TENSEI塵語

2009年01月22日(木) 平均点公表の意味は?

大阪の知事がまた昨日から激怒してるようだ。
いったい何をそう興奮する理由があるんだか。。
よっぽど、僅差の競争に敏感な半生を送ってきたのかも。。

全国学力調査の全国ワースト何位かしらん、、に続き、
体力テストの方でも、全国平均をかなり下回ったとかで、ご立腹。
昨夜のニュース番組では、
「勉強できない子は体育ならできるもんなんですよ!
 勉強も運動もできないなんて、、、」
などと言っていた。
それでまた、学校別か市町村別かしらないが、成績(平均点)を公表し、学校間の競争に拍車をかけようとするような気配だ。

まず第一に、子どもたちから外遊びの場所を奪ったのは誰なのか、
子どもたちから、外遊びの欲求を奪ったのは誰なのか、反省すべきだ。
それに、いろいろな状況が関係している。
たとえば、学力調査の成績も体力調査の成績も低い地域は、
親が生活に追われて子どもの食生活を含めた生活全般を、
充分に管理できない層が多いのかもしれないのである。
また、ますます物騒になりつつある世情だから、
一斉下校や、子どもの外歩きの規制などで、子どもに自由がない。。

そういう問題は、またこの次にして、
 (要するに、短絡的に学校間競争が大事なんて思うな、ということ)
それより、この平均点に一喜一憂する人たちのアホさかげんに
呆れてしまうのだ。

昨日、大阪の知事は「勉強できない子は、、」と言っていた。
中3国語Aのトップ秋田は78点、大阪は70点、平均は73点、
国語Bのトップ福井は67点、大阪は55点、平均は60点。
最高点を基準にしても、70点、55点は「できない」レベルだろうか?

それは、比較したら平均点が低かったというだけのことである。
体力調査の場合だと、1種目10点の8種目、計80点満点で、
最上位の県と最下位の県の差は5〜6点である。
つまり、8種目のうちの5〜6種目1点ずつ低かっただけの勘定である。
その上下の間に、僅差の40余県が並んでいるわけだ。
憤慨するほど甚だしい差であろうか?
(正社員と非正社員の賃金格差に比べたら微々たる差じゃないか、
 などと関係ないことまで思ってみたりする)

しかも平均点である。
平均点なんてものは、全体の結果を伝えるだけで、内容を伝えない。

例えば、ある100点満点のテストで、
A校100人の平均は63点、B校100人の平均は68点だった。
A校は大きく負けたといい、B校は大差で勝ったと思う。
しかし、A校には家庭の事情や本人の病などで0点の生徒が10人。
特殊な事情を抱える彼らを除いた90人の平均点は70点。。。
つまり、0点だった生徒を受けさせないでおけばA校の勝ち。

そんなもんである、平均点というのは。。
同じ平均点60点でも、
90点以上が多い代わりに20点30点も多いケースもあれば、
80点以上がいない代わりに40点以下もいないケースも考えられる。

また、世の中には、自分の名誉のために、
生徒に過去問をバンバンやらせて平均点上げる教員もいるそうだ。
体力調査でも、練習させないで一発勝負で、と指示されてるそうだが、
練習を何回かさせた上で記録をとっている学校もあるそうだ。

だから、平均点に一喜一憂して競争に駆り立てるのはアホなのだ。
平均点で勝ちさえすれば、学力が育ち、指導力も向上したなんて、
そんな幻想を抱いてはいけない。

だから、もっと多角的に分析して、
必要なことを社会全体で取り組まなきゃいけない。
学力問題は、教育界だけの問題じゃなくて社会問題である。
そもそも学力ってな〜に? というところから大難題なのだが。。


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