2025年05月24日(土) |
わが青春の名作『ネコじゃないモン』 |
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オレにはどうしても忘れられない漫画がある。オレがこよなく愛したその作品は『ネコじゃないモン』という矢野健太郎さんの作品である。その漫画のヒロイン、宮本尚子がオレの女性の好みのど真ん中だったからに他ならないのである。
受験生の頃に片思いした女の子には見事に振られ、医学部を目指していた真面目な受験生のオレはその後の人生を文学ヤクザとして生きることを決意するわけだが、もちろんそれは女の子の責任ではなくオレの勝手である。オレは何故かその子の面影を追い続けて、丸顔の髪の長い少女が好きだったのである。女優さんでたとえば唐田えりかさんとか、その雰囲気を感じさせる女優さんに出会うとドキッとするのである。
大学に入学してからも、北海道を旅行中に出会ったやはり丸顔で髪の長い国分寺市に住む東京農工大の女の子のことを好きになった。青森駅で別々の特急に乗り込んで別れるとき、オレは曇ったガラス窓に裏返しの文字で「I LOVE YOU」と書いたことを思い出す。卒業後は東京に出て就職しようと思っていたオレにとって、その理由は「近くに住みたい」ということが一番大きかったのである。もちろんその夢は叶わず,オレは大阪の南河内で田舎教師として社会人デビューしたわけだが。
『ネコじゃないモン』のヒロインである尚子は、実家を出て美術系の専門学校に通う女の子である。彼女の周辺のオタクっぽい人たちが作品の中では描かれ、尚子は時々ネコ耳になる。「オタク」文化よりも先に登場してしまったために、ある意味時代を先取りしすぎていた不遇な作品だったのである。漫画の世界にはそうした不幸が時々ある。あの話題作『北斗の拳』の先行作品は永井豪の『バイオレンスジャック』であり。さらにそのずっと前に描かれたふくしま政美の『聖マッスル』である。どちらもほとんど知られず、評価されないままに終わってしまったことが残念でならない。
オレは『ネコじゃないモン』のヒロイン、尚子のような女の子がずっと好きだった。高校生の頃からずっと変わらなかったのだ。そうじゃないタイプの女性と結婚してそのあこがれは封印することとなったが、心の中の「推し」は不変だったのである。
先日、Xで矢野健太郎さんの垢を発見してフォローしたらフォローを返してもらえて飛び上がるほど嬉しくなった。今も作品を発表し続けてることが嬉しかったが、現在お描きになっている世界はオレが興味を持つ分野ではなく、方向性が完全に違っていることが少し寂しかったけれども。
我が家にある当時購入した『ネコじゃないモン』のコミックはもはや紙質が劣化して茶色くなって読むに堪えない。この機会に新装されたコミックを購入しようかとも思うのだが、中味はいろいろと検閲(?)が入って変えられているのかも知れない。当時は大丈夫だった表現が今はアウトになっているものは手塚治虫作品などにもあるし、それは時代の流れだから仕方のないことである。
矢野健太郎先生は自転車好きらしい。大学時代にサイクリング部だったオレには唯一の長編小説『イノコ』がある。もしも矢野健太郎先生がこの『イノコ』を読んで下さって漫画作品にして下さると嬉しいが、作品中には多くのエロい部分がある。六甲(神戸)大学のスタンツ「漫湖節」などは書けない部分である。
ちなみに『イノコ』はカクヨムで無料で読めるので興味がある方はぜひ読んでみてほしい、「江草乗」「イノコ」で検索すればすぐに見つかる。400字詰め原稿用紙にして400枚を超える大作である。もう今は失われてしまったかつての大学サイクリング部というマニアックな世界を記録しておきたくて書いたものである。
矢野健太郎先生がこれからも精力的に活動されることをオレは願っているし、もしかしたらオレと同じく『ネコじゃないモン』のファンで、丸顔で髪の長い少女が好きな仲間が他にもいるかも知れないと期待するのである。
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