モスクワ留学日記
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モスクワ プラス27度 晴れ
母さんをモスクワに招待して、数日経過しています。
まず最初に、母を呼べるくらい出世したんだなぁという思い。
それから、母を呼べるくらいモスクワに馴染んでいるのだなぁという思い。
◇◇◇
私は日中は仕事があるのであまり観光もできていないけれど
仕事の後はできるだけ面白いイベントに連れ出して、 母さんの五感を刺激しています。
感動屋で飽きっぽい彼女はとても無邪気でかわいいなぁと
わが母ながら思ってしまいます。
◇◇◇
職場のロシア人スタッフが母に興味津々で。
美穂は大人しいけど、お母さんはちゃかちゃかしてて元気ねぇ!
あまり似てないわね!
って、なぜかロシア人からは「似てない」と言われる我々。
背格好も顔立ちもよく似ていると昔から言われてきたのに
およそアジア顔の区別がつかないロシア人から「似てない」とは
これいかに?
◇◇◇
しかし異国で、旅行ではなく母と一緒に過ごす時間というのは
格別の思いがあります。
18で上京して以来ずっと、離れて暮らしてきたからねぇ。
お互い、つらい事も悲しい事も楽しい事もいっぱいあった。
そういう話に向き合うことが下手で、お互いいつも自分の心の中に収めて
それは今でもあまり変わらないけれど、
言葉少ないながら、大きな愛でつながっているんだなと
大きな愛に包まれて、今まで生きてきたんだなと
◇◇◇
昨日、誕生日プレゼントとして知人からいただいたチケットを持って
ミュージカル「マンマ・ミーア」を観てきました。
その中で、娘が嫁に行く準備をするシーンがあって
母親に髪結いをしてもらって、ドレスを着せてもらうんだよね。
「今まで21年間、父親がいなくても貴女を大切に育ててきた。
貴女は自分の思うとおり生きたらいい。」
というくだりには、もうこらえきれなくて。
うちの母も、いつも好きな通りさせてくれた。
私がロシア語を選択して上京することになった時も
モスクワに行くことになった時も
反対することなく、いつも背中を押してくれた。
私はうまく甘えられなくて
自分の感情を表に出すことができなくて
それでも、大きな愛で見守ってくれた
今回の一時帰国で、家庭内に波乱が起こって
私は母さんがいなくなるんじゃないかと思って
それはものすごい恐怖で
とても耐えられない恐怖で
母さんが戻ってきたとき、涙が止まらなかった。
安堵感で、朝まで涙が止まらなかった。
もうずっと昔に親離れしていたと思っていたのに
全然だね。だめだめだね。
表面的にはクールだけど、かけがえのない大切な家族。
いつも封印している気持ちが、昨日のミュージカルで噴出しちゃったよ。
母さんと一緒に過ごせる時間、幸せだよ。
母さん、思いきってモスクワまで来てくれて ありがとう
これからも、元気で長生きしてね。
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