになってしまう。犯人の狙いはいったい・・・
京都を舞台にしたミステリー。登場する女性達がとても魅力的でした。ただ犯人についてはすぐに見切れました。動機も女性達を見つめていると、おぼろげなものは見えてくる気がします。フィクションとしてのラストはとても爽快でした。
「悪意がないというのは、自覚がないということよ。自覚がない人は、反省も後悔もせえへん。反省も後悔もせえへん人は、何度でも同じことを繰り返さはる」
『十四番目の月』 2005.3.10. 海月ルイ 文藝春秋
2005年04月03日(日) |
『黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人』 森功 |
福岡県久留米市で看護婦たちによる保険金連続殺人事件が発生し、世の中をあっと言わせたことがありました。その事件を追ったルポを読みました。主犯の吉田純子は自分を仲間(僕?)に「吉田さま」と呼ばせ、身の回りの事をさせていた。その中のひとりにはレズビアンの相手をさせ、性欲の捌け口にまでしていたと言う。吉田純子の虚言に振り回され、信じてしまう女たち。哀れすぎる・・・ たぶんこのルポを読んだ人ならば、すぐにオウム真理教の麻原を思い出すのではないかしら。それくらい破天荒な作り話で人を煙に巻くのでビックリでした。彼女に巻き込まれたとされる3人の女たちは、どうしてあんな胡散臭い話を信じてしまったのかなぁ。吉田純子は死刑求刑されました。まぁ、当然でしょうね・・・。
2005年04月02日(土) |
『そのときは彼によろしく』 市川拓司 |
智史は、アクアショップ『トラッシュ』を経営。そこへ美しい女性がアルバイトの募集に応募してきた。・・・ぼくは彼女を知っている、ぼくの中のデジャブ。智史を切っ掛けとして周りの人間が化学反応を起こしていき、そして智史は・・・
いやー、やられましたな。市川拓司さんのタイトル落ちには参ってしまう。ここにこうくるのかーって涙がはらはらはら。登場する人物がユニークで優しくて不思議なファンタジィだと感じました。中でも智史の父親と母親は最高でした。つくづくこういう人たちに育てられたら、間違いなく素敵な人間の出来上がり。ただの恋愛モノでなく、人情モノでない。あなどれない展開を今回も読ませていただきましたv これの映像かも観たい気がします~。
「ぼくは忘れない。それが残されたぼくらにできる唯一のことだから」
『そのときは彼によろしく』 2004.11.1. 市川拓司 小学館
2005年04月01日(金) |
『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ』 石田衣良 |
池袋のトラブル・シューターまことが関わる4つの事件。凄腕スカウトマン、一発屋の往年の大スター、ビューティフルなチャイニーズ、親に自殺された三人の若者達・・・ついつい深く関わってしまう、お人よしのまこっちゃん。
うーんと、石田衣良らしい切り口で現代の4つの問題を解決(と言っていいのかどうか疑問だけど)していく。池袋のキングや頭角を表し出世したサルたちの助けを借りながら。 この物語は、テレビドラマの配役のインパクトがとても強くて読んでいると、まこっちゃんは長瀬くんだし、キングは窪塚くん、サルは妻夫木くん、まこと母は森下愛子が浮かんでしまいます(苦笑)。あれってクドカンさんらしさてんこ盛りだったからなぁ。物語とドラマが響きあってる感じがします。 まことはモノ書きをしながら、事件解決していくのですが、昔のような荒々しさや若々しさは流石になくなってしまいました。物語の中で成長していっているのね。寂しいけれど。 4つの物語の中ではまことが孤軍奮闘する「反自殺クラブ」が心にズキズキ痛かった。筋と流れは読めてしまったことが残念。もうひとひねり欲しかった!
どれほどスタイルを変えても、知性とその体系は隠せない。
『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークⅤ』 2005.3.10. 石田衣良 文藝春秋
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