遠くから波の音が聞こえてくる。 カーテン越しに入ってくる強い陽射の中で、まどろみながら目をさます。 自然の音しか聞こえてこない静けさの中で、ゆっくりとカーテンを開けると、もう目に飛び込んでくるのはまぶしい海と、白い砂。 ヤシの木の緑と海のコントラストが美しい。 近くはエメラルドグリーンに白い波、遠くはマリンブルーの反射する太陽。 まるで絵の具で染めたような海の色。 今日も穏やかな顔をして、眠気顔の私を迎えてくれた。
オープンエアーのレストランまでは、海岸沿いに歩く。白いパウダーの上を歩いているような素足の感覚。 ビッフェスタイルの朝食。いつもの決められたテーブルへ着くと、テーブルキーパーのRIYAがさっそくやってきて、片言の日本語で「おはよう」と話しかげながら、コーヒーを入れてくれる。 RIYAは、いつも挨拶の他に、一言必ず声を掛けてくれる。 そして、少し濃い目のコーヒーが苦手な私のために、ホットウォーターでコーヒーを割ってくれるのが滞在中の約束になった。 レストランにやってくる、顔見知りになったゲストたちとも挨拶。 GO tO DIVE TODAY? Of Course!AFTEMOON。 ろくに英語の話せない私に合わせて簡単なセンテンスで話しかけてくれる。
部屋へもどったら、水着に着替え、カメラを片手に海へ。午前中はシュノーリングで過ごそう。 カレントはどうなんだろう? ぐるりと島を一周する。わすが10分あれば回れてしまう。 よし、きょうはパッセージ1、桟橋の上から飛び込んでみよう。 きれいに光が差し込んでくる海の中で、魚たちとごあいさつ。透明度は25メートルくらい。 ダイビングの方がよかったかぁと少しだけ後悔。
写真を撮るのに夢中になって、1時間以上は海面を漂っていた。 疲れたら、真っ白な砂浜に、デッキチェアを並べて日光浴。 本を読むもよし、木陰のハンモックに揺られながら、寝るのもよし。時計をみない素足の生活。 たっぷりと太陽を浴びたら、また海へ。ブラックチップシャークの子どもが、遊んでほしそうに泳いでいる。ブルーサージョンフィッシュ達は浅瀬のサンゴで楽しそうに泳いでいた。
のんびりと午前を過ごしたら、昼食。この島の3度の食事の中で、私は、昼食に出されているものが一番口に合うかもしれない。
そして午後‥ 機材をドーニーに積み込んでダイビングへ。 今回のポイントはカンドゥマコーナー。一応マンタポイント。 今日こそマンタに会えますようにと祈りを込める。 すこし強めのカレントに乗って、ドリフトダイブ。 ナポレオン、ウミガメ、ギンガメアジの巨大な群れ‥。エルニィーニョから少しずつではあるが回復を見せているきれいなサンゴたち。
約60分の潜水、残念ながら今回もまた、マンタに会うことはできなかった。 帰りのボートで出してくれるココナッツの甘さが、口に広がっておいしい。
アフターダイビングは、BARでソーダー&レモンを飲みながらログづけ。 最大水深は?アベレージは?水温に、エギジットタイムは?体内にのこる窒素の量は? ややこしいことは左腕につけていたコンピューターに任せて、さっき会ったばかり魚達を図鑑で探す楽しいひと時。 気が付くと水平線に傾きかけた太陽が、やさしい光を演出してくれている。 やすむことなく吹くそよ風が肌に気持ちいい。 ディナーまでの時間は、少しだけ眠るとするか。
どっぷりと陽が落ちると、各国のゲストたちが少しだけ着飾って、ディナーに集まってくる。 きょうはビールにしようか。 明るすぎない照明の中で、RIYAとふざけた会話を楽しみながら、ゆっくりと時間をかけてディナーを楽しむ。
その後は、BARに移って、他のゲストたちと少し話す。 なあに大丈夫。英語なんか話せないけど、同じリゾートを楽しむ者同士すくに打ち解けられるから。
そうして少しだけにぎやかな時間を過ごしたら、部屋の前のイスに寝転んで、吸い込まれそうな満天の星空を見上げて、時間を忘れる。 星の数が多すぎて、星座の判別が出来ないほどだ。ミルキーウェイのぼんやりとした白い雲のようなものさえ、明るすぎる。 まったく飽きることなんてない。出来ればこのまま眠りたい。
体のひとつひとつがのんびりとした時間に対応している。 海に、風に、太陽に、そしてこの国に感謝。 明日もきっといい天気だ。
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