【読書記録】島本理生「クローバー」 |
ストーリー:男女の双子で顔がそっくりな冬治と華子。わがままで男性の存在は常にある華子に振り回されつつすごす大学生ライフ。あるときは華子が連れてきたイケメン、また熊のような男性が冬治の前に現れ、彼は彼で同じ学科のちょっと苦手な女の子と知り合うようになる。大学生活が終わるころ、冬治はどんな道を歩んでいるのだろうか。
読んでいて、とても楽しかった一冊でした。個人的な話ではありますが、最近は読書がひとつの作業と化していたので面白いことには面白いのですが、こころからほぉっと思うことがなくなっていたのも確かで、この短編連作形式で進むお話は適度な余裕を持たせながらも体にフィットした洋服のように心地よく読めました。 さて、内容ですが基本的にいっぺんにつき一人の新登場人物が出てきます。新たにではなくても、サブキャラクターとして扱われていたキャラにスポットを当てて進んでいたりして、人脈の広がり方に感心しました。とても自然に(…華子の場合、この言い方は少し当てはまらないけれど)いろいろな、今まで赤の他人だった人が面識を持ち双子の家で食卓を囲んでいたりする、そんなシーンが好きでした。他にも、大学生ってこんな感じだよねと深くうなずいたり、考えたり、なるほどと思ったり…とても楽しかったです。あまりにも似たような境遇の人が回りにいたりして、この等身大さと冬治君の生真面目さがすごく素敵な一冊です。学生生活を思い出したくなったら読み返したい本。NO.47■p259/角川書店/07/11
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2008年09月19日(金)
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