いつも、逃げたくなる。 もう全部すてて。 完全には治ることのないものばかり、持ち合わせた身体が。 時々、ひどい軋みをあげる。 劣等ばかり紡いで。 此処まで来たけれど。 小さい頃から何とか折り合いをつけて。 いつも上手にやってきた筈なのに。 もう、前が見えなくなる。
ひとつは、生まれた時から一緒だった。 生まれて直ぐから、今でも手術を繰り返している。 だからあたしが生まれた時、きっと。 その瞬間から母親に嫌われたと思う。 気持ちが悪かったと思う。 あたしがそうなったのを、母親はあたしとばあちゃんの所為にした。 でもきっと悪いのはあたしで、そんなあたしに。 今でも報いを背負わすことに必死になっているあいつは。 もうハハオヤの顔を持ってないの。 只のコドモだわ、あんなの。
ふたつめは、矯正。 歯の矯正。 もう7年以上、ひと月に一度、歯医者に通う。 持久力のないあたしには、それがどれほどにも苦痛で。 学校からも歯医者までは近くて(徒歩5分くらい)、何の苦労も無い筈なのに。 夏休みとなると、家からバスで1時間。 眠る時間からお風呂に入る時間から、全部1時間早で考えなきゃいけない。 そんなのいつもやってられなくなる。 …それが駄目なトコロなんだろうけどね(焦)。
みっつめは病院。 ほんの最近行き始めた、総合病院の精神科。 先生とお話する時に、本当の事は余り云ってないと思う。 あたしもあたしの本当がどれかよく分からない。 処方された薬の連れてくる眠気が酷く嫌なもので。 ほんの何度かしか飲んでないし。 あたしと入れ代わりに親達もあの部屋で先生とお話をする。 その時の全てがイヤ。 思い出したくないほどイヤ。 けれどあたしが治るまで続けられるんだわ。 もう慣れた嫌がらせのように、ずっと。
それはもっとずっと在って。 それをすべて挙げて、バランスよく。 全部を綺麗にあたしの中で並べられたなら。 もっと上手に、普通のひとみたいに。 うまく生きれるのに。 あたしの奥で絡まる劣等の糸は、毎日赤く千切れ続けて。 あたしでさえそれを、病院の先生みたく。 面倒でどうしようもなくて…後がつかえて。 投げ出してしまいそうになる。 固くて解けない、ぜんぶ。
それを放棄したら、あたしはどうなるだろう。 またあの時みたいに、壊れて笑えなくも泣けなくもなってしまうだろうか。 ベランダから身を乗り出して、枝に刺さるあたしの身体を想うのだろうか。 放られた空の奥で、あたしはどこに逝けたのかな。
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