詩のような 世界

目次


2001年07月29日(日) +花束+




砂浜で彼女は砂を蹴っていた

白い砂が舞い上がり彼女の足にかかる



下に散らばっていた花々を彼女は拾う

白く大きすぎる花びらが一枚

風に飛んで消えた



「私は平気だから」

真っ赤な唇から落ちた言葉

高波が彼女を威嚇しても

人形のように細い足は動じない



誰にも居てほしくなんかない

私を気にしてくれなくていい

薄笑いをうかべながら叫んだ

目の奥は暗い光で満ちている



彼女は顔が隠れるほどの大きな花束を作ると

その真っ白な物体を思いっきり海に投げた

すぐに波打ち際に戻ってきてしまう

「遠くに行って・・・」

聞き取れないようなかぼそい声



過去という名の花束を

広大な海に沈めようとした彼女は

水を含んで重たくなったその過去を

これからどうするつもりだろう・・・

















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