ちょっと前に近所の商店街でのイベントで抽選会があり、娘・R(10才)と息子・タク(8才)にクジを引かせたところ、それぞれ区内共通商品券をもらった。
タクが1,500円分、Rが500円分。
「ボクの方がくじ運いいんだぜー!」
タクはすげえだろと鼻高々だ。それを優しい目で見守るRはさすがお姉ちゃんである。しかしRだってくじ運はいいんである。年末の福引の時は、タクが1等の1万円券を当て、Rは2等の「吉幾三コンサートチケット」を当て、姉弟でワンツーフィニッシュを決めた。幾三チケットの実用性うんぬんは置いといて、Rだって実績はあるのだ。
さて、この商品券の使い道については当然Rとタクに決める権利があり、Rはそんなに物欲が激しくないので特に決めていないが、タクは
「ポケモンカードを買いたい!」
今彼が一番欲しい物に使いたいのだ、という意志が強かった。
「ねー、この券どこで使えるのォ?」
タクは僕の背中にへばりついて離れなかったのでインターネッツで調べてみた。区内共通商品券を発行している商店街連合会のサイトが見つかり、そこに扱える店が載っていた。
こういうのって地元の個人商店のような小さなお店が主体なので、トイザらスとか西友(大きなおもちゃ売り場がある)とかは使えないんだろうなあ、と思ったらやっぱり使えなかった。
使えるお店リストをしらみつぶしに見てみたが、この商品券が使えるおもちゃ屋はほんの4~5件しか見つからず驚いた。まずおもちゃ屋そのものが少ない。人口70万人を擁する区なのに数えるほどしかないなんて、おもちゃ屋経営って厳しいんだなあ…。
目星を付けたのはチャリで行ける距離にあるおもちゃ屋。そこに行ってみようと考えたが、行ってみたけどポケモンカードが売ってませんでした、というワナにかかるのは嫌なので、念のため電話してみたら
「ありません」
ガーン。さらに2軒ほど問い合わせてみても扱っておらず、
「ありますよ」
ようやくポケモンカードがあるお店を見つけたが、そこはウチから何駅も離れているところであった。ていうか何故僕はここまでムキになって探しているのだろう…。
「あることはあったんだけどねー、遠いんだよ。チャリじゃ行けないんだよ。電車でしか行けないんだよー…」
遠まわしにやめようぜ、とタクに言ってみたのだけれども
「じゃあ電車で行く」
「商品券は使えても電車賃が余計にかかるから全然お得じゃないだろ」
「やだ!行く!」
もうタクにすればそういう損得勘定は頭の中に菜なく、とにかくポケモンカードを手に入れたい、それだけであった。
「よし、じゃあ行くか」
「うん!」
僕が連れて行くことにした。
「えー電車賃かかるのに…まあ行ってらっしゃい。ワタシは家にいる。昼ゴハンは適当にどうぞ」
嫁も顔を曇らせていたが、そうしないとタクの気持ちが治まらないだろう。仕方ないのだ、という顔をしてタクとRを連れて出掛けたのであった。
表向きには仕方ないとしながらも、そのおもちゃ屋がある街には有名なラーメン屋があり、また、ボートが乗れる池がある公園もあることを僕は思い浮かべていた。
実は、うまいラーメン食って子供達とボートに乗ったら楽しいだろうなー、とワクワクしてしまったんである。そのワクワクに勝てず、出かけてしまった次第。そういう楽しみがなければとっとと金券ショップで売っているところだ。
タクはその最寄り駅に降りた瞬間
「あと何メートルでおもちゃ屋?あと何歩でおもちゃ屋?」
というしつこい質問を何度も浴びせ(何時何分何秒!地球が何回回ったとき!並にしつこい)、おもちゃ屋に着くまで暴れ馬のようだったので、手を繋いで抑えるのに必死であった。
おもちゃ屋ではニコニコ顔でポケモンカード3袋ほど買い、物欲が満たされると
「おなかすいた!」
案の定腹減ったと言ってきたのでお目当てのラーメン屋に。待っている間にカードの袋を開けて
「やったー」
強いカードが出たようで喜んでいた。
「ねえ、Rにもひとふくろ開けさせてー」
「いいよー」
機嫌がいいのでRにも気前がいいタク。
お目当てのラーメンはさすがにうまかった。Rとタクもズビズバーと物凄い勢いで食べていた。
そんなわけでオモチャ買ってラーメン食って商店街の売上に貢献した。がんばれ商店街!
「パパ、来週もまた来よう!」
「なんでだ!」
もう勘弁してくださいよ…。
タクの頭は奇しょうてんがい。なんちて。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■僕、池面。
2014年03月10日(月)
石神井公園に子供達を連れてってボートに乗ってきた。
ボートには手こぎと足こぎと足こぎ(おまるver.)があり、娘・R(10才)は
「手こぎがいい!」
と言い、息子・タク(8才)は
「足こぎがいい!」
と主張、意見が真っ二つに分かれてしまった。話し合ってどちらかにせよ、と申し付けたのだがカヤカヤカヤカヤ言い合って全く譲り合おうとしない。
「ええい、手こぎも足こぎも両方乗ったるわー!」
ということで両方30分ずつ乗ってしまった。いいお値段だったので、言ってから後悔。手こぎも足こぎも、お値段はあこぎ。
まずは手こぎボート。初めは僕がガシガシオールをこいでいたが、
「やりたい!」
意外と子供達もめんどくさがらずに食い付いてきたのでこぎ方をレクチャーしてみた。


こぎ方うんぬんより、場所を交代するたびにフラフラ立ち上がるので、池に落ちそうなところが一番心配であった。
続いて足こぎボート。左右の座席にペダルがあり、僕とタクがこいだ。Rは真ん中に座りハンドルを握る。
この日はポカポカと暖かかったので、春の海、ひねもすのたりのたりかな、みたいにボートの上でのんびりしたく、缶コーヒーを買って乗り込んだのだけれども、とても飲んでるヒマがなかった。
「あそこの橋まで行くんだー!」
「時間がない!急げー!」
子供達のテンションの高さにより、泳ぐのを止めたら死んでしまうサメの如く、ひたすらペダルをこぎ続けるハメになった。

石橋を叩いてくぐる。
その後も、池の水面にまで垂れ下がっている松の木の枝があり、
「あそこまで行って!マツボックリ取りたいから!」
とか
「カモを追いかけて!手掴みしたいから!」
とかムチャクチャなことを言うタクに振り回されつつ、あっという間に終わりの時間が来てしまった。一番慌ただしいボートだったのではないだろうか。
ボートから降りた後は「おなかすいた!」とうるさいのでポップコーンを買っておやつ。

地元の殿様とお姫様の顔ハメ看板。何故かRが殿でタクが姫。戦に敗れ、この池に身を投じたという悲しい伝説があるのだが、おちゃらけすぎ。
「どうだい、手こぎボートも面白かっただろう」
足こぎ派だったタクにそう言ってみると、
「うん、そうだけど、足の方が楽だなあ」
「手こぎのやり方を覚えておくと、将来デートでステキって言われるぞ!」
「そうか!」
手こぎの重要性を説いた僕であった。
手コキの店も大好きだ。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■選曲の戦局。
2014年03月09日(日)
嫁が息子・タク(8才)に
「ほら、パパに言いなさい」
と急かしていた。どうやら僕に頼みごとがあるようだ。タクは「そうだ」とハッとした顔になって
「パパー、ぱひゅーむのCD貸してー」
と僕にお願いをしてきた。学校で、来週の給食の時間にかける音楽に使うのだという。各クラスで持ち回りで児童がかけたい音楽を流しているらしい。タクはそのうちのひとりになったという。
僕は小学生の頃放送委員だったのでまさに給食の時間に音楽を流す係りだったが、クラシックしかダメって言われていたので時代も変わったものだなあと羨ましくなった。単に僕の学校が異常だったのかもしれんが。逆に高校生になると友達が放送委員だったので、よくテクノとかハウスの曲を持ち込んでかけてもらったもんだ。
「Perfumeのどの曲がいいんだ?」
Perfumeといっても、ちと曲がたくさんござんす、と聞くと
「みゅーじあむがいい」
この曲がいいのだという。
「PerfumeもいいけどNegiccoとか"魔女っ子クラブのお姉さんの歌"とかにしろ!」
つい僕は自分の好みを押し付けてしまった。
Negicco/ときめきのヘッドライナー
水曜日のカンパネラ/ミツコ(子供達から"魔女っ子クラブのお姉さん"と呼ばれている)
するとタクは
「それもいいんだけどね、みんなが知ってる曲がいいんだよ。『みんなのミュージアム』はドラえもんの映画の曲だからみんな知ってると思うんだ」
好みをゴリ押しする僕よりも遥に冷静な意見を言うではないか。確かにそう言われるとぐうの音も出ない。Negiccoはまだまだマイナーだし、水曜日のカンパネラはそれに加えて歌詞的がちょっとアダルト向けだし。学生割引3,000円ポッキリデース。
「でもウチにあるCDだとPerfumeよりきゃりぱみゅの方が人気あるんじゃないの?小学生には。きゃりぱみゅもクレしんの歌になってたろう?」
きゃりーぱみゅぱみゅ/キミに100パーセント
「うーん、でもPerfumeがいい」
そこはタクの好みのようだ。
「まあそこは君のセンスに任せるよ」
BGMだけに、オヤジのたわごとは聞き流してくれたまえ。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■あかりをつけましょ、しょんぼりに。
2014年03月06日(木)
ひな祭りの日の晩ご飯は、嫁が気合いを入れて作っていた。
イクラ、海老、さくらでんぶ、などで赤・ピンク系統の色合いになったちらし寿司、蛤と手まり麩のお吸い物、刺身、春限定のいちごモンブランケーキなど。食卓が春の花のようだ。
「よくできた!写真!食べる前に写真!」
嫁はごちそうの出来映えの良さにテンションが高まり、自分で自分を褒めていたケータイのカメラを構えながら
「ほら、R、ミュージックスタート!」
さらにテンションを高めたいのか、娘・R(10才)に雛壇にあるオルゴールを持って来させ、「雛祭り」のメロディが流れた。とっとと撮れよ。
で、嫁が満足のいく写真を撮り終わってからようやく僕らは「おあずけ」から解き離れたので、ものすごい勢いでいただきまんもす。
特に息子・タク(8才)などは、ココ最近ずっと「刺身食べたい」と呪いのように執拗に言っていたので大喜びでマグロサーモンを食べていた。
「コレ何?」
「それはトロだね」
「おいしい!」
ああ、また高い食い物に目覚めさせてしまった…。
「ねえ、甘酒もあるけど飲む?」
と嫁。料理に気合いを入れているだけあって、おもてなしも手厚いようだ。いやあん、旦那酔わせてどうするつもり?なんつって。
「じゃあくれ」
と言うと、ほらよ、と嫁が持って来たのは森永の缶の甘酒で、ゴンとテーブルに無造作に置かれた。冷たいまま飲めってか。大事なところでおもてなしが片手落ち感。
暖めて欲しいところであるが、いつも仕事から帰って来てご飯を食べようと思い、既に嫁が作ってくれている晩ご飯を暖めてくれ、とお願いすると、暖めるぐらい自分でやってよ、と常に言われているので、今日もそう返されるに決まってるだろうと思い、席を立ってレンジで温めようとすると、
「あーいーから、やるから!」
なんと嫁が僕から缶甘酒を取り上げて暖めてくれるではないか。
「それぐらい自分でやれ、って絶対言うと思ったのに」
と僕が言うと
「今日のごちそうは完璧に作りたかったから、そこまで自分でやりたかったの。いつものどーでもいい晩ご飯は、その通り、自分でやってよ」
自分で自分が毎日作る晩ご飯をどーでもいいとか言っちゃいますか。
やってくれって言うと怒られるし、やるからって言っても怒られるし、嫁のダブルスタンダードは難しい。結局嫁のさじ加減なんである。
やらせてって言っても怒られるし…。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■ゴハンがないならお菓子を食べればいいじゃない!
2014年03月05日(水)
前日の日記でボウリングのことを書いたけれども…。
あれは昼飯抜きでやったんである。児童館で遊べなくてわたわたしてて、ボウリング場に着いた頃が既に14時頃で。どうせ混んでて待たされるだろうから、待ってる間になんか食ってりゃいいや、と思ってまず受付をしたらすぐ出来ますよ、ということで…。
「なんかコンビニでおにぎりでも買ってくるかい?」
食いながらやろうぜ、としたところ
「やだ、ボウリングしたい!」
食べるヒマも惜しく、とにかく投げたいんだ、という強い意志が娘・R(10才)と息子・タク(8才)にはあった。勉強とかピアノにもその情熱が欲しい。この子達は朝がダラダラし過ぎて、朝食を食べ終わったのが11時前ぐらいだったのでそんなに腹が減っていなかったのだろう。
しかし僕は朝から何も食べていなかったので腹減って腹減って…。ボウリングを3ゲームやり終えた後は既に16時を回っており、昼飯どころかおやつの時間も過ぎてしまっていた。今からメシ食うってのもなあ…晩飯に差し支えがある。なので
「おやつ買ってやるよ」
ボウリング場を出たところにちょうどお菓子の安売り店があったのでそこで買ってやることにした。
「いくらまで買っていい?」
「150円!」
いつもは100円なのだが、腹減ってると思うのでちょっとだけサービスだ。Rとタクはじっくりと時間を掛けて駄菓子のコーナーで品定めしている。まるで僕がアダルトなヴィデオを選ぶかのように。表のジャケットに騙されるでない、きちんと裏面もチェックするのじゃ、ほっほっほ、って違う。
ふたりは、うーんと唸ったりブツブツと計算しながらお菓子を選ぶ。この計算が算数の勉強にもなる…とか考えてみたりして、いつまでもなかなか買うモノが決まらないイライラを誤魔化す。
ふたりの様子を覗いてみると、どうもRよりタクの方が計算が速いんである。タクが優秀なのか、Rがトロいのか…おそらく後者なのだろう。どうしたもんか。
僕も余りにも腹が減っているので子供達が迷っている間にキャベツ太郎とかビッグカツとか買い込んでしまった。
「パパー?」
「うん?」
Rがいくつかのお菓子をカゴに入れて持って来た。そして
「150円以上あるかないか分からなくなっちゃったから一緒に計算して?」
と言うではないか。やはりRは計算にもたついていた。
「ああ、いいよ。じゃあ大きいヤツからいってみようか。このアポロチョコは?」
「105円」
「じゃあこのマーブルチョコは?」
「105円」
「はいアウトー!」
「ええっ」
「ええっじゃないだろ!こんな分りやすい計算、なんですぐできないんだっ!」
まさかここまでのレベルだったとは…。タクですら
「もう210円じゃん!だめじゃん!」
速攻でツッコミをいれているのにRは1分ほど考えた後に
「……あ~そっか~。えへへ」
ようやく理解したようだ。大丈夫か春から5年生…。さっきもボウリング場でトリプルアクセルの練習してたし…。
お菓子だけにちょっとおかしい。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■涙雨ボウリング。
2014年03月04日(火)
雨がしとしと降る日曜日。
「ボクはパパとドッジボールがしたいよ」
と息子・タク(8才)が言うので、広い体育室がある児童館に連れて行った。児童館に着くと
「いらっしゃーい!」
いつもとは違いメチャクチャテンションが高いおばさま達が出迎えてくれた。よく見ると「人形劇上演中!」という看板やポスターがそこかしこに貼られていて、何やらイベント中の様子。
「ボク、是非見てってね!すっごい楽しいから!!さあどうぞどうぞ!」
おばさま達はキラキラな笑顔で僕らを招き入れる。反面、一抹の不安を覚えた僕は
「もしかして、今日は体育室は使えないとか…?」
と聞いてみたら
「そーなんですよー。その体育室で人形劇やってるんですよ!」
おばさまの説明を聞いた途端、タクの目から涙がぶわっと出て、僕の腹あたりに顔を埋めて
「う…うううう…」
シクシク泣き出してしまった。
「あらー、ボク、楽しみにしてたのー、ごめんねー…」
おばさんはバツの悪そうな顔をしてるしタクは僕にしがみついて泣いてるし、居たたまれない気持ちになり、とりあえず児童館を離れた。来る前に休みじゃないかだけは確認してきたのだが、まさかこういうワナがあったとは…。
僕とドッジボールしたいというタクの願いは是非叶えてやりたい。しかし
「他に室内で暴れられるところって…思い浮かばないんだよ。諦めてくれ」
と家に帰ろうとしたところ
「やだ!」
超ワクワクしていただけあって、その反動がすごい。親の仇を見るような目で睨まれた。僕、親だけど。
「じゃあカラオケは?」
「やだ!」
体を動かし、なおボール遊びじゃないとダメらしい。
「じゃボウリングは?」
「行く!」
タクの顔が急にパアッとなった。その頃嫁と娘・R(10才)は買い物をしていたので、嫁と合流して、これこれこういうことになったのでボウリングしに行くよ、と伝え、Rも連れてボウリング場まで行った。
「いやっほー!ボウリングー!」
泣いた息子がもう笑う。Rと一緒になって超楽しそうに笑っているタク。逆に高くついた僕が泣きたくなった。児童館ならタダだったのに…。
基本、僕も全くの自己流であるし、子供達にもスコアは二の次で好きに投げさせてやっていたのだが、Rの投げ方があまりにも女の子女の子していたので、少しレクチャーをしてみた。
「じゃあちょっとそこでやってみな」
「うん」
ボールを持つ前にシャドーピッチングをやってみろ、と言ってみたところ、


うわーん!ボウリングの練習しろって言ったのにトリプルアクセルの練習やってるよおおお!
面白すぎるから君、お笑い芸人になりたまえ。
ボウリングだけにピン芸人なんちて。
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
■あなたの知らな(くても別にい)い世界。
2014年03月01日(土)
夜の早いうちに仕事から帰って来た。
玄関のドアノブをワザとガチャガチャしてみる。家の中の子供達が「あ、パパだ!」と気付いてキャアキャアするのをを期待してのことだ。すると玄関のドアの脇にある、小さな曇りガラスにスッと影が映った。影の大きさからすると嫁であろう。ここで僕は慌てた。
僕が家の鍵を持っておらず、開けてくれ、という意味でガチャガチャしているのだ、と嫁が勘違いしてしまい、
「まったくもう!鍵忘れんな!」
とプンプンしながらわざわざ開けに来てくれたのでは…と思ったからだ。今までこういうことは何度もあったのだ。僕はすぐさま家の鍵をポケットから取り出して、ゴリゴリと鍵穴にはめた。すると影はスッと向こうに消えて行った。
「鍵あるじゃん、なんだよもう」
という嫁の声が聞こえるようでますます慌て、扉を開けて家に入って、台所にいた嫁に
「いやー、ごめんね、紛らわしくて。わざわざ来てもらって」
と謝ると
「は?なんのこと?」
ワタシずっと台所にいてそっちまで行ってませんが何言ってんのアータ、と目を丸くして言われた。
「窓に君の動く影が」
「きゃー!ワタシそっちに行ってない!オバケじゃないの、こわーい」
あくまでも嫁は違うと言い張る。オバケの言葉を聞いて娘・R(10才)と息子・タク(8才)も
「え、ウチにオバケいるの?」
とがっついてきた。本当にオバケなのだろうか。ウチは貧乏長屋なので狭い。玄関から台所なんてすぐなので、僕が家に入るまでの間に充分移動できる距離である。
そして嫁のリアクションとその顔はすっ呆けすぎていてウソを言っている可能性が高い。これは長くツガイになっている勘だ。いつもはツンツンしているが、よくしてくれる嫁なので、僕のためにわざわざ扉を開けようとしてくれたことを認めたくないのだ。
これ以上いくら押し問答しても嫁はもうウンと言わないだろう。僕も別にオバケでも嫁でもどっちでもいいと思った。似たようなもんだ。信じるか信じないかは、あなた次第です!
そして嫁はオバケと聞いて目を輝かせる子供達に
「ワタシの職場にもいるのよ!自動ドアが誰もいないのに開くんだよ!」
とオバケネタを披露した。
「いやいや、自動ドアなんてそんな誤動作よくあることだよ」
心霊ネタとして出来が悪い。つのだじろうのマンガに鍛えられたオカルトマニアなめんな、と茶々を入れたら
「じゃあもうひとつある。防犯カメラに歩く影が映ってるのよ~!主任とワタシが見たんだから!」
「それは僕も見たい!見れるかな?」
「えー…それは…もう何年も前の話しだし…」
「なんだよもう残念だな」
嫁の職場に現れるという心霊現象…信じるか信じないかはあなた次第です!
で、それからゴハンを食べて子供達が寝てグダグダしていたらいつの間にか嫁も寝てしまった。
残された僕、ひとり。さてどうするか…と考えたのは、先ほど嫁から聞いた話を思い出して怖くなったからではない。
ちんこいじるかいじらないかは僕次第です!
応援クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
←前・
もくじ・
次→
All Rights Reserved.Copyright(C)
エキスパートモード 2000-2005