王様の耳はロバの耳

2004年12月15日(水) 真珠2

ピープー風が吹きすさぶ中
甲板にて正座する2匹を前にナミが
苦虫を噛み潰したような顔で考え込んでいた。
角度的に顔を上げればパンツだって見えちゃう角度だけど
とりあえず正座させられてる2匹は
ナミのパンツには興味がないモヨウ
甲板をおとなしく見つめている。
そんな大胆な航海士の手にはボールが一つ
ボールといっても男同士が親睦を深めるために使うアレではなく
キッチンで野菜とか洗うアレの方。

いつもなら
ナミのパンツに興味シンシンな一匹はさっきから
船の端っこでポケっと空を見ていた。
口なんかちょっと開きっパナシで
目線も定まらないもよう。
たまにそっちからは
コンとか
コロコロとか言う音が鳴るが
そのたびにチョッパーがその音の原因を拾っては
ナミの持っているボールへと
チョコチョコ歩いてきて
ジャラっと音を立てて入れていく。
もう結構な量がたまっているのはあきらかなモヨウ。

サンジはぶっちゃけ
真珠製造マッシーンと化していた。
涙や体液が身体から離れた瞬間に
固体と化すのだ
真珠玉に。
世にも不思議な真珠人間だ。

ナミが帰ってきたときにはもうサンジはこの様子だったし。
ルフィとゾロはなんだか一生懸命玉葱と格闘していたし。
そして船上は玉葱だらけ。
しかも
多分途中でなんかあったのだろう
つぶれた玉葱がキッチンから船上へと中途半端に
転々臭臭………。
サンジがついていながらこの有様はなんだと
サンジの肩に手を置いて振り向かせたら
ナミの目の前で目から真珠を出したのだ………
このコックは


「えーと………サンジ君はまあいいとして。あんたらはとりあえずこの玉葱をなんとかしなさい。」

「「「いいのかよ!!」」」
以外に常識のある船医と狙撃手と剣士が突っ込むも黙殺される。

「別にサンジ君の涙が真珠になったからってアタシはちっとも困らないわ!」
「そりゃお前は大喜びだろうよ………」
なんとなく成り行きで正座させられていた緑剣士がようやっと自分の立場に気がつき。ちょっと恥ずかしそうに立ち上がる
「やあね真珠にはランクがあるのよ!まだこれが高く売れるか解らないじゃないの?そんな簡単に喜べないわよ!」
「やっぱり売る気か………」
会話がかみ合わないのはイツモのことだとして。船員の体液をも売ろうと言うのだから恐ろしい女だ

「うははははは!まぁーいーーじゃん!!おもしれーしな!」

そしていつものごとく船長の能天気な一言によりなんとなくまっいっか。
という空気が流れてしまうのもこの船の恐ろしいところだ。
「ウソップ!チヨッパールフィは掃除!しょうがないからご飯はアタシとロビンが作るからゾロはサンジ君をお願い」

メシの単語に条件反射でいまや真珠製造マッシーンと化したサンジが正気を取り戻す。
「ナミさん!?俺別にどこか悪いわけじゃねーし。メシ作るよ!!??」
「なんで俺がコックをヨロシクされなきゃいけねーんだ!?」
「あん?そりゃこっちのセリフだ!引っ込め藻類!」
「やーねーサンジ君には心ゆくまで傷心を癒してほしいのよ。ムリしないで」
「なっナミさん!?」
「こんな得体のしれない体になっちゃって悲しいでしょ?泣きたくてしょうがないでしょ?号泣したいでしょ?いいのよゆっくり泣いても」
「………テメーナニ企んでやがる………」
「このままじゃサンジ君ったら行く末は場末のサーカスで見世物にでもなるしかないものね………かっこ悪い………」
「そんなんだったらルフィもとっくにビックリ人間だろーが」
「サーカス………かっこわる……」

ちょっと真剣にサーカスで玉葱を鼻ヅラに突きつけられる自分を想像してショックを受けまたもや自分の世界に入ったサンジを尻目に、腹巻剣士の耳元に航海士が悪魔のささやきをこぼした。
「……ご飯食べたら適当な事言ってアタシらは全員陸に泊まるからあと確かめとくのよ。」
「?」
「馬鹿ね体液って言ったら涙だけじゃないのよ?いいえ涙以外の方が絶対量が多いはずだわ」
「……てめぇ」
「ゆっくりしたいんでしょ?悪い条件じゃないと思うけど?」

正直
腹巻剣士は
航海士のパンツにはちっとも興味がなかったが
コックのパンツの中身にはとても興味があったので。
興味どころじゃなくあったので
触りまくりたいし
嘗め回したいし
もっといろんな事だってしたい


ゾロの顔を見て妖艶な微笑みを浮かべると返事も待たずに軽やかにキッチンへの階段を上がって行く航海士を思わず見送ってしまったゾロであった。


続く


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遠山宙

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