さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2002年12月08日(日) |
にゃん氏物語 夕顔14 |
光にゃん氏訳 源氏物語 夕顔14
源氏は無我夢中で二条の院に着く 女房たちは「どこからの お帰り ですか? 気分が悪いように見えます」などと言ったが そのまま 寝室に入り 胸を押さえて考えてみる 自分が今体験していることは 非常に悲しいことだとわかった なぜ自分は一緒に行かなかったの だろう もし生き返ったらあの人はどう思うだろう 見捨てられたと 恨むのではないか こう思うと胸が詰まり 頭痛がし熱っぽく苦しい このまま自分は死んでしまうかも知れない と思う
朝八時ごろになっても源氏が起きないので 女房たちは心配し始めて 朝の食事を勧めてみたが駄目でした 源氏は苦しくて死が迫ってくる 心細さを感じているところに 宮中からお使いが来た 帝は昨日も 源氏が来なかったことで 心配をしているのでした 左大臣家の人も 訪問してきたが その中の頭中将だけを『立ったまま入り下さい』 と呼び 源氏は友と御簾を隔てて対面した
『私の乳母で 五月から大病していた人が尼になり そのききめで 一時良くなっていました でもまたこのごろ悪くなり生前に一度でも 訪問してくれという事で 小さい頃から世話になった人に 恨めしく 思わせるのは残酷だと思って訪問しました その家の召使の男は 前から病気をしていて 私のいるうちに亡くなってしまったのです
恐れおおくて 私に隠し 夜にこっそり 遺体を運び出したのですが 私は気付いてしまった 御所は神事に関するご用が多い時期で穢れに 触れた私は遠慮して謹慎をしているのです それから今朝から風邪に かかったのか 頭痛がして苦しいのでこんな格好で失礼します』 などと 源氏は言う 中将は「では そのよう奏上しておきましょう 昨日も音楽会に ご自分で指図しあちこち探させたのですがいなくて 機嫌が悪かったです」と言って帰ろうとしたが また戻ってきて
「どんな穢れにあったの?さっき聞いたのは本当とは思われない」 と頭中将から言われ源氏は はっとし『今話したような詳しくでなく 思いがけない穢れにあったと言って下さい 今日は失礼します』 素知らぬ顔で言っても 心は恋人の死が浮かび 心も痛くなった 誰の顔を見ても憂鬱だった お使いの蔵人の弁(蔵人所の弁官) の職員を呼んで こまごまと頭中将に語ったような経緯を帝に 取り次いでもらった 左大臣家のほうにも それで行く事ができない という手紙を出した …日が暮れてから惟光が来た…
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