2003年08月17日(日) |
第16章 part1 唯一の幸せ |
会社に入って一年半、私の仕事は、社内で常に優秀な業績をあげていた。
嫉妬や猜疑心に苛まれる様になってからも、業績として 堕落が表面化するには、時間がかかった。
しかし、その業績にもこの頃から、暗雲が立ち込めはじめた。 ロッカーに入れられた怪文書は、さらに私を堕落へと追いやった。
唯一の幸せは、彼であったが、それも、社長に発覚したことで、 社内で、日常的な会話を交わすことさえ控えざるをえなかった。
社長に発覚して以来、彼は、私を誘う時、家に電話してくるようになった。 私は、彼に会いたい一心で、毎日の様に、早目に帰宅して、 かかってくるかこないかわからない彼からの電話を待った。 当然、こんな状態で、仕事がうまく進むわけがない。
その頃の私にとって、仕事なんて、どうでもよかった。
苦しい。どうか神様、彼までも奪わないでください。 たった一つの幸せしか、私には残されていません。 それだけは、どうか、奪わないでください。。。。
追い込まれていた。。。。。 私には気持ちの余裕が、みじんも残されていなかった。 彼に対しても、その行動は、あきらかに変化した。
それまで、彼にいい子に思われようと、 嫉妬を悟られないようにニコニコ明るく振舞っていた。 家庭のある彼に、重荷に感じられないよう 決して、彼に対して、自分から何かを要求する事もなかった。 自分を極力おさえて、彼に疎まれないように行動する事を常としていた。 客観的にみると、要するに「都合のいい女」ってやつだ。 そんなことは、自分でも、認識していたし、あえて、そんな風に振舞った。 それでも、大好きな彼に会えるのであれば、それでよかった。 「都合のいい女」を演じる事で、私は幸せなのだから。。。。
彼と会っている時以外は、最悪の日々。。。
彼にもっともっと会いたい。
私は、もはや、理性を失い、尋常な行動をとれなくなっていた。
かつて、仕事に全力を注いだ私が、 今や彼を繋ぎとめる事だけに全力を注いだ。
しかも、最悪の方法で。。。。。
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