ぶつぶつ日記
DiaryINDEX|past|will
カイロに住んでいた時分、私たちは毎朝のようにごみ屋の小僧と 1エジポン(1エジプトポンド33円くらいでしょうか)を巡る攻防戦を繰り広げていた。 いわゆるバクシーシ攻撃だ。 私たちが入っていたアパートの大家さんは珍しくお金に汚くない人で、 必要以上のお金を私たちに払わせることのない人だった。 彼女いわく、自分がゴミ屋にはそれなりのお金を払っているので、 別に私たちが払う必要はない。 「たまに心づけを渡すことはもちろん構わないけど。」 もちろん、私たちだって月に1回程度なら心づけを渡すことは嫌ではない。 が! この小僧は毎日なのだ。 しかも、エジプトの家の玄関ベルってのは凶悪的にうるさい。 それを、こちらが出て行くまでのピンポンラリー。 出て行ったが最後、「バクシーシ。」、 その靴くれ、その服くれ、 挙句の果てには「アーイズ・ボッス(kiss me)」。 何度も大家さんに言って、その都度数日こいつは来なくなるのだが、 持ち回りでゴミを集めている組の関係で、気が付くとまたこいつが集めてる。 このゴミ小僧に関してはこのアパートに入った全ての外国人が 文句を言っていたくらい、強烈な小僧だった。 結局、私たちは玄関ベルを切って、知人にはドアをノックしてもらうと言う なんとも消極的な解決策を取った。 たかが33円のために・・・。
33円。 日本ではみみっちい金額だが、エジプトだったら 簡単なお昼くらいはこれで食べられる。 ターメイヤサンドイッチ1個とか、コシャリとか。 そう考えると、私たちも負けるわけには(?)いかなかったのだ。
お金の価値ほど国によって違うものはない。 一億円、日本だったらどんなことが出来るだろうか。 家を買って、その中の家具を買って、車を買って・・・。 多分、そんなことをしたらすぐになくなってしまう金額だ。 一億円あったら、アフガニスタンの首都カーブル全域を復興できる、 と言う話しを聞いた。 真偽の程は明らかでないが、当たらずも遠からず、だと思う。 日本やアメリカで大した事のない金額で、 救えるものがたくさんある。 連日、アメリカがアフガニスタンに落としているミサイルや、 報復行動開始から今までに使った軍事費があったら、 アフガン全土を復興させ、女子大も作ったってなお、 おつりが来てしまうかもしれない。 金は使いよう。 やはり、今の使い方が正しいお金の使い方とはどうしても思えない。
そしてそれは、サウジなどのイスラム諸国側にもいえる。 ウサーマに献金し、自国への攻撃を止めさせる莫大な裏献金があったら、 もっと、国民や他の国の信頼を得ることが出来るだろう。 ウサーマにしても、ムスリムの信頼を集めつつ、 欧米に対しても効果的に自己存在アピールをするお金の使い道が、 テロ以外にもたくさんあったはずだ。
しかし、正しい道に使われるお金はあまりにも少ない。
|