あお日記

2002年12月15日(日) 温泉旅行③

 高校の部活で知り合ったとはいっても、我々4人は学校を基点にまったく別方向から通っていたような格好だったので、当日の待ち合わせはミルの調べた時刻の列車に3人が乗り合わせてから乗り換え、最も田舎に住んでいる私がその単線列車に乗り込む形になった。目的地が山の中なので必然と使う路線がローカルで、そのくせ特急列車を設定している私鉄だったので、旅行にありがちな対面シートを3人でわいわい話しながらやってくるかと思いきや、空いている車内に何故か女性陣に取り残された格好で椅子を回転させることも無くミルが座っていたので、のっけから違和感を感じる旅行だった(笑)。目的が温泉に入ることなので、それさえ達成されれば良いのである。そう考えるだろう4人だったので特に衝突も無かったが、これにハマちゃんが加わっていれば輪が生まれる。彼女はそういう子だと車窓をぼんやり見つめながら考えた。私にその代わりをやれというのは荷の重いオプションだった。


 滞りなく終点に着いたが、そこから更に鈍行で山奥に行く間に天候が怪しくなってきた。計画ではダム湖の周辺なぞを散策してから宿に向かう予定だったが、明にはその旨が伝わっておらず、不可解な表情を浮かべる彼女に「夕方にならないとチェックインできないんだよ」と諭すのが無害な私の役目だった(笑)。これじゃ騙して連れて来たみたいだと思いつつ、そうでもしないとこいつは来なかったかもしれないと納得も出来るのだった。

 難しい性質を持っていると思われがちな明だったが、あれはそういった類のものではなくて、感情が素直に表情に出るだけである。この1年でよく話をするようになった彼女に対して、少なくとも私はそう思っていた。独断専行と言われがちなその行動は、私の目の前では発揮されることはなかった。むしろ対人においては相手に合わせるのが明だった。ただ彼女自身の持つ人間の評価は辛い(笑)。それだけのことである。



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