喉が狂うと無性にうたがうたいたくなる。指先で捻り潰した思い出のなかに、ひとつ。狂った喉と、苦い思いをした肺が。言葉を紡ぐ暇もない。会えなくなって往く景色の端で、動けなくなると思ってた。足跡ひとつ残せない、蝉になった筈だった。毎日は最後の渦。さようなら、あたしの記憶。