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■ 美容師とバーテンダー。
美容師とバーテンダーというのは何処か似ている。
温かな湯気に混じりゆくシトラスのシャンプーのにおいは、 昔からのいつものバーの、やさしくクールなマスターがつくる 〜きまって「おまかせ」と言ったときの〜カクテルにのせた レモンとかライムの香りに似ている。
それはいつも、角の丸い滑らかな氷が浮かんだ、形の良い ロングカクテルで、とてもおとなしい色なのだ。
やさしい声がマスターと重なり、その会話が、いくらそれが 彼の商売とは言っても、やっぱりわたしをリラックスさせる。 男のひとの強い輪郭の手指とそのあたたかさがここちよくて、 わたしは眼を閉じる。 ここが、わたしひとりを迎え入れてくれる世界だからだ。
今夜の夜景はすごくきれいだと思った。 それだけでいいんじゃないか。
ドトールの丸いテーブルの上に、ベッシー・ヘッドの本を 広げてそれを日本語に置き換えていく。
インプット、アウトプット。
テーブルの上に、セロウェ村の広くて乾いた農場が浮かんで消えた。
2003年08月16日(土)
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