「中二病」という言葉がある。思春期にありがちな、ひとりよがりのカッコつけたがりや思い込みの激しさを現す言葉だと思う。
で、うちの娘・Rがいつの間にか中二になっていて、先日それっぽい話を僕に振って来た。それが
「パパ~、あのね、同級生で霊感が強い子がいるの。霊が見えるんだって」
オカルトネタであった。
「中二病かよ」
速攻でケラケラ笑いそうになったが、そんなことをしたらRは二度と喋ってくれない気がしたので
「へえ~、どんな霊が見えるのカナ?金正日とか?」
などど話を合わせてみた。
こっちだって小学生の頃からテレビでは心霊研究科・新倉イワオ氏プロデュースの心霊体験再現ドラマ「あなたの知らない世界」を食い入るように観、マンガでは「恐怖新聞」「うしろの百太郎」でおなじみ、心霊マンガの大家・つのだじろう先生の名作を貪るように読み、小説では「帝都物語」「陰陽師」を、ゲームでは「女神転生」シリーズを楽しんできた魔太郎ばりのガチの中二病オカルトマニアでった。
子供の頃は夢中だったけど、オッサンとなった現在の見解は
「ウソだとは言わないけど、僕には見えないのでなんとも言えない」
このことである。ともあれ、Rの言うことはいちいちカワイイので聞いてみた。それによると友達の霊感が強い子とやらは、たまに学校で霊現象に会うという。どこからか声が聞こえて来たり、廊下を歩く足(だけ)を見たりするらしい。
「えー、うっそーん」
とからかうと
「ホントなの!」
Rは信じて疑わない。また、近所にわりと大きい公園があるのだけれども、
「そこのトイレにも霊がいるんだってよー。そこで自殺した人がいるんだって」
とドヤ顔で語る。その公園で数年前に自殺があったのは事実。その頃まだ小さかった子供達の間に既にそういう伝説が生まれてしまっているのは興味深い。しかし僕が知っている情報と内容が違っていた。
トイレではなくて、その公園にあった立派な松の木で首つり自殺したのである。Rもちっちゃい頃はよくよじ登って遊んでいた木だったのだけれども、そのせいで切り倒されてしまい、子供達共々残念な思いをしたことがある。なので
「パパが聞いたのはトイレじゃなくて松の木だったってことだけども…Rもその話は知ってるだろ?」
と思い出させようとしたら
「でもその友達がトイレって言うんだもん!霊感探知機もトイレが一番強く反応するんだもん!」
Rはそう言って聞かない。ほえー、そうなのか…。
「…って、霊感探知機ってなんだよ!お前の友達キテレツ?」
どんだけ怪しい機械を持ってるんだよ、とツッコミを入れたら
「アプリ」
なんだそうだ。試しに検索したらそれっぽいのがいくつか出て来た。
「はあ、なるほどですねー…」
スマホはなんでもできるんだな…と思ったけれども中二女子相手にそれ以上のツッコミは不毛である。それに、松の木じゃなくてトイレだ!と言い張られると、確かに僕も実際に見たわけでないので松の木説も揺らいでしまう。
「そうかー。あそこのトイレがなあ…」
実はそこの公園のトイレ、駅からウチに帰る途中にあるので、酔っぱらって帰る時などは時々利用したりするのである。薄暗いし、決してキレイではないのだが、そんなことは大して気にもかけていなかったのだけれども、あそこが自殺現場だと言い張られてしまうとあっさり怖くなってしまい、
「ひいいいー!結構あそこのトイレ使ってたんだけど!」
かなりびびってしまったではないか。今のR以上にかつてオカルト大好きっ子であったためか、大人になっても未だに吹っ切れないようである。
とにかく今後もうあそこ行けない。冷や汗もんである。
霊感はないけど冷汗三斗。なんちて。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。