駅を出るところで、ピンクのチェックのスカートが似合うひと居てて、 いいなぁと思った。 化粧やマニキュアを塗ってみたりするけれど、一口で赤や青とは言えない。 青も似合わない、赤も似合わない、黄色も緑も。 自分には何が似合うのか考えて考えれば、考えるほど自分が醜くて。 パジャマのままで居たいと思う。 あたしはどんな雰囲気を想わせてるだろう? 自分じゃ分からないことは、外見が大半を占めててさ。 言われなければ気付かないことばかり、 生クリーム付いてるよ、って言ってくれるひとも傍に居るけれど。 自分の好きなものを纏ってるばかりじゃ、あたしは出来ていかない。 少しは分かってる。 本当は少しで充分なんだろう。 あとは自分で考えて、自分の色を探していくのよ。 パフォーマンスと同じ。 あたしはあたし。 そういう、頭の中の部分で、あたしは、あたしでいる。
嘘が隣からひとり消えた。 だからといって特に、軽くなった訳でも、重たかった訳でも無い。 お墓まで連れて往くような嘘でも無かったけれど。 あたしは自分の中の何かひとつ、赦せたのかも知れない。 嘘を吐いていたのに、本当を云ったら変な顔もされなかった。 まだ良く分からないけれど、 腹の中に何か強い想いを抱えて、生きてるひとは近くにたくさん在る。 頭の真ん中でそれを視てる感じが同じだと思った。
この間、学校で変な動きをしながらうたうひと居て、 10何人のクラスで、ひとりひとり、前へ出てうたうんだけれど。 そのひと際立っておかしかった。 でも、他のどんなひとがうたってた時より釘付けになってて、 凄い力が心に引っ掛かった。 帰る時、そのひとあたしに話し掛けて来て、知らなかったひとだけれど。 あたしのことを誰かから聞いたそうで、今度うたを聴かせてと云われて、驚いた。 この学校に入って、これだけうたう時に発するなにか力が、凄いひと見たの初めてだった。 上手い、とか、下手、とかじゃなく。 なんだか、凄かった。
明日もうたをうたおう。 でも、風邪の予感。
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