QP-Days
くづき



 音楽の天使は闇に浮ぶ

今日は今年度最初の有給を使って一日フラフラ。

朝一で上野の西洋美術館へGO!
「ジョルジュ・ラ・トゥール展」です。
『聖ヨセフの夢』が目の前にある・・・椅子に座ったままうたた寝をしている彼
の前に幼さの残る横顔持つ天使が現れる。
テーブルの上の蝋燭の明かりで逆光ぎみに浮ぶその姿の自然で美しいことといっ
たらありません。ヨセフに天使は何を告げているんでしょう。
祝福かそれともこれから起きる試練についてか。

あとは『聖ペテロの悔悟』!
キリストに「お前は3度私を『知らない』と言うだろう」言われた通りに、師を
裏切ってしまったペテロが夜明けを告げる鶏と共に朝を迎える瞬間の絵。
足元のランタンの光によって布の下に幽かにすける痩せたペテロの足の描写にゾ
クゾクします。
それ以上にペテロの表情に泣かされる。
かけがえのないものを裏切ってしまった事に気付いたペテロの一瞬を捉えた表情。
次の瞬間には瞳から涙があふれ、彼を途方もない哀しみが襲うのだろうと嫌でも
思わされ、目が離せなくなる。
いい絵だ。
でも何故かグッズコーナーにはこの絵を使ったものがなかったのさー。
えー、なんでー?

『犬を連れたヴィエル弾き』と『ダイヤのエースを持ついかさま師』も好き。
いかさま師はルーブルから借りてきてくれてアリガトー!って感じでしたよ。
世間知らずの放蕩ボンクラ息子といかさまカードで彼を騙そうとしようとしてい
る女2人と2枚目のお兄さん。素敵です(><。
ああ、家に持って帰りたい(無理無理)

『マグダラのマリア』『荒野の聖ヨセフ』は色味も抑えられて渋い絵なのです
が、マリアの方はそれがなんだかモダンというか、非常に現代的な印象を受けま
した。『聖トマス』の疑いを残した瞳や『聖ヒエロニムス』の独特の雰囲気とか
素晴らしいですわ。
ずっと見ていたい。

『大工のヨセフ』はオリジナルではなく模作が来てました。
今回の展示会はラ・トゥールの真作自体が数少ない事もあって、既に失われてし
まった彼の作品の模作(同時代のものですが)が半分位展示されているという、
ちょっと変則的な構成の展覧会なんです。同じ絵を元に別の画家が描いた2枚の
同じ構図の絵が並べてあったり、とかね。
模作もいい感じなのですが、やはり微妙な光と闇の表現となるとオリジナルには
勝てないです。特に蝋燭に照らされた明るい部分の微妙な表現がただ明るいだ
け、ハイライトで飛ばしたような状態になっているものもあり難しいものです。

美術館でトリップした後は劇場へ。
今日は帝劇ではなく、汐留です。『四季劇場・海』です。
『オペラ座の怪人』です。
実は9日にも観たんだけど、それがどーにも納得行かなくて今週からキャスト変
更があったと聞き急遽観に行く事に決定!今見ないとこのまま、また『四季の
ファントムはイマイチ面白くない!』と何年も思っちゃいそうだったから。
ちなみに前回は村・佐渡・柳瀬でした。今日は高井・沼尾・柳瀬。

結論。
キャスト次第でこんなに面白くなるんかいっ!

今回2バージョンを間を空けずに観たおかげで、自分が『オペラ座の怪人』に何
を求めているか判った気がします。
基本的に私は「怪人だけが可哀想」にみえるのは好きじゃないんだな。
変なたとえですが三方一両損・・・っていうかファントム、クリス、ラウルの3
人がそれぞれ失うものが見えないといかんのです。
村ファントムはどうも良い人っぽさが漂っていて悲愴感先行なのよね。佐渡さん
のクリスはラウルへの気持ちの比重が大きいみたいだから、更にファントムが可
哀想に思えてきちゃったんです。観終わった後に「クリスティーヌ、嫌い!」っ
て思ったの初めてでしたよ。トホホ。
高井ファントムは同情する余地はあるけれど、彼自身どこか壊れた人間で物語の
結末もある意味仕方ない、ってところが好きです。沼尾クリスは最初の天使への
憧れから最後の絶望までの流れが見えやすいので、こちらも私の好みです。
詳しいところはまた後で。
3度目の四季版でようやく「また観たいなぁ」と思いました。
観劇のタイミングって難しい〜。


2005年04月15日(金)
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