さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年11月15日(金) にゃん氏物語 帚木08

光にゃん氏訳 源氏物語 帚木08

私どもは下の下の階級と 式部丞(しきぶのじょう)は話をことわっていたが
『こんなことがあります まだ文章生時代 ある賢女の夫になりました
佐馬頭(さまのかみ)の話のように仕事の相談相手や出世方法も教わりました
学問はちょっとした博士なみ その前で恥ずかしくて口が聞けるものでない
ある博士の家へ弟子に通っていた頃 先生に娘が沢山いるので接近したのです
二人の関係を知ると先生は すぐに祝杯を挙げたが 私は乗り気ではなかった
ただ先生への配慮で つながっていた

私をたいへんに愛してくれ よく世話をしてくれ 学問のつく話をしてくれて
今でも師匠の恩をその女にも感じますが そんな細君を持つのは学問の浅い
人や間違いだらけの生活をしている人には たまらないことだと思いました
お二方のような偉い貴公子方には そんなずうずうしい先生細君は必要ない
私どもも それとは反対に 歯がゆい女でも 気に入っていればいい』

これでやめようとした式部丞に続きをさせようと
頭中将は「面白い女じゃないか」と言うと
その気持ちを知ってるくせに…と式部丞は自身を馬鹿にしたふうに言う
『それで女の所に ずっと行かず しばらくぶりに行くと居間の中に入れずに
物越しの席に座らせます 嫌味を言うつもりか?それなら別れるいい
口実になると思いました
賢女なので軽々しく嫉妬せず人情にもよく通じ恨まないですから

彼女は高い声で「月来 風病重きに耐えかね極熱の草薬を服しました
それで私は臭いので ようお目にかかりません 物越しにでも何か御用が
あれば承りましょう」ともっともらしく言うのです ばかばかしくて返事が
できません ただ『承知いたしました』と それで帰ろうとすると
物足りないと思ったのか「この匂いのなくなる頃 お立ち寄りください」
と大きな声でいいます

私は返事しないのは気の毒と思い 薬草の臭気から逃げる方角を考えながら
『ささがにの振舞ひしるき夕暮れにひるま過ぐせと言うがあやなき
何の口実だ』
(蜘蛛の行動を知っていた夕暮れに ひるまにしろと言うのは意味がない事)

と言うか言わないうちに走って行ったのに 人を追いかけさせ返歌をくれた
『逢ふことの夜をし隔てぬ中ならばひるまも何か眩ゆからまし』
(夜に逢うことの隔てがない仲だったら ひるまも何で恥ずかしいだろうか)
と言うのです 歌は早く作れる女なのです』式部丞の話はしずしず終わる

そこまでするかと貴公子達はあきれて『うそだろう』と爪弾きして
式部をいじめた
『もう少しいい話を…』 式部丞は『これ以上の話はない』とさがった

佐馬頭が
『総体的に男も女も 生半可な知識を人に見せようとするから困る…』
と言ってる間も 源氏は心の中でただ一人の恋しい人を想い続けていた
藤壺の宮は 欠点もなく才気も見え過ぎず 立派な貴女だと頷きながら
想い出すと胸が苦しみでいっぱいになった
議論は決着せず筋も立たなくなり朝まで話続けた


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