華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
MAIL  PROFILE & GUEST BOOK  


 本文が読みづらい場合、
 Windowを最大にして
 お楽しみください。

 +お知らせ+
 表紙にミニ伝言版開設!ご覧下さい。




-past- +elegy INDEX+-will-
2002年09月12日(木)

仰げば尊し。 『我が師の恩』
<前号より続く>



 「帰り際、名刺に電話番号を書いてくれてね・・・今度家に遊びに来いって」
「行くの?」

 「うん、今度は先生の家に遊びに行くんだーっ」
「へぇ〜っ」

 「実はね・・・ずっと一度先生にあの頃を謝んなきゃって思ってた」
「いい事じゃん」

 「ついでに実家にも一度帰って見ようかと思ってたし」
「実家?帰ってないの?」

 「あの頃・・・実家にも迷惑かけたから、今でもちょっぴり帰り辛いんだよね」


ノリカは中学卒業後、家出同然で家を飛び出した。
その後の生活はどういうものだったかは、彼女の口からは何も語らなかった。


法律に反しない年齢になり、金目当てでこの業界に飛び込み、
社会の風の冷たさ、厳しさを『肌』で痛感した結果、ついに更生を果たした。


実家には連絡だけは入れているそうだが、家出以来ほとんど帰っていない、と
寂しげな表情で言った。



 「何だか親には、本当に申し訳なくて・・・」
「でもそうやって過去を反省しているんだから、君は立派だよ」

 「ありがと・・・あの頃は本当にバカだったな。殴ってやりたいくらい(笑)」
「それこそボコボコにしそうだね(笑)」


実家に、そして彼女の心に残した不良時代の傷跡の修復は、
彼女自身の更生よりもさらに時間を要するのだろう。



ノリカは先日の先生との再会以来、
過去に残した傷跡を一つずつでも縫い合わせていこうと考えるようになった。

実家や世話になった先生への挨拶もその一つ。

 「やっぱり後ろめたい気持ちでいたくないもん。
  確かに思い出したくない過去でも、逃げてばかりじゃ何も終わらないしね」


悪い仲間とは縁を絶っても、全ては解決できない。
最後に行き着くのは、自分自身の心の問題なのだ。

俺は期せずして、心が洗われるような清々しい気持ちになった。


ノリカは過去から逃げず、自分と向き合って清算する構えでいる。


 「だって自分が親になった時、後ろめたい気持ちで子供に接したくない。
  自分が昔ワルだったんだぜ・・・なんて自慢する奴、私。大嫌いだもん」

「結構多いでしょ、そういう男」
 「そういう奴に限って実は中途半端なんだよね、私から見れば」


説得力ある言葉だ。



60分の時間は、すでに後半を回る。


 「時間なくなっちゃう・・・しよっか?」
「大丈夫?できる?」

 「本番はできないけど(笑)、頑張る」
「いいけど(笑)、本番はしないんだ」

 「一応愛する旦那がいるもんでさ(笑)」


借金返済のために『店外交際と本番行為をしない』という条件で
この仕事を渋々認めている旦那がいるという。


先生の嫁に行け!という心配はどうも無用だったようである。



俺とノリカは寄り添いながら、ベッドに横になる。
ベッド脇の壁には、全身が映る鏡がある。

鏡に映る女の肉体、というのも艶かしいものだ。
華奢な身体の割に大きめの乳房は、横になってもしっかりと存在を示していた。


ノリカは繊細な舌先で俺の上半身を舐め上げ、掌で俺自身を器用に操る。
そして口に咥えて、強弱をつけての律動。

俺もノリカに69になるように頼み、彼女自身を舐め、指で触る。
余分なヘアのない、綺麗なノリカ自身。
突起を剥き出し、ごく軽く触れて責める。


ノリカは咥える口を時折離し、喘ぎ声を漏らす。
その漏らす声が、俺の男心を絶妙にくすぐる。



「ねぇ、上に乗っていい?」

彼女の得意技は騎乗位素股。


ローションを少し手にとって自らの股間に塗り込む。
男の股間に馬乗りになり、腰を前後にグラインドすることで互いの性器を擦りあう。

足の長い彼女は楽々と俺に跨り、勃つ俺自身に手を添え、
裏筋に彼女自身の割れ目を押し付け、前後に大きく腰を動かす。


もしこれが挿入されていたなら、俺も長く持たなかっただろう。
それくらい激しい技だった。


ノリカも目を閉じて、吐息交じりの声を上げる。


「気持ち良いの?」
 「うん・・・だって気持ちいい所に当たってるんだよ」


彼女の割れ目の奥の粘膜に、そして突起に、俺自身が擦れる。
これはもう擬似Sexだ。


そしてまた69になる。


ノリカは大きな動きで俺自身を攻め抜く。
もう長く持たない。
十数秒後、俺は果てた。
ほぼ同時に時間終了を告げる電子ベルが鳴った。


「・・・さすがプロだね」
 「もうこの仕事、長いからねぇ」

「でも、いい話聞いちゃった後でやる事やるってのも恥ずかしいね・・・」
 「大丈夫だよ、これが本当の私の仕事だもの」


22歳となっていたが、それは明らかな「公称」である事は言うまでもない。


 「歳?本当は26(笑)」

肌の具合や雰囲気などは随分若いので、さすがに26には見えないが。

 「もう8年になるよね、この仕事。長いよねぇ(笑)」


まだ余韻の残る身体に服をまとう。


「本当に気持ちよかったよ。ありがとう」
 「ハイ、これ」


彼女はノリカを自分の名前と出勤日の入った名刺を差し出し、別れの抱擁。


「まだ仕事続けるの?」
 「一応ね。中卒じゃ今の時代、他の仕事ないし(笑)」

「そんなことないでしょ・・・子供は?」
 「作る気になったら辞めるわ。まだもう少し掛かるけど」

「じゃ、また会えるかな」
 「また来てよ、今度はサービスするからぁ」

「どんなサービス?」
 「次に来た時のお楽しみよっ」



そしてインターホンでフロントと話をする。

 「ノリカです。お帰りです」


ノリカはフロント脇のカーテンの奥で、最後まで笑顔で手を振ってくれた。
そしてカーテンが閉じ切った時、俺は現実の世界に戻った。



雑誌に大きく顔の出ていた売れっ子だったので、その後も店の広告に載っていた。
しかしノリカは一ヶ月経った時、広告から顔写真が消えていた。


 「ハイ、○○○です」
「あのぅ、ノリカさんって娘を予約したいんだけど・・・」

 「ノリカさんですねぇ、退店されました」
「あ、そうですか・・・何時頃ですか?」

 「そうですねぇ、最近ですねぇ」
「どこに行かれたか、分かりますか?」

 「そんなの知りませんよっ!」


やけに強い口調で断言された。
この店の問題ある接客態度は今回だけではない。


いくら風俗業だからといってこのような接客が許される訳がない。
サービス業である限り、店に金を落としていく客は「神様」なのだ。


特に電話は広告と並ぶ、その店の「第一印象」を左右する重要な客との接点。

不況風が特に冷たく吹き付けるこの業界でも、
客の気分を害し、みすみす逃すような接客態度は絶対に許されない。


裏にどんな組織が付いているか分かった世界ではないので、
表立った抗議や行動を起こすほど、俺は突っ張ってはいないが。

その店員の粗暴な口調に気分を害した俺は、そのまま電話を叩き切った。

もう二度と利用しない。
ノリカがいないのなら、割り切ってまで利用する意味もないのだから。


ノリカが他の店に移ったのか、この世界から足を洗ったのか。
実家へきちんとけじめを付けに行ったのか、大好きな恩師の家へ遊びに行ったのか。

今となっては定かではない。








↑エンピツ投票ボタンです。宜しくお願いします。





☆ 毎度のご訪問&ご高覧ありがとうございます。


  あなたには、思い出に残る『恩師』がいますか?
  それは学校生活でも、塾や習い事の先生でも、近所の人でも。

  勉強や習い事だけではない、生き方など精神的なものを教えてくれた師が。


  ノリカが更生するきっかけになったものは、恩師の絶え間ない『励まし』。
  その言葉が少しずつ彼女の心に染み込んでいき、そして変化していきました。
 

  出逢えば気軽に挨拶し、
  悪い事を見かければ堂々と叱り、
  良い行いはしっかり誉める。


  そんな誰にでが経験した、ごく普通な「大人」と「子供」の人間関係でさえ・・・
  最近では本当に見かけなくなりました。
  現代の子供や若者は、実は随分寂しい思いをしています。

  不甲斐ない大人達の辻褄合わせで事を済まそうとする「自信の無さ」が、
  その姿に不安を覚える子供との距離を広げています。


  教育に携わる立場の方々、また子供を持つ方へ。
  昨今のマスコミを賑わすご苦労はお察しします。
  どんなに偏屈でも、聞き分けが無くでも、子供は子供なのです。

  社会の一員として生きる大人としての自信と、
  ご自身が若い頃に自ら経験した不安と理解をもって子供に接してください。


  お気に召していただければ、投票&My登録を宜しくお願いします。
  次回の『華のエレヂィ。』もお楽しみに。



My追加



Directed by TAIRA
©2002 TAIRA
All Rights Reserved.

ここに登場する女性・出来事は実話です。
Web上で公開するために脚色・演出してあります。

このサイトの全てにおける無断複製・転写を一切禁止します。
また、このサイトに掲載されている文章の全てにおける著作権は放棄しておりません。
商業誌、商用サイト等への転載および引用につきましては、
「華のエレヂィ。」メールフォームより
お問い合わせ下さい。

+ very special thanks +
Design by shie*DeliEro
thanks for Photo→Cinnamon







エンピツ