詩のような 世界
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砂浜で彼女は砂を蹴っていた
白い砂が舞い上がり彼女の足にかかる
下に散らばっていた花々を彼女は拾う
白く大きすぎる花びらが一枚
風に飛んで消えた
「私は平気だから」
真っ赤な唇から落ちた言葉
高波が彼女を威嚇しても
人形のように細い足は動じない
誰にも居てほしくなんかない
私を気にしてくれなくていい
薄笑いをうかべながら叫んだ
目の奥は暗い光で満ちている
彼女は顔が隠れるほどの大きな花束を作ると
その真っ白な物体を思いっきり海に投げた
すぐに波打ち際に戻ってきてしまう
「遠くに行って・・・」
聞き取れないようなかぼそい声
過去という名の花束を
広大な海に沈めようとした彼女は
水を含んで重たくなったその過去を
これからどうするつもりだろう・・・
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