2001年08月08日(水) |
金のかからない女の作り方 |
どうやら、わたしは「金のかからない女」であるらしい。 通信費、本代がかかるものの、世間の男性から見れば可愛いものらしい。 最近は中国茶が好きだが、100g何万円とかいうようなものに手を出そうとは思 わない。 根が貧乏性なので、そんなもの怖くて飲めない。 以前買った「大紅袍」も、お客さまが来たときか、なにかのイベントのとき用に取 ってあるくらいだ。 わたしが金がかからないのは、世間の女性が激しく欲するらしい布製品、革製品、 鉱物、金属、頭部前方に塗るものに興味が薄いためであろう。 どうやら、わたしは、形あるものに金をかけるのが苦手らしい。 本は形があるが、「情報」の一形態としか見られないためか、雑な扱いをするので ページが折れたり、破れたりしている。 絶対に、蒐集家にはなれないタイプの人間である。
わたしが、物欲が薄く、物を大切にできないのは、幼児体験に根ざしているのかも しれない。 わたしには、一年四ヶ月後に生まれた弟がいる。 自分で思うに、わたしは良いお姉ちゃんだったと思う。 幼稚園の頃だっただろうか。 「お姉ちゃんでしょ」のひとことでいろんなことを我慢していたわたしに、母が、 たまにはお姉ちゃんにも好きな玩具を買ってやろうと思ったらしい。 その出来事も珍しかったが、わたしがとても女の子らしいものを欲しがったのも、 非常に珍しいことだった。 選んだのは、小さな赤いオルゴール。 それを、何故か弟が欲しがってむずがるので、母が、貸してあげなさい、と言い、 良いお姉ちゃんだったわたしは素直にそれを弟に渡した。 弟が寝ついたら、こっそり取り上げて、弟に見つからないところに隠すから、とい うことになっていたのだが……弟は、妙にそれが気に入ったらしく、トイレにまで 持ち込んだ。 ……当時、実家のトイレは、汲み取り式だった。 まあ、それが水洗式でも拾い上げて身近に置くことは出来なかっただろうが…… とにかく、弟は、お約束通りに、それを落としてくれたのだった。 泣き喚く弟。 泣きたいのはこっちじゃ。 母は、おそらく、幼児ふたりを宥めるのに苦労したことであろう。
わたしは、幼くして、「形あるものは総て滅びる」と悟ってしまったのである。
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