恐ろしいことを考えた。とても恐ろしいことを。考えて居る内に、妄想がどんどん現実を侵食し、境が曖昧になって行った。そうして、私は其れを本当に成し遂げられるような錯覚に陥った。ふと何かの拍子に我に返り、成し遂げられるはずがない、と目が醒める。其れでも、「恐ろしいこと」は私の頭の中にしつこく住み着いて居る。