言の葉孝

2012年03月19日(月) 現代の花咲か爺さん

 全国47都道府県から桜を集めて一度に咲かせようという企画があるという。
 「桜前線」の言葉通り、日本の桜は南から北に向かって咲いていく。その速さはちょうど歩く速度と同じくらいだそうだ。ずっと桜を見ていられるように沖縄から北海道まで歩き続けることを考えた人も多いだろう。
 つまり全国の桜の開花時期はそれぞれ違うものなのだ。それを一斉に、それも狙った日に咲かせることは可能なのだろうか。
 実は桜ならば可能だ。ホルモンの関係で桜という花は2月1日から最高気温を合計し、累積600度となった日の前後に開花する。つまり桜を取り巻く気温さえ調整すれば狙った日に咲かせることができるのだ。これは俗説などではなく、実験によって得られた事実である。
 童話の「花咲か爺さん」でも咲かせる花は桜だという。花咲か爺さんも実はこの桜の開花の法則を知っていたかもしれない。すると、この企画の主催者は現代の花咲か爺さんということか。

 この企画は震災後の日本を元気づけるためのイベントとしている。桜は日本人が魂の花である。全国の魂を一斉に咲かせようというのだ。今年は桜の開花に合わせ、全国の日本人がこの厳しい時代に力を合わせる気持ちを重ねたい。

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