【読書記録】森博嗣「ナ・バ・テア」

ストーリー:天才撃墜者ティーチャと同じチームに配属された僕。本当に彼は天才といわれるだけの腕があるのだろうか、と疑いながらも出撃した空で、僕の抱いていた念は尊敬に変わった。僕たちキルドレとは少し違う、大人の男であるティーチャと僕のお話。

スカイクロラシリーズ第二弾。このタイミングでこの作品を読むなんてなぁと思いつつ読みました。とても感慨深い。感想と同時にかなりネタバレになってしまうと思うので、以降お気をつけください。あ、簡単な感想からすると、スカイクロラを読んだ人ならば読みたくなる作品だと思いますし、今作もとても面白かったです。今までのパイロットたちとは違った気性の持ち主ですし、何よりも空で飛ぶことがすきなのがすごく伝わってきて、思わず楽しそうだ――と思ったのも確か。
さて、ここから若干ネタばれになりつつな感想に入ります。
そもそもこの作品、水素さんのお話。これに気づくまでの1/4はずっと”僕”についての描写が第三者的な、薄い膜を通してみています。その中でゴミ箱をけりだしたり、あまりの興奮でコックピットで眠ろうと考え出したりと、『スカイクロラ』での落ち着きぶりはどこに…と思わずにはいられないシーンが多々あります。三つのお話を読んできて、キルドレは何かしらがかけた子供たちなのかな、という風に私は感じてきました。かけているからこそある今なのだとは思うのですが、彼らは常に何かを考えて、自分に問いかけている姿がとても印象的で。それなのに、答えは出ないばかり。映画の水素さんの部屋にあったオルゴールは、キルドレの宿命だけではなく、いろいろなものを象徴しているのだろうなと思います。NO.40■中央公論社
2008年08月29日(金)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン