続・無気力童子の紙芝居
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温かかったのにね
小さい頃のわたしは 家族と買物に行くと 自分でレジに行きたがりました。 100円玉をいちまい、にまい、握り締めて並んで レジの係りの人に お菓子と お金をわたす お菓子にはテープをはってもらって じゃらりと お釣りを受け取る でもね さっきまでの 温かかった100円玉ではなくて 冷たい10円玉や1円玉。
さっきまで温かかったのにな って なんだか寂しくなる 小さい頃に それを父に言ったら 「お前は優しい子だね」って 頭をなでてくれたんだ
すべて そんなもの
今日はしゃぶしゃぶに行こうって母が言って でも お出かけから帰ってきた母は 風邪がぶりかえし 「今日はちょっと むりだね。」 そうか その予定ができたから 他の約束をキャンセルしたのにな それを友達に伝えたら 「そんなもんだよ。」
そんなもの か さっきまで いくつもりだったのにね
゛あんなに一緒だったのに" 夕暮れはもう違う色。
僕は なにがあったのかわからないまま もう何を言っても届かない気がする 口を開けば否定される 「そんなもの」
沢山生きてきたつもりで 色々諦めなきゃいけないことも知って 沢山の「そんなもの」にも 慣れたつもりだけど やっぱり 痛いものは痛い
さっき が もう遠いけど 温かかったのにね
さっきまで 温かかったのにね。
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なんだろう とても悲しいはずなのに なんだか心が晴れやかで
わたしは 新しい道を またすすむ。
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