日々是迷々之記
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2005年06月01日(水) ぼけゆく母親

朝、6時に弁当を作り、7時に相方を送り出してから、二度目の惰眠をむさぼっていたら携帯電話が鳴った。母親の入院している病院からである。とうとう…と一瞬思ったが違った。(なんて奴だ。)本人がどうしても家族に話したいことがあるので呼んでくれと言われたので、とのことだった。

はぁはぁ分かりましたじゃあ夕方にと言って電話を切った。

夕方区役所に行って書類にはんこを押してもらってからそれを持って病院に行った。そうすると医療費の仮払いが免除されるのだ。普通だと脳外科の場合一ヶ月で100万円前後のお金がかかる。それを一旦支払い、年に一度の確定申告で申し出ると、7万円を超えた分が戻ってくるという仕組みになっている。要は100万円前後のお金を毎月仮払いしなければいけないわけだ。

そんな財力もないので最初っから免除してもらう手続きを取っている。これで月々に支払う額は7万円前後で納まっている。

で、母親に会った。生前はジャガー横田そっくりと言われた母親も、今はしなびたラッキョに毛が生えたみたいになっている。つくづく加齢とは恐ろしいものだ。で、何の用事なん?と問いかけると財布と3万円を引き出しに入れてくれという。何に使うのか聞いたら、診察とかに必要だからという。んなわけない。私が払っているではないか。やんわりとそんな必要はないことを分からせる。

すると私のバイクのヘルメットを見て言った。「バイクは危ないからベンツにしなさい。」と来た。なんで車?しかもベンツなのだ。そんな金ないしと言うと、お母さんが出してあげる、ロト6が当たったからと言い出した。

聞いてるだけで疲れてくる。もうええっちゅうねんて感じだ。その他、あんたはTからいくらもらってるの?とか、あっちのおばあちゃんに子供を見せたら喜ぶよ、とか、もうなんかあり得ないこと連発である。私に子供はいないし、祖母は皆亡くなっている、Tというのは父親だがこれも数年前に亡くなった。

この人は思い出の中だけに生きているのだ。

あ、雨降りそうだから帰るわな、と言い残して足早にその場を去った。帰りにスーパーで買い物をしているとまた携帯電話が鳴った。奈良に住んでいる母親の妹さんだった。「今日、午前中に見舞いに行ったら、お金がいるって言ってたでー。」とのことだった。はぁはぁ、そんなわけないんですけどねと、やんわりと母親がボケはじめていることを伝えた。

肉親にそういうことを言っているうちはいいけれど、そのうちお見舞いに来てくれた人にまで、「3万円貸して。」とか言いそうで怖い。「お金を与えないで下さい。」って張り紙をするわけにも行かないし、どうしたもんだか。

これ以上私に考え事をさせないで欲しいのだけれど、「神様の贈り物」のまっただ中にいるあのひとにはきっと伝わらないのだろう。


nao-zo |MAIL

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