2003年08月16日(土) |
第15章 ロッカー室 |
その頃からだったろうか、私は、一つの不思議を感じていた。
仕事中いつも、荷物を入れている私のロッカーが、 気をつけてきちんと閉めていても、戻ると、半開きに なっていることが、頻繁にあった。
「ドアの止め具が、弱くなってるのかな?」 それほど、重大にも思わず日々を過ごしていた。
ある日、ロッカーを開けて、目を疑った。
彼と会った次の日、私の着替えが入っていた鞄は、 あきらかに、誰かに探られた様子で、ぱっかりと開かれ、中の物がはみ出していた。
誰かがロッカーをのぞいている!!!!
木槌であたまを殴られたように、私はショックを受けた。
それだけでは、なかった。 それから私は、ロッカーに物を置く事を極力避けた。 しかし、何かの拍子にロッカーを開けた時、ぽつんと一通の封筒が置かれていた。
なにかな? 私は手にとって、封を開けた。
そして、こないだよりも強いショックを受けた。 驚愕と怒りと恐怖で、身体が震えた。
そこには、新聞紙の活字を切り抜いて貼り合わせた文章があった。
{ な・か・む・ら・さ・ん・は・お・ま・え・の・こ・と・が・ き・ら・い・に・な・る・だ・ろ・う・な・か・む・ら・さ・ん・が・ す・き・な・の・は・み・か・ち・や・ん・な・ん・だ・か・ら } (中村さんは、お前の事が嫌いになるだろう。 中村さんが好きなのは、みかちゃんなんだから。)
それから、私を中傷する活字の手紙は、何度も何度も届いた。
しかし、彼には言わなかった。 そんなことがあるのだったら、無理に会うのをよそう そう言われるのが、こわかったのだ。
いったい誰が、何の為にこんなことを!
その日から、嫉妬という醜い感情に加えて、 恐怖という感情までが芽生えてしまった。
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