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2002年02月20日(水)
スネークは大塚明夫で。「白蛇島」読了


同居人(♀)がいることを話すと、大抵どんな人か聞かれます。
そんな時、私はこう答えることにしています。
「うーん、なんていうかな。ぬっぺっぽう?みたいなー?」
これで二度と聞いてこなくなります。
効き目あるなぁ、妖怪。
詳しくは京極の「塗仏の宴 宴の支度」を参照。
最近は妖怪以下で、"水の入ったビニル袋"呼ばわりしてますが。
そんな同居人は、生意気にも榎さんと同じで干菓子(口の中の水分が取られるお菓子)が苦手なのでありました。

一緒に住んでるのに炊飯器も別で食事も別という、仲の悪い二世帯住宅みたいな生活を送っているのです。(これくらいにしとこう)


東京ローカル局とはいえ、現時点でオタク生活のかなりの割合を占めるテレ東。
昼時にむちゃくちゃカットした映画(しかも古い)を放送しているのですが、昨日は「ニューヨーク1997」でした。
もはや"1997"も過去になってしまった今、C級映画とはいえなにか感慨深いものがあります。貿易センタービル、重要拠点だし。

話としては、ニューヨーク島全体が、壁で外界と断絶させられた巨大な監獄になっているという設定で、ハイジャックでそこに大統領専用機が墜落。囚人の一人だった伝説の悪党スネーク・プリスキンが大統領を救出に向かうことになる。タイムリミットは20時間弱。スネークにはタイムアウト後に命を奪う仕掛けがセットされている。果たしてスネークは大統領を探し出し、生き延びる事ができるのだろうか?という感じ。

もちろん、この映画のスネークは「メタルギア」で有名なスネークさんのモデルでもあります。演じるカート・ラッセルはマッチョでタフな兄貴って役どころが多く、私は「物体X」で惚れました。「バックドラフト」もマッチョだぜぃ。
吹き替えのイメージは当然、大塚明夫で決まりですが、このお昼のロードショーではなんと、青野武さんでしたのよ。ち、違うよ、イメージが…。
渋いんだけどね、もう少しスネークにはナイーブな感じ(ちょっとダメそうな声)が入っていて欲しいのね。青野さんだと完璧すぎ。
(青野さんといえば最近ステキだったのはワンピのミホーク)

久々に見たら、スネーク(カート・ラッセル)のお腹に蛇の刺青が。
「スノー・グッピー」で江崎もそういう設定でした。うーむ。エロですねぃ。
ちなみに今日は「ボディ・スナッチャー」です。これもC級で好きな映画。
何度も見てわかってる結末なのにコワイ。

蛇つながりという訳ではありませんが、忘れずに書いておこうと思います。


「白蛇島/三浦しをん」

あらすじ:前田悟史は高校3年の夏休み、高校に入ってから初めて生まれ故郷の拝島(おがみじま)に帰ってきた。島には持念兄弟の幼馴染、中川光市が待っていた。
白蛇を御神体とする荒垣神社を中心にして、悟史の家がある"奥"と呼ばれる集落は、13年に一度の大祭を前に普段とは違う雰囲気を漂わせていた。また、島人が"あれ"と呼ぶ災いの出現もあって、幼少から"人には見えないもの=不思議"が見える悟史は神社に纏わる事件に巻き込まれることになる。そして、悟史はここが故郷であると確信するがゆえに、島を出ていくのだった…。

うーん、まずね、話は爽やかな少年成長ものですかな。
そこはかとなく"やおい"風味。三浦しをんですから。

この人の文章はキチンとしているので、読みやすいです。あとがきで自ら『少年が活躍する冒険物語を書きたかった』と言っているように、それ風な章立てになっています。ランサムとかそのあたりであったと思うんですが、章のタイトルとその章の中での細かい見出しがあらかじめ提示されているのです。

持念兄弟という存在の設定がいやらしくて良い。
これは島の長男だけが持つ本当の兄弟よりも濃い間柄の相手、歳が近い対の存在を指すのですが、島でしか取れない持念石からできた二つの石を終生肌身離さず持っていなくてはなりません。持念兄弟は物理的にも精神的にも兄弟よりも近しく過ごし、助け合います。
主人公、悟史は島の空気に馴染めなくて、いつも揺らいでいるような少年ですが、光市は悟史が何を考えているのか、口に出さなくても敏感に感じ取ります。
「持念兄弟の間に割り込むのは御法度ですからね」(公認かよ!)
「お前達は父親同士も持念兄弟だった。筋金入りだな」(ナニが?)
「それが持念兄弟というものだ」(そうですか!)
周囲の大人達もそういった習慣の環境で暮らしているので、寛容です。
というか、むしろ持念兄弟万歳みたいな世界。
やらしい…いや、うらやましい。(似たよーなものか)

5歳年上の森田家の長男、陽介さんは、悟史か光市のどちらかと持念兄弟になるはずだったのに、ふたりがあまりに相次いで生まれたもので、近いものであればあるほど好ましいという持念兄弟の決まりから、ずっとひとりでいたらしいです。やっと生まれた谷川家の大地くんは、なんとまだ5歳なんですと。ようやく持念兄弟を持てた陽介さんは、めっちゃ可愛がっているそうな…。
うーん、将来有望!(年下攻め推奨)

あとは神社の神官を務める神宮家の次男、荒太(20歳)と高校時代の同級生だという犬丸一郎のカップル…もとい、ふたりが怪しくてよろしいですなー。
荒太さんは涼しげな目元の美形です。育って聞き分けがよくなった、前作「月魚」の真志喜ちゃんて感じ。いつもは人当たりの良い青年なのに、犬丸を冷たく「いぬ」って呼び捨て(ってゆーか、ケダモノ扱い?)るあたりがツボ。
犬丸はねー、ワイルドです。なんだかんだいって面倒見が良い。荒太LOVE。
荒太の兄、信二さんも愛情を素直に出せないもどかしさがイカス。

三浦しをんの話の設定は、主人公を取り巻く閉塞した環境と人間関係について語られることが多かったのですが、今回の「白蛇島」をもって、そういう状況から脱していきたいと思っているそうです。

この話、なにかに似てる…と思いながら読んでいたんですが、ふと気づきました。
「黒祠の島/小野不由美」とやや似た感じなんですね、閉じた環境が。
むろん、あちらの方が筆力は上なんですが、話としてはこっちの方が好き。

悟史と光市の不器用な仲良しぶりとか。
彼らを取り巻く人々の描写とか。
チラリとしか出てこない脇役も良い味だしてます。

図書館などで借りて、ぜひ読んでみてください。
次回作が気になる作家のひとりです。