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2007年03月21日(水) |
イケメンの歌うたい。 |
今は時々、友人と一緒にかつての会社の先輩のライブに出掛けるが ライブをやっちゃうヴォーカリストの知り合いがかつて、いた事が あったっけと思い出している。
昔は社会人バンドと呼ばれてた。 今はお父さんバンドなんて言うらしいけど、それ知ったのは最近 東京の知り合いから「お父さんバンドのCDコーナーもあるみたい」と ブームとしてのお父さんバンド情報を聞いた時で、それまでは おじさんバンド、オヤジさんバンドなどと好き勝手呼んでました、すみません
その人が社会人バンドで歌っている事を知ったのは 親しくなってから しばらくしての事だった。 競馬が好きで 競馬場ばっかり連れて行かれた。 私は20代半ば、向こうは30になるかならないか、と言う辺りか。忘れた。 今なら自分から競馬場行こうかな〜と思っちゃう私だけど、当時も今も 馬券は買わない。 競馬場に入ると新聞から目を離さないその人をみると なんとなくだが不安を覚えた。 平日昼間から競馬場に行った事もあり、何ゆえ平日から競馬場なのか 仕事はいいのか、そんな事も聞けなかった。なんとなく。
記憶の淵に沈む彼は、中々のイケメン君ではあったと思う。 いかにも女の子にもてそうだ。実際もてたのではないだろうか。 自分は飲み友達であり、時折呼び出されたり、そんな関係で 彼氏彼女と 言う間柄ではない。 女好きしそうなイケメンには警戒心が湧いた。 何事もほどほどでいいやと思うわけだが、ほどほどで何度も失敗して しまっているので思い切って大物狙いに出りゃあ良かった。 あ、話がそれた。
そんなこんなで或る日突然、ライブをやるので来いと言う。 そもそもはプロ志望であった、と言ってた気がする。 結局、彼のライブへは単身2度ほど出掛けた。
レパートリーはB・アダムスがほとんどだった。 ブライアンは当時好きだったので、嬉しかった記憶がある。 狭いステージ、目を射るライト。赤いギターを下げていたが本当に弾いて いたのかは判らないって言っちゃ失礼だな。弾いてたんだろうな。 かすれた声で歌っていた。
MCの記憶は全くない。今の先輩バンドのMCが強烈なため 記憶から抜け 落ちてしまったのだろうか。 はっきりと憶えているのは、途中舞台に大きな薔薇の花束が投げられた事。 それにその人が照れながら右手を挙げて答えた事。 そして、薔薇の花束が飛んで来るほどには彼の歌は上手くはないなと 悲しいかな感じてしまった事。 あれは 彼の歌に飛んだ花束ではなかったのかも知れない。
同じ事を二度繰り返して、半年あまりで連絡を取る事もなくなった。 イケメンだったが 元々イケメンには警戒心が湧くわけだし、 自分の何も相手を繋ぎ止めなかったのと同じに相手の何も自分を 繋ぎ止めなかった。ライトの中に浮かび上がり 張り上げていた、その声も。
やっぱりお父さんバンドと言うとお父さんじゃないと駄目みたいなので 私はおじさんバンドのが気に入ってるからそっちで呼ぶが 観に行って2度目くらいまでは「花束って持って行くものなのかなあ」 などと真剣に考えたものである。 今はそんな事したら渡した人が浮いて浮いて、もらった人も浮いて浮いて 大変な事になりそうな気がするからしない。 でもファンだけどね。 花は関係ないです。
彼は今、オジサンになっているはずだ。 今もイケメンなんだろうか。今も歌っているんだろうか。 歌は少し、当時よりは上手くなったのだろうか。
歌っていたとして、そのステージに薔薇の花束がまた飛び込むなら、 それはそれで素敵なことではあると思うが。
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