〓月夜の日記〓(つぶやき版)
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ちゃんと 家出をしたのは、 20歳の成人式のあとだった。
それまでは、 数回。
高校のときと、卒業してからは、あっちこっち。
卒業したあと、 お金が、なかなか たまらなくて
なんだか、苦労したな。
今の時代、 友達同志で暮らしたり、
一人暮らしをするのは、 もう ごくあたりまえだろう。
その頃は、 市内に家があるのに、 女の子が一人で暮らして なんで????と
先々で、質問攻めにあった。
それくらい、 いなかった。
わたしの周りの友達には、 数人、 その頃すでに 実家をでて 一人で暮らしている人がいた。
どの人も、市内に実家がある。
地方から出てくるなら、正当化される一人暮らし・・・・
つらかった。
家を探しているってことが、 なんだかもう、 つらかった。
喜びじゃなく、仕方なく出る一人暮らし・・・・ そう思っていたから。
今みたいな、楽天家のあたしじゃなかった。
初めて 外泊したのは、 高校の卒業式の日。
母親と父親は、あまりに もめていた。
暴力的な 父親。
こりない 母親・・・・
あたしだったら、とっくに別れてるな。 そんな男は最低だ。
家を出る 決心をしたのは、 高校のとき、
父親に 殴られた母親は、
あたしの後ろに 隠れた。
それまでは、 子供を巻き込むなんてなかった。
父親は、手出ししなかったが、あたしは たまらなく、迷惑だった。
子供の後ろに隠れる 親なんて・・・!!!
家を出ようと 心に決めた。
だから、
高校なんて、早く卒業したかったし、
卒業式後も、別にたいして思い出もなく、
いつものように、 夜 彼氏と会うことになっていた。
派手にけんかが始まって、あたしはもう 巻き込まれるのがいやだった。
兄はいつものように、いなかった。
すっごく いやな雰囲気。
今でも大嫌い。 男の暴力・・・
すぐに家をでた。
彼が来るのを 待った。
家に、帰らないつもりだった。
ずっと 彼を待っていると、(時間よりずっと 早かったし、携帯は当時ないし)
兄が 通りかかって。
また、喧嘩してるよ、と言うと、 へえ〜、ってなカンジで家に向かった。
兄は もめごとのあるときは、たいてい 出かけてるから。
しばらくして、やっと彼がきたとき、 偶然 兄が出かけようと通りかかった。
そのとき、
すれ違いざまに言った。
「帰って来いだって」
そして、どこかへ、出かけていった。
聞いた瞬間、 もうぜったい 今日は帰らないと思った。
彼と一緒に いた。
本当に家出するのは、それから 2年ほどたってしまった。
成人式に振袖を 着たかった。
だけど、ちょうどあたしは 17日に 契約をするところだった。
親にも 全然会っていない。
仕事をしながら、お金をためていた。
たまらなかったけど・・・・・・
振袖をきて、駅に集まってる友達が、うらやましかった。
みんな、 親にいろいろ やってもらったんだろう。
あたしは、そんなことで 親に関わるのは いやだった。
借りも作りたくなかった。
自分で ワンピースを買って、 美容院で髪をアレンジしてもらい、
当時 花やで働いていたので、職場にいって、
テキトウに仕事仲間としゃべって、 さびしさを紛らわせた。
夢だった、でっか〜い カスミソウの束を、そのとき 初めてもらった。
うれしかったな・・・・・
その二日後、
一人暮らしのための、契約をかわし、
不安ばかりを 抱えて、 家をでることになった。
それまでの日々は、ずっと 仕事がない日や、終わった後も、
家探しに明け暮れて・・・
やっと 決まって ほっとした。
そのことは、全部 親には言わないで すすめていた。
荷物も、毎日ちょっとずつちょっとずつ 仕事仲間の車で、
運ぶのを手伝ってもらって。
そして、あとはもう、残していくものにして、
もう 帰ってこない、と 思いながら 荷物を 持って、玄関に行くとき
はじめて 母親が 口をひらいた。
『出て行くの?』
あたしは、 黙って家をでた。
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