ぶつぶつ日記
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電車で爆睡している人は日本ならではの光景だそうだ。 隣の人が寄りかかってくるのは重いし、 これが油てかてかのおやじだったらうげ〜と思ってしまうし、 こっくりこっくりされるのも、 あれはあれでけっこううざったい。 そして不思議なのは、そこまで意識が遠のいていながら、 自分が降りる駅になると全ての人が、 がばっと起きだし、何事もなかったように電車を降りていくこと。 う〜ん、人間の動物的本能ってのも案外失われていないなあ。 体が時間的距離的感覚を覚えているのね。
時間的距離的感覚と言えばもう一人、 絶対に忘れてはいけないお方がいる。 我が家の近くには公営賭博場があり、 すっからかんにすったそこに来るおじさん達が 庭先の自転車は盗むは、 店先の糸こんにゃくは盗むは、 立ちショ○はするは、ごみは捨てるは、 けっこういい迷惑なのだけれど、 毎回毎回ここで公営賭博競技が行われると、 駅や酒屋の店先が勝手に「飲み屋」化してしまう。 おじさんたちが酒を片手に勝手に集ってしまうのだ。 話題はもちろん、今日のレースの反省会・・・。 まあ、こういうおじさんたちは、 大体無料バスが終わる時間には三々五々散っていく。 しかし、1人だけ、夜になっても酒屋の前に座り込み、 管をまいているじいさんがいる。 アラビア語の授業がある日はここを通るのが 9時半過ぎになるのだが、 まだいる。 私が住んでいる区は交通の便が大変悪く、 区民は自嘲地味に「東京の中国」などと言いながら 自転車を愛用しているのだが、 このじいさんは自転車もないようだ。 その上バスはすぐに終バス。 9時半にこれだけ管を巻いているってことは、 どう考えても終バスには間に合わない。 最寄の駅までは歩いていけないことはないけれど・・・・。 夏であろうと、冬であろうと、じいさんは管を巻いている。 寝込んでいるときもあるので、冬などは凍死しないかと心配になるのだが、 騒ぎにもならないし、 実際まだじいさんはそこに来るので、凍死はしないらしい。
多分、人間にも帰省本能があるのだろう。 ある時間になると、じいさんはむっくり起きて、 ぶつぶつ文句を言いながら家に帰って行くんだろうと思う。 海外に生活していて、どんなにその国がすきでも、 やはりほとんどの人が何年かに一度は生まれた国に帰りたがる。 それも一種の帰省本能なような気がする。 帰省本能に従って、帰りたい時に国に帰れる者は幸せだ。 帰りたくても帰れない人が、 地球上にはあふれている。 帰れないからこそ・・・、 「ふるさと」のイメージは清く鮮麗で、 強く大きくなっていくものだろう。 各国に住むパレスチナ人にとっての、「パレスチナ」のように。
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