 |
 |
■■■
■■
■ ホスピスケア〜希望の家〜
「きこえてる? …きこえてるよね」
「もうすぐね、天国にいくよ」 「がんばったねぇ」 「いいこと、たくさんあったねぇ」
限りなくやさしい声が、もう間近のその人の横で囁かれた。
医学的にもう回復が見込めない末期の方や、死期の近い方が過ごすホスピス。 ホスピスに入ってから、周囲の人たちと色々あったその人も、もう間近のためにベッド上でずっと横になっていた。 もう、あと、2,3日。 往診に来た医師とスタッフの間では、改めて入院はさせない方向で話が落ち着いた。
そのあたりから、宿直であったり昼間勤務のスタッフは、かわるがわるその人のところで長い時間を過ごすようになる。 お見送りのときまで、その人が一人にならないように。 なるべくさいごまで、一緒に居られるように。 そして、やさしくこんこんと声かけをするのだ。 なるべくいい思いのまま、いってもらえるように。 さいごに、やさしい気持ちが残るように。
聴覚はさいごまで残るというから、たぶん聞こえてるんだと思う。
さいごのさいごまで、看取る。 さいごのさいごまで、寄り添う。
こういうのが、本当の看護の一つなのかもしれないと思って、 どうしようもなく涙が出た。
その施設では、入居者もスタッフも「生きる」ということをちゃんと見つめているという。 ホスピスって、そういうものなんだろうと思う。
その人が亡くなった後、スタッフがその人の思い出話をしながら和やかに笑っていた。 自分のいる現場は子どもばかりで、その上外科系なので、治る事が前提だ。しかも普通に生きていれば、本来たくさんの未来が待っている筈の存在だ。 だから、亡くなってしまったりするとどうしようもなく皆、やっぱり苦しいし悲しくなる。並大抵の悲愴ではない。 大学のころから、いずれホスピスや緩和ケアに行きたいかもと思っていた私も、就職してからはその死に耐えられない気がしていた。
けど、やっぱり、気になるなぁ…
どれだけ成長したら私はその現場に立てるだろうかと考えると、 いつまでたっても立てるようにはならない気がする。 でもその気持ちは心にとどめて、 とりあえず今を頑張るか と、思いなおす。
2008年11月07日(金)
|
|
 |