澱み
 由緒正しい旧家とやらの流れの中で澱みに澱んだ重い思考と歪んだ行動。
 また僕の中に黒く重い塊が増えました。

 あの澱みに填まった侭、叔母達は放り出されぬ様必死で己の居る世界にしがみ付き続けている。
 きっと彼女達はたった一つでも事実を認めたら己の世界に異質が入り己が世界から排除されると思っているのでしょう。

 「死ぬ迄に一回は誰かに云おうと思っていました。死ぬ迄私は此の事を云わ無い心算でした。」
 お母様が感情を出来るだけ抑えてなされた告白、同じ内容を僕は叔父や叔母達から聴いて育ちました。彼等が無意味な優越感に浸る為だけに僕に其れを云い続けていたのだとお母様に知らしめはしません。是以上彼女は重荷を背負うべきじゃ無い。

 「あの人は私より可哀想なのだから。私より辛い思いをしてるに違い無いのだから。」とお母様は祖母の事を仰いました。僕も同じ言葉を心の中でお母様に謂い続けてました。
 僕にしか謂え無いのだと判ってますから、幾らでも僕に貴女の闇を流し続けて下さい。僕の中にどれだけ此の澱みが溜まろうと僕は澱みの所為では歪まぬ様に心掛けますから。
 「あんな莫迦共の為に死な無くて良かった。」と言える内はきっとまだ僕も貴女も歪んでおりませんから。

 一つだけ謂いたくて謂えませんでした。
 僕もお母様の決意と同様に己の此の秘密を死ぬ迄自分の中に抱えて生きていく心算でした、と。
 死ぬ迄秘め様と思う体験をしたのは貴女達ばかりでは無く僕もです、と。
2001年12月30日(日)
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