2005年08月26日(金) |
DVD「good day house」鑑賞 |
小林賢太郎プロデュース♯1「good day house」
cast カタクリ工務店…片桐 仁 (1階) カフェマスター…犬飼若浩 マスターの妹タミコ…森谷ふみ (2階) お受験塾塾長…小松和重 マサ(講師)…西田征史 サオトメ(講師候補)…野村知広 (3階) アーチスト?…小林賢太郎 (4階) “good day house”オーナー夫妻…室岡悟&平田敦子
KKP公演第一作は、 4階建て・エレベーター無の 雑居ビル“good day house”の店子と大家、 そして内装のためにやってくる工務店の男による、 楽しくて、間抜けで、変で、微笑ましい物語でした。 the1st Floor カフェ「ボン・ボヤージュ」を開き、 おしゃれで国際派のセレブが集まる空間に ……なったらいいなあと夢見て、 「ひとりカフェごっこ」に興じる男(犬飼)と、 それを呆れつつも見守る妹タミコ(森谷)。 そこに、改装を依頼されたカタクリ工務店 (片桐。「以下「内装屋さん」または「片桐さん」)が来て、 男のたまげた数々の要求を聞いて、 口に含んでいたミネラルウォーターを噴き出しつつ、 客の入るカフェをつくれるように、 見当違いのアドバイスをしますが……。
「きまじめなパティシエ」「きまじめな編集者」 「きまじめな図書館職員」と、 #2~#4で、きまじめキャラを貫いている犬飼さんが、 この記念すべき第1作目では、 ややスノビッシュだけれど憎めない、 そして、どこか底知れなさを感じるヘンな男を 好演していました。 森谷さんとの息もぴったりです。 カフェ・飲食店に限らず、 (かなり趣味に走った)自分の店を持ちたい、と 一度でも考えたことのある方ならば、 マスターを他人とは思えないのではないでしょうか。
the 2nd Floor 小学校のお受験塾が新装開校予定の2階では、 塾長(小松)、柄悪いけど講師のマサ(西田)、 そして、マサに街でスカウトされてきた 新人講師候補のサオトメ(野村)が、 面接試験のシミュレーションをしているところに、 内装屋さんが見積もりにやってきます。 塾長ら3人のやりとりを聞いて勘違いし、 幼児誘拐の現場だと思ってしまう内装さん。 あの手この手で必死に阻止しようとしますが、 しまいには、「僕も金が欲しいから仲間に入る」と言い出し…
アンジャッシュのコントにありそうなシチュエーションですが、 もちろん話の展開上、誤解を解かないままでは終わりません。 塾長が内装屋さんの誤解を解こうとするくだりが笑えます。 ヘアスタイルといい、シャツの趣味といい、 チンピラにしか見えないマサが演ずる「5歳児」はお見事! 全国の4~6歳児を持つ親が、 「うちの子がモデルか?」と思っちゃいそうな 「あるあるある」な話し方がすばらしいと思いました。 やっぱり西やんは、何やってもうまい。 小松さんの、どこかギョーカイ人っぽいノリも、 妙に安定していて、安心して見ていられました。 「豊かな発想、に見える発想」は、今やうちの流行語です。
the 3rd Floor 翌日個展を開催する予定のアーチスト(小林)。 が、本人は惰眠をむさぼり、ただっ広い空間には、 ブルーのシートと、 何も描いていない大きなキャンバスが数枚あるだけです。 内装の依頼がなかったのを忘れ、 たまたま3階も覗いた内装屋さんはすぐに帰ろうとしますが、 その状況を捨て置けず、 急遽、やる気のない男にアート指南を始めます。 (よくよく首を突っ込むのが好きな人だ)
小林×片桐だけのやりとりということで、 通常のラーメンズのコントに一番近いので、 これが一番見やすいという方もいるかもしれません。 「性の解放」をテーマに絵を描かせるため、 片桐さんが次々繰り出すエロ小説語りを、 体育座りして聞く小林さんがおかしかったです。 片桐さんの、「見る側に回んなよ!」というツッコミもgood。
the 4th Floor 「good day house」のオーナー夫婦の住居。 オーナー(室岡)はいわゆる帰国子女で、日本語があやふや。 しっかり者で威圧的な妻(平田)をこよなく愛しており、 「君は僕の嗜好品(覚えたばかりの言葉なので、使ってみたい…らしい)だ」と 言ってはばかりません。 どうやら日本文化をどこかで間違えて吹き込まれたようで、 毎朝店子と「朝の会」を開き、体操をし、「ビル訓」の唱和をさせようと 目論んでいます。 その説明のために集められた1・2階の間借り人と、 飛び込むように入ってきたアーチスト、そして内装屋さん。
まとまりのよいオムニバス映画のオチという風情です。 前半の笑いどころは、通常のラーメンズのコントを 室岡&平田夫妻が代わって演じているような台詞の数々でしょう。 (室岡=片桐、平田=小林、と感じました) とにかく、室岡さんのキャラクターが抜群に立っています。 店子さんたちが続々入ってきてからの後半の群像劇も にぎやかで楽しく、 あったかい気持ちでオチを迎えられました。
2005年08月22日(月) |
モチベーションを高める |
その昔、私が中学生の頃だったと思いますが、 脚本家の小山内美江子さんが、 「借金がないと働く気が起きない」 という趣旨のオトコマエなことをおっしゃって、 伊豆だったかに別荘を買われた…という話を、 小山内さんの御子息の利重剛さんがものしたエッセー集だったかで 立ち読みしたことがあります。 (利重さんのファンだったのです←だったら本買えや)
これはいかにも一流の仕事をなさっている方の豪快な哲学で、 マネのしようもありませんが、 ビンボー在宅キーボード打ちの分際ですら、 非常に非常にごくごくごくスケールの小さなものですが 似たようなことはちょくちょくやっている気がします。 というよりも、これを読んでくださっている すべての方が、そうなんじゃないかなあと思いますが。
本、DVD、CD、食うもん、身につけるもん、 今どうしても必要ってわけでもない。 でも欲しいなあ。所持金で買えちゃうなあ。 で、後から欲しくなったときに、もしも手に入らなかったら、 きっと後悔するだろうなあという 未来予測ができる物品って、 「買っちゃいます」よね。 それがたとえ300円の食玩だったとしても、 心ときめくお買い物です。
私は、「自分に御褒美」ができるほどの 人間ではありません。 それなりに頑張っているつもりではありますが、 どうも、自分の頭を撫でるためのものは 買うのをためらってしまう方です。 どちらかというと、 「おーし、これから仕事するぞー」 「懸案のアレを何とかするぞー」 というときに、 「ほれほれ、これ買っちゃったんだから、 少しはマシな仕事せえ」と 自分の尻を叩くような、人質にとるような、 そして、そのために「なんかいい気分」にさせるような、 そういうものをちょこっと買うのが好きです。
モチベーションを高める
ああ、シビれる言葉です。
で、ここ何日かで買ったものは、次のとおりです。
ノーナ・リーブス 「New Soul」他両A面シングルCD1,200円 KKP第3弾「PAPER RUNNER」テーマ曲 正直、買ってみたら、意外と「よくある曲」だなあと歌詞を見て思ったものの、 メロディーラインの美しさが気分を盛り上げます。
駅のベンチ型フォトフレーム兼小物置き924円 ヴィレッジ・ヴァンガードで購入。 黄色い座席の四つついたステーションベンチの、 いわゆる「看板」がついている部分にカードが挟める。 座席には、小さなブタの置物や、食玩のお鍋、 「クマのプーさん」のカンガ(母カンガルー)の フィギュアなどを座らせています。 買った一番の動機は、「これを飾るために、 部屋掃除する気になるかなー」だったのですが。
どちらも欲しくて買って気に入ったものだし、 物品そのものにケチをつける気はさらさらないのですが… どうにもビンボーくさいなあ。
2005年08月19日(金) |
DVD「PAPER RUNNER」鑑賞 |
PAPER RUNNER
cast さすらいの編集者・渦巻…片桐 仁 きまじめな編集部員・志熊(しぐま)…犬飼若浩 編集部の紅一点・マチ…森谷ふみ ワイルドな編集部員・嵐山…久ヶ沢徹 存在感上等!の編集長・室岡…室岡 悟
原稿持ち込み青年・オマタ…安田ユーシ 「日本一早いバイク便」便便ライダー・西…西田征史
KKP(小林賢太郎プロデュース)の第3弾。 今度の舞台はコミック誌編集部です。 岡山から「コミックハポン」編集部にやってきた “トマト”ことオマタ青年は、 Dr.セオリーとやゆされる編集部員・志熊に、 「キャラ設定やストーリーづくりで セオリーを守っていないまんがはだめ」と、 持ち込み原稿を酷評されます。
が、画力はなかなかのものだし、何より描くのが早い! そこを見込まれ、突然発生したある事件を受けて、 12ページの穴埋め原稿を速攻で描かざるを得なくなります。 編集長から、荷物待ちのバイク便配達員まで、 その場にいるほぼ全員が額を突き合わせ、 まんがのキャラクター設定とストーリー案をつくり上げ、 トマトに「協力」しますが、 その余りの無責任さ、荒唐無稽さに怒ったトマトは、 もういい、自分ひとりで描く!と鉢巻きをきりりと締め、 プロットづくりに没頭します。 そうして出来上がった物語とは……!?
ストーリー展開上、 ややしつこい演出になったところもあって、 ウェルメイドと言い切るには葛藤があるのですが、 今まで4作発表されたKKP作品のうち、私はこれが最も好きです。 安田ユーシさんの岡山弁が、愛らしくも心地いいし、 おどおどしているように見えて、出るべきところでは出るという性格も、 いかにも漫画家志望青年像だなあという説得力があったし、 ラーメンズの相方であるということを割り引いても、 恐らく小林賢太郎に最も愛されている男・片桐仁は、 今回が一番かっこいい役でした。 (コスチュームは、どう見ても 「One Piece」にこういうキャラいなかったっけという風情でしたが) 私の最もひいきの西やんは、 今回は「ヒロシ」が高テンションになったような見てくれで、 編集部の現場においては部外者ながら、 きちっと溶け込んでいました。(ダイドードリンコのコーヒー、飲ませてやりたかった…)
今回は「作・演出」のみだった小林賢太郎ですが、 カーテンコールに顔を出しただけで、 もう全編に出ていたと同じくらいの効果がありました。
先日見た「LENS」には、片桐仁の出演はなく、 後から思い返しても、確かに彼の居場所はなかったろうなあと 感じましたが、 今回は全く逆で、小林賢太郎でもはまりそうな役、と考えても 全くピンと来るものがなく、 2人の個性の違いを再認識しました。
8月16日午前11時台後半のある時点、 相方と私と下の娘は、 8年働いてお亡くなりになった洗濯機の後釜を求め、 家電量販店とホームセンターのはしごをしておりました。
12時過ぎに到着したホームセンターで展示品のテレビを見たら、 「宮城県南部で震度6弱の地震」 というニュースがちょうど流れていたのですが、 それを見た私たちの感想は、 「ふうん。その割にこの辺の揺れは (きっと)大したことなかったんだね」 「つーか地震あったんだ…全然気づかなかった」 なのでした。
時間から考えて、車で移動中だった模様。 それにしても、後から知った郡山市の震度は4でした。 どんなにぶちんでも、気づいて当然の揺れ…だったはずです。 自慢じゃないけど、私は震度2程度だと全く気づかないこともあります なぜ気づかなかったのか、今もってわかりません。 相方も私も、本当に微塵ほども揺れを感じなかったし、 敢えて下の娘を動物よばわりすれば、 彼女の野生の部分に呼びかけるものもなかったようで、 彼女も無反応でした。 上の娘は塾の夏期講習を受けている最中で、 建物の2階にいたこともあり、結構大騒ぎだったそうですが。
「車に乗っていたからでは?」と思ったのですが、 27年前の宮城県沖地震(やはり郡山市は4だった)のとき、 自分の父を含め、揺れ当時に車を運転していたという人たちは、 一様に、こんなふうに言っていたはずです。 「タイヤがパンクしたかと思った」 ……今回、そういう感覚すらありませんでした。
私たちのような掛け値なしのにぶちん認定者は ともかくとして 全く気づかなかったのには、ちゃんと理由があるのかもしれませんが ちょうどテレビで正常性バイアスについて見たばかりの上の娘は、 騒ぎつつも、逃げる等の素振りを見せたり、 指示を出さなかったりした講師や周囲の人々の様子に、 まさに「これ」だなあと実感したそうです。 とか思った時点で、彼女自身も正常性バイアスの呪縛にとらわれていたわけですが。 正常性バイアス…緊急事態に遭遇したとき、 それが平常であるかのように思い込もうとしてしまう心理 リスクの過小評価による被害は、いわゆるパニック状態より深刻とか 一言でいえば、「ちったぁ慌てろ!」ということでしょう
2005年08月12日(金) |
「おじさん」「おばさん」ってそんなにアレか? |
昨日初めて「アリコジャパン」の 「佐藤弘道おにいさん」出演のCMを見ました。 この人、多分とってもいい人なんだと思いますが、 どうも顔が好きになれなくて(決してブサイクという意味でなくて) 正直、何故あんなにもてはやされているのかわかりません。
CMでは、「ひろみちおにいさ~ん」という子供達の大合唱に応え、 颯爽と登場した佐藤氏が、 「ていうかおじさん」という何気ない言い直しに落ち込み、 「自分でも、もう若くないなあって感じることがあるんです」と、 “ヒロシ”のようなダウン状態で独りごちるわけですが… 実年齢よりも若々しい「ひろみちおにいさん」の 永遠のおにいさんっぽさを逆手にとったCMということで、 今後結構評判にもなりそうだし、訴求力もありそうですが、 何だか中途半端な感じです。
体のキレや機能・見た目がどうのという意味ではなくて、 子供というのは、「子供に見えない風体」の人を全部 「おじさん」「おばさん」と呼ぶものなのではありませんか? そりゃまあ、20代においてはデリケートな問題かもしれませんが、 どう見ても30、40代以上の人に向かって 「おにいさん」「おねえさん」と言う子の方が、 何か邪な意図が見えるようでイヤです。 どうせならば、甥でも姪でもない子供に、 16歳の若い身空で「おばちゃん」と呼ばれてから 落ち込んでいただきたいもんだ。 しかも呼んだのが学校の数学の先生のお孫さんだったので、 ドツくわけにもいかないし、ストレスたまりました。
まだこの人が「10代目体操のおにいさん」になったばかりの頃、 だから10年以上前だと思いますが、何かの雑誌の投書で、 「新しいたいそうのおにいさんに萌え~」 という感じの、自分と同世代か少し上くらいのお母様の 一文を読んだことがありましたが、 (当時は萌え~、とは言わなかったか) なるほど、その当時だったら「おにいさん」でもよかったのか。 この佐藤弘道おにいさんは1968年7月14日生まれだそうなので、 私より1日若いだけだということが、 この日記を書くにあたっての検索でわかりました。 何だよ、やっぱりオッサンじゃん! 「ピタゴラスイッチ」で「おじさん、何してるの」と呼ばれる 小林賢太郎(32歳)の立場がないぞ。
2005年08月11日(木) |
まだまだダイエット中 プールへ行こう! |
今回は珍しく、ダイエットが長続きしています。 体重も少しずつ、安定した減少を見せていますが、 やはり食事とユルめのストレッチだけでは限界があるので、 下の娘と2人でプール通いを始めました。
市内に二つある市営プールのうち、 新しい方が近所なのですが、あえて古い方に。 オープン時間が2時間ずつの細切れなのはちょっと不便ですが、 古いせいか、 はたまたロッカーの鍵がイカれているところが多いせいか、 そんなにはやっていないので、 更衣室も混まないし、入場料安いし、 市の中心部にあって、帰りのお買い物も便利で、 一応「いいことずくめ」です。 (ロッカーの鍵を除けば)
子供用の深さ30センチくらいのプールを ワニのようなポーズではい回っても、 なかなかいい運動になるし、 プールまでの自転車漕ぎ自体が運動不足解消にぴったりで、 これは夏中続けられそうだわ、と思ったら、 娘に欲しがっていたピンクのゴーグルを買った途端、 天気が崩れてまいりました。 「俺が洗車すると、どういうわけか雨降るんだよ~」と あやしげなジンクスを言うお父さんがよくいますが、 (うちの相方ではありません…とは言い切れない) あの気持ちが少しわかります。 人生とは、えてしてそういうものなのでしょう。
2005年08月10日(水) |
小林賢太郎プロデュース♯4「LENS」 |
小林賢太郎プロデュース♯4「LENS」
関東大震災の2年後、東京・本郷の図書館で起きた、 250冊もの本の紛失事件。 前後して同じ場所で幽霊騒動があったため、 オカルト専門のエリート刑事(大森南朋)が捜査に当たるが、 その場に居合わせた図書館職員(犬飼若浩)、 所轄の巡査(久ヶ沢徹)、人力車夫(西田征史)、 そして推理小説家の卵(小林賢太郎)が、 独自の領分・発想から推理し、事件を解決していく……と書くと、 本格(かどうかはともかく)ミステリー劇かと思われますが、 実に上質のスラップスティックコメディーでした。
時代考証がどうのということは、私にはよくわからないし、 「あえて間違えている」部分もありましょうから云々しません。 それぞれに違った個性を持った5人の役者が めりはりの利いた役割分担で見せてくれて、 全く飽きさせない、そして続きが見たくなるような※ 90分強の舞台です。 ※そもそもこの舞台自体が、小林さんも出演した椎名林檎さんの 「百色眼鏡」とリンクしているようですが、 残念ながら、椎名さんにほとんど興味がないので、全く見る気がしないのです。
小林賢太郎の書生・天城茎太郎(おまけに小説家の卵)役は、 ファンならば、字面だけでそそる設定です。 「アンケートをとって1位になったものを演じた」としか思えません。 冒頭の刑事とのやりとりは、 まるで藤城清治の影絵に溶け込んだような印象的な構図でしたが、 長身の背中を折って、カフェーの小さなテーブルで せっせと物を書く小林さんのシルエットは見事でした。 絵に……いえいえ、「影絵になる男」です。
お話の性質上、ネタバレを意識して、多くを言うのはやめときますが、 その卓抜した洞察力ゆえ、「自分標準」のレベルが余りにも高く、 そのために何かと説明不足になる →小説書いてもその癖が出てしまい、 →結果、何が何だかわからんおもしろくない小説の出来上がり、 という皮肉。 ウディ・アレンの「ブロードウェイと銃弾」を思い出しました。
マフィアの情婦を舞台女優として起用するよう言われ、 渋々受け入れた劇作家デビッド(ジョン・キューザック)と、 素人ながら、デビッドの脚本にダメ出ししているうちに、 意外な才能を発揮し始める情婦の用心棒 (チャズ・パルミンテリ)の物語でしたが、 「LENS」の天城は、この用心棒の別バージョンです。 用心棒は、自分の才能や創作意欲がどうのこうのというよりも、 自分が手を加えることで芝居がよくなる →よくなるから、できるだけのことをしたい →そのためには、手段を選ばないという段階を踏みながら、 非常に清々しく突っ走ってしまったため、悲劇に見舞われました。 天城の場合、小説家を志すくらいだから、創作意欲は十分。 でも、書いても書いても編集者に酷評されるし、 自分には才能がないと何となく思っています。 でも実は、天城は「書く」からこきおろされるんではなくて、 「書かない」からボロクソに言われてしまうんですね。 なぜ書かないか? 説明し過ぎは格好悪いという美意識があるし (これは間違っていないけど) ほとんどのことが、彼の脳内で 「言わずもがな」と判断されるから。
「LENS」作中、 「アリは自分の体重の700倍の重さのものを運べる」 「でもアリにはその自覚がない」 というようなやりとりがありました。 4日に感想文を書いたKKP♯2の「Sweet7」でも、 「食べただけでそのケーキをそっくり再現してつくれる“魔法使い”」 の話が出てきましたが、 小林さんは、こういう感じの真の「天然」に弱いんでしょうかね。 (やべ…こうして書くと、どこがどうつながっているのかわかんない流れになってしまった…) 今までつくり上げてきたコントも含め、 彼の作品というのはみんな、 「天才」として崇められることも多い御本人の 矜持、羞恥、自負、苦悩…さまざまな糸を使って編み上げた タペストリーのようなものなのでしょう。
2005年08月05日(金) |
観賞記 教育テレビ「バケルノ小学校~ヒュ-ドロ組~」 |
はじめに…… 「おにいちゃんだいすき」というキーワードの検索で 来てしまったという方、 こちらは「そういう」テイストの内容ではございません。 御期待に沿えず、申し訳ございません。
4年前にスタートした人形劇 「あつまれじゃんけんぽん~バケルノ小学校物語」が、 現在は「バケルノ小学校~ヒュ-ドロ組~」として放映中です。
その名のとおり、小学校が舞台のお話ですが、 主人公・ノビローが人間の少年なのを除くと、 校長はタヌキ(文福茶釜かっ)、 給食調理員はのっぺらぼう(腕は一流)、 美人の担任オキクは幽霊(柳の下で絵になりそう)、 転勤中の親と離れて暮らすノビローの 里親を務める一家はカラステング。 (「オテング父さん」こと一家の主は、ノビローの父親の幼なじみとか) 同級生も、河童に双子のイエティ、化け猫、おばけキノコと、 いわゆる「化け物」ばかりです。
本日朝9時から放映されたエピソード 「おにいちゃんだいすき」は、 テング夫妻の子供で ノビローを実の兄のように慕うコテングちゃん(らぶりー♪)を、 ノビローがちょっとうっとうしく思ってしまうけれど、 楽しげに弟達の面倒を見る河童の三太の様子を見て、 邪険にしたことを反省…というような、 まあ、よくあるタイプのお話です。 (15分番組だし、道徳番組だし、キャラ勝負だしな) 最後、学校のきもだめし大会で、 ノビローは、コテングに手伝ってもらって 先生たちを嚇かすことに大成功します。 かわいくて微笑ましくてまとまりのいい、いいお話でした。
ただ、やっぱりひっかかってしまうのは、 「何でこの学校でわざわざ肝だめしやるかな」 ということです。 だって、毎日が肝だめしみたいなもんだもの。 今回も、ノビローとコテングのコンビに嚇かされて見せた、 オキク先生の般若顔の方が、よっぽど怖いと思いました。 多分制作者も、 そういうふうに突っ込んでほしかったのではないかと思うので、 この地味な日記サイトではありますが、 積極的に突っ込ませていただきます。
2005年08月04日(木) |
小林賢太郎プロデュース公演 「Sweet7」鑑賞 |
小林賢太郎プロデュース公演 「Sweet7」 のDVDが届きました。
詳しくはこちら。※Amazonのページに飛びます。
「ラーメンズ」の小林賢太郎がプロデュースした2年前の舞台ですが、 小林さんが相方・片桐仁との掛け合いを見せるのは、 冒頭とエンディングのみ。 だから、役者としてのコバケンが好きな方には、 ちょっと物足りないかな?と思いきや、 戯曲(コント)作家としてのコバケンの存在感は、 全編そこかしこに現れています。 役者さんがみんな達者というのもありましょうが、 本当に、全く飽きさせない2時間半でした。 (そんなに長いのに、昨日だけで2回半もの ヘビーローテーションをしてしまいました) むしろ、コミカルな舞台に定評のある劇団に、 片桐仁が客演として参加しているような趣がありました。 (といって、もちろん浮いているわけではありません)
「二代目として頑張る、ちょっと食えない女性 ヒロミが切り盛りするケーキショップ「七日堂」は、 有名パティシエを抱え大繁盛する至近のライバル店のおかげで、 商売上がったり。 (というか、そういうのを「ライバル」と言うのか?) 起死回生を図るため7日間店を休み、 新商品開発などの作戦を展開します。 が、職人たちはといえば、 「海外での修行歴も受賞歴もなく、普通のケーキしかつくれない」毛利、 「ケーキ以外のものなら何でもつくれる立体造形のプロ」じゃくずれ、 「ここ何年もケーキをつくっていない、 無人島が似合いそうな男」アライの3人です。 唯一まともな毛利には、アシスタント・瀬込(せこむ)が 雇われることになりますが、こいつも実は食わせ者で…」
上記以外にも、個性豊かで 誰1人欠くことができないキャラクターが 3人ほど登場します。
ちなみに小林さんは牛乳屋さんの役で、 片桐さんのもとに生クリームを納品に来るのですが、 短い登場ながら、一癖ありそうなキャラクターを見せつけます。
「あ~あ~。向いててー」 「わかんねぇよ。俺ば・か・だ・か・ら~」(なぜか偉そう) 「ご~み~だ~し~ジャンケン…」 「明治維新ってこんな感じだったんだろうな…」 など、いつものラーネタ同様、 いつまでも頭の中にこだまする名台詞も満載です。 また、ボタン好きの私といたしましては、 片桐さん扮する「じゃくずれ」のパティシエ服にたくさんついている 巨大な(直径10㎝くらいありそう…)カラフルボタンの数々は ヨダレものでした。
小林賢太郎プロデュース(KKP)作品は、 ほかにも何本かありますが、 従来の箱二つ(プラスアルファ)だけのセット、 2人の人物だけで構成される無限の世界に惹かれていたので、 正直言って、ほかの人たちとの絡みってどうなんだろう、と、 (初期の「零の箱式」はおもしろかったけれど) 買ったはいいけれど、見るまで少々不安だったのですが、 そんなつまらない偏見は払拭されました。 (いや、全部見るまでは、「払拭」までは言い切れないかも) 少しずつ、何とか見ていきたいと思います。
それにしても、です。 ケーキショップを舞台にした物語だというのに、 全くケーキを食べたいという気を起こさせないつくりというのは、 ある意味清々しいものです。 (あ、でも、コンビニのケーキは試したくなりました) ダイエット中でも、安心して鑑賞できるぞと、 ダイエット中の人間として、強くお勧めいたします。
2005年08月03日(水) |
テレビ観賞「地球ドラマチック なりきりドキュメント1」 |
NHK教育テレビで毎週水曜日午後7時から放映中の 「地球ドラマチック」では、 世界の選りすぐりのドキュメンタリー番組を放映しています。
なりきりドキュメント その1 『第1回 ハンバーガー屋さんがトップシェフに』
「イギリスの田舎町でハンバーガーを売る気の好い青年 エド・デブリン(推定年齢25~30)が、 ちょっとピーター・ギャラガー似。背は低そう。 4週間、トップシェフの手ほどきを受けて料理コンテストに出場し、 審査員に似非シェフであることを見破られない」 ことを目標とする、“なりきりチャレンジ”です。
ところで、イギリスといえば、 映画やドラマや小説の中のシーンでもおなじみの 「フィッシュ&チップス」ですが、 エドが切り盛りしている店は、 「チキン&チップス」という看板のついたスタンドでした。 ということは、チキンバーガーなのか、 「ドチキン」も売っているということなのか。 ま、どっちでもいいんですけど。
エドは最初は、 「食へのこだわりは特にない」 と言い、チリビーンズ?とチーズのトーストをうまそうに食べ、 「人に偉そうに命令するくらいなら、小さくなっている方がマシ」 と発言して憚らない、愛すべき気弱な腰抜け君でした。 私は、こういうタイプの人に 「男として、それでいいと思ってるのか!」と 余計なお節介を言うタイプの人の方が どっちかというと嫌いなので、 エドに料理やシェフとしての心構えを教示する人たちが、 あのヘラヘラ君の人格をずたずたにしちゃうんじゃないかと、 ひやひやしながら見ておりました。
1人目のシェフ・デビッドは、 自分の家にエドを居候させてやったり、 勉強のためにいい店で食事させたり、 冷淡そうなルックスとは裏腹に、 結構わかりやすいいい人。 (仕事上ではかなり厳しかったけれど) 2人目のシェフ(名前は忘れたけど短気で有名)のところに行って 1日目、余りのシビアさに4時間で凹んだエドが、 デビッドに愚痴をこぼしに帰る1コマすらありました。
それでも、ハンバーガー焼きで培った?手際もよかったのか、 もともとそれなりの資質があったようで、 料理(殊にデザート)も褒められるようになるのですが、 コンテストのシミュレーション時に魚を焦がしたり、 アシスタントからも責められたり、 かなり追い詰められているなあとわかるシーンも 幾つも見られました。 いつも言われるのは、 「愛想がよすぎる」「もっと傲慢に振る舞え」 ……そういうもんなんでしょうね、上に立つ人間って。 そのあたりのバックアップとして、演技指導もつけられます。
果たして、コンテスト当日。 参加4チームのうち、エドを除く3チームは、 シェフ歴3年から5年の料理人をトップに据え、 審査員の質問に答える態度にも余裕があります。 エドはというと、 別室のモニターで様子を窺っていた 2人の「チューター」シェフと演技指導の女性が、 「すごい」「奴は怪物だ」と思わず言うほどの変身ぶりで、 アシスタントへの指示もてきぱきと、 ひょっとしたらひよっとするかも…という仕事ぶりを見せます。 料理の出来も(一部を除いて)概ね好調。 さて、結果は?
……このシリーズは、再放送の可能性もありますが、 いつになるかわかんないし、 あえてネタバレさせていただきますれば、 見事、優勝を勝ち取りました。 結果発表時、モニター観戦の3人が、 4位、3位…と、エド・チーム以外の名前が呼ばれるたびに、 歓声を上げたり、抱き合ったりして喜ぶさまが なんかよかったです。 「お、ビリ回避」 「3位…でもない。ということは最悪でも2位か。 ひょっとするとひょっとするぞ~」という感じで、 徐々にテンションが上がっていくのが、 見ているだけで読み取れましたもの。 審査員に後から、 「4週間訓練を受けただけの似非シェフが1人だけいたが、誰だと思うか」と聞いても、 エドの名前を挙げる人はいませんでした。
例えばこれをドキュメントではなくて 映画やドラマとして見ても、 キャラクターたちはみんな魅力的だし、 お話の展開もうまい(いいぐあいだ)し、 実に実にさわやかな印象で、 楽しく見られた45分だったのですが、 一つだけ気がかりがあります。 クライマックスの料理コンテスト、 エド・チームが作った1品目の魚料理、 「油っこい」とか言われて結構批判もあったし、 ほかは一応、それなりの一流店のシェフばかりのはずなのに、 それでもエドが優勝できるということは… 実は、コンテストのレベル自体が 物すごく低かったということでしょうか。
でもまあ、今までよりちょっと成長して、 意気揚々と田舎町に帰っていくエドの姿が、 そういう不審点も「ま、いいか」」に変えてくれました。
|