2001年12月12日(水) |
アンフェアorフェア? |
前回の日記で取り上げた審判レポートに、もうひとつ興味深い内容があった。フェアプレイについてである。レポートの筆者は例として、捕手のキャッチングを挙げている。要約したものを、紹介する。
「ストライクゾーンを外れている投球を捕手が捕球する際に、キャッチャーミットを内側に動かし、ストライクのように見せる動作は、日本ではごく当たり前のことのように日常的に行なわれていることが多いのではないでしょうか。しかし、これがアンフェアな行為なのです。ボールの投球をストライクに見えるようにするためのずるい動作であり、審判を騙す、馬鹿にした行為としてアメリカでは、ものすごい批判を浴びます」
以前、TV番組で吉井埋人が「古田なら絶対に大リーグで通用する。古田ほどキャッチング技術があるキャッチャーはいない」と話していたことを思い出す。古田は、ボールをストライクに見せるのが上手い。
高校野球を見ていると「オイオイ! ミット動かしすぎだろ!」と思うぐらい、ボールゾーンのボールをストライクに見せようとする捕手がいる。少年野球の頃から自然に、そういうキャッチングを覚えさせられたのだと思う。
前回紹介した「スター選手ははぜ亡命するか」の中にも、同じような内容を見つけた。数年前、日本球界で大問題になったディミュロ審判について記した項に付け加えて、こう書かれていた。
「捕手がストライクゾーンから、わずかに外れた投球を捕球したあと、ミットをストライクゾーンまで引き寄せて、審判にストライクだとアピールする行為も愚かなことである。そんなことをすれば、その投球をボールとコールされるばかりか、その次にたとえ、ど真ん中に投げたとしても、ボールとしかコールされない」
キーナートさんは、この審判の判定について、「こうして審判は捕手に対して、自分にはごまかしなど通用しないこと、またごまかそうとすれば、自分だけでなく、投手まで窮地に追い込んでしまうことを教えている」と書いている。
冒頭に挙げた審判の方、そしてキーナートさん。おふたりは、「ずるい」「バカにした」という表現で、捕手がキャッチャーミットを動かすことに疑問を呈している。
審判レポートには、こんな続きも書かれている。試合中、ミットを動かしている捕手に、「それは審判員に対するアンフェアな行為だよ。お互いフェアにやろう」と説明。捕手はそれに納得し、その後はフェアなキャッチングで試合を行ったという。 アンフェアな行為について、筆者は「そのようなプレイは絶対に日本の野球界から無くさなくてはなりません。このような指導をされた選手は本当にかわいそうです」と書いている。
私は捕手がミットを動かす行為が、アンフェアだとは一度も思ったことがない。それは野球における技術のひとつだという認識がある。 ミットを動かすのはアンフェア? フェア? どちらなのでしょうか…。
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