あぁまだ、たったこれだけしか来ていないのに、 *空のあわいを眺めて雲の底辺が灰に翳っているのを見るもうあおぞらの色も見えなくなってしまったここにもう聞こえないほど淡くうつくしい花が咲いている朝の光も夕の戸惑いも忘れて瞠る目もなく問う唇もなくせつなく花が咲いている明け方には蜉蝣 日中には逃げ水夜にあっては触れる指さえなくて咲く 花は色を追うこの目が滑稽なほど淡く憂鬱さの名残りだけ残してひらくそこには伏せる目も語る唇もない陽光に溺れるごとく