「なにやってんだ、おま…」「ぺしゃん」
今朝は、満員電車に揺られながら、頭の中で何度もリピートがかかって、 その度に口元がえへら〜とニヤけてしまうので、非常に難儀した。
「なにやってんだ、おま…」「ぺしゃん」
でも、何度も何度も何度も繰り返されるうちに、 ついには、面の皮一枚下でえへら〜する術を身につけるに至る。
夕方、無理に入れていただいたアポに遅れそうになったものだから、 焦って焦ってアスファルトの上をガツガツ歩いていたら、ガツン!と音がして、ブーツの踵が折れてしまった。
がーん。
お取引先に「わ!だいじょぶですか?だいじょぶじゃないですよね!」と驚かれつつ教えていただいた修理屋さんで、 ぶらぶらの踵を20分掛かって直してもらって外に出たら、もうとっぷりと暮れた空。 会社に戻る前に軽く何かお腹に入れておこうと、手近なカフェに入ろうとしたら、 いきなり『ホテル ビーナス』のポスターが目に飛び込んでくる。 なんでこんな所に…と思ったら、つまり、そのカフェは某外国語学校とフロントを共有していて、 「中谷美紀さんの韓国語レッスンは当校が担当しました」ということらしい。
フロントには「初めての韓国語開講」のチラシが貼られていて、 そんな光景をアイスラテを飲みながら眺めていると、 私はクサナギさんの姿を日々追い続けて、確かに沢山のものを受け取り続けているけれど、 ただ受け取るだけで、自分自身では何一つ動こうとしていないじゃないか、 と、ちょっと情けない気分になってしまう。急に自分がからっぽになったような気がしてしまう。
日が落ちたばかりの街の明かりは、残業を終えてから見る深夜の明かりとは違って、 自分を取り戻す瞬間の高揚感に満ち満ちている。 だから、私は、ポツンと自分だけ取り残されたような、そんな気分になってしまう。
でも、これは悪いことではないのかもしれないな。 動き出したいという衝動が、私の中で死んでいないということなのだから。
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