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2010年01月30日(土) ■ |
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『Dr.パルナサスの鏡』 |
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『Dr.パルナサスの鏡』@TOHOシネマズ有楽座 スクリーン1
ネタバレあります。
うわあんいい話でしかもヘコむ…しかし『ローズ・イン・タイドランド』とはまた違う感じの……あのー『ローズ~』はタブーと言うか、「見ちゃいかんもんを見た、気が付いちゃいかんことに気が付いた、いや気が付いてたんだけど気が付かないふりをしていたってことを改めて突きつけられた」って感じでこっちの罪悪感もすんごいもんだったんですが…そしてそれを隠さないギリアム監督の業の深さに恐れ入った感じだったんですが、今回はギリアムのロマンティストな面が見られてちょっとホッとした感じも。
ちょっと『イースタン・プロミス』を思い出した。どちらもロシアの臓器売買ネタが出て来るしなー(ロシアのイメージってどうなんだ)。クローネンバーグ監督もだけど、変態とロマンティストは紙一重ですね。愛するひとの幸せを願う時、自分の幸せは望めないみたいな感じですよ…うがーせつない。『ファウスト』がモチーフにあったのかなと思いました。あーでもギリアムって『未来世紀ブラジル』でも『フィッシャー・キング』でも『12モンキーズ』でもこういう面はあったか。そういう意味では一貫しているか。そして女優の面構え選択も一貫性がある!リリー・コールちょうかわいかった。妖精、小悪魔、ファニー、こねこちゃん、ベビードール!声が時々少年みたいなハスキーな感じに響くところもむっちゃ魅力的。ギリアムの作る芝居小屋な世界がもうぴったり。アンドリュー・ガーフィールドも、そういう芝居小屋にいる心の素直な子、と言うのがもう顔に出てる出てる!って印象でとてもかわいい。
そう、ギリアムの世界…実は今回ちょっと油断してて、ヒース・レジャーの遺作となったこと、代役をジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが引き受けて完成にこぎつけたこと等が「ヒースを愛したひとたちが、彼の遺志を引き継いだ」みたいな美談として宣伝文句になっていたので(実際それは素晴らしいことなのだけど)、ギリアム毒々モンスターの一面を一瞬忘れて観ていた部分があったんです。不覚。それがもう、ジュード・ロウのあのパートで一気に解き放たれた!みたいな感じで…数分、いや数十秒かも?とにかくそんなに長くないシーンなんだけど、ギリアム汁噴出!て感じで思わず「おへえっ」とか声出そうになった(笑)。「警官になろう 暴力大好き!」から「おかあさーん!」ボカーン!のシーンはもうトラウマになった…今夜夢に出そうだ、最高だ。こういうどナンセンスなモチーフをどばどばっとぶち込んでいるのに、どうにもヒューマンな面が見えるから好きなんだろうな。いや、ヒューマンと言うか…ひとでなしなのはひとであるからだみたいな?そもそもひとだからひとでなしなんだよ!みたいな。…『The Man Who Killed Don Quixote』が無事完成しますように。
あ、あと(デイリー)ミラー紙とサン紙についての皮肉にはニヤニヤした。
現実世界のトニーがヒース、鏡の向こう側の三人のトニーがジョニー、ジュード、コリン。それぞれがそれぞれのシーンにぴったり、と言う妙味。脚本改編はなかったとのことですが、ヒースのことがなかったとしても、このキャスティングはしっくり来ていました。終盤の大事なシーンはコリンが担当しているのですが、このひとって暴れん坊な反面慈善事業にも熱心なひとですよね。それが旨味になっていると言うか。
ヒースは…よかったなあ。なんと言えばいいか、でも、よかった。
すごく大事な役でトム・ウェイツが出演していたのでビックリ。知らないで観たのでなんだかトクした気分です。嬉しかった。そして最後のちょっとした音響の仕掛けが洒落ててよかった。トニーの着メロなんだよね。せつなくなった。そうそう音楽も印象的だったんだ、劇中歌のぺらぺらのウィアーザワールドみたいな…これが着メロなんだけど。悪意ある慈善事業のうすら寒さが透けて見えるような曲でむずがゆかったなー(ウィアーザワールドがそうと言うことではないし、善意100%の慈善事業も勿論ありますよ)。
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2010年01月26日(火) ■ |
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『THEE SCENE』 |
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『THEE SCENE -LAST HEAVEN 031011-』@LIQUIDROOM
これで最後だ。ミッシェルの音がライヴハウスで聴ける。
ライヴハウスに『LAST HEAVEN 031011』の映像と爆音をかけるツアーの追加公演、最終日。新木場には行けなかったので有難い。『THEE MOVIE』とは別ものの映像・音響で、途中編集も殆どなく(曲間を短くしたくらい)、ドキュメント的な挿入映像やナレーションも全くない。ミッシェル最後のライヴをひたすら追う構成。あの日のライヴ映像は『BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN』としてリリースされているが、それとも違うものになっていた。アベくんのカットが多いように感じた。退きの映像も多い。
「ゴッドファーザー愛のテーマ」が流れて暗転、歓声がわっと沸いて、前方にひとが殺到する。アベくんが登場すると、ひときわ大きな歓声と悲鳴のような声があがる。隣の子は泣き出してしまった。そして「ドロップ」。爆音もいいとこだ。一瞬重い空気になる。しかし続いて「ゲット・アップ・ルーシー」のギターリフが炸裂すると、弾かれたようにフロアがうねり出す。そして「バードメン」が始まった途端、前にいた女の子がもう我慢出来ないと言った様子でフロントに駆け出していった。みるみるサーファーが増えていく。
とにかく音がよく、当日幕張で聴いた音とは格段に違う。その上“あの”爆音なのだ。ミッシェルの爆音。数日耳がイカれてしまう、あの音。今出ているミュージックマガジンにのうやんのインタヴューが載っている。『THEE SCENE』の音響についても話している。正に今この場で演奏しているような音にしたこと。臨場感を大事にするため、あの日の歓声を入れないようにしたこと(実際は曲間に微かに入っていた)。そして音をそのまま流すのではなく、PAを通して(現場で調整して)鳴らしている。映画と違い一日一箇所でしかやっていなかったのは、バンドが街にやってくる、と言う架空のツアーの気分を盛り上げるためだけではなく、音響エンジニアが全ての現場に実際に出向き、PAを操作していたからではないだろうか(憶測だが)。
この日起きた歓声、拍手は、幕張の音ではなく、リキッドにいたひとたちが鳴らした音だ。ライヴハウスのフロアで、スタンディングで観ると言うことは、こういうことだったんだ。楽しい。楽しい!ミッシェルのライヴだ!
しかし曲間が長めに空くとふっと我に返る。照れたように小さな声が飛んだりしていた。そういう気まずさも愛おしく感じた。もともとこれはオマケのようなものだ。ミッシェルの音がライヴハウスで聴けるなんて、もうないことだったのだから。スクリーンに時折映し出されるアベくんの表情(なんとも言えない顔をしている。あの表情をどう説明すればいいか判らない)に呆然とし、「ブギー」「赤毛のケリー」辺りでは重苦しい気分になったが、理由はどうあれ、今回オマケをくれたミッシェルのスタッフには感謝しかない。本当に有難う。
楽しい時間は過ぎる。「リボルバー・ジャンキーズ」や「ジェニー」はゴキゲンな曲だけど、だんだん寂しくなってくる。チバくんの「サンキュー!」に思い切りアベくんが「世界の終わり」のイントロを被せたところにまた笑ってしまいつつ、ああ、やっぱり終わるんだなと思った。終わらないものはない。ミッシェルはもうないし、アベくんももういない。それは解っている。それでまた続いてくだろう、それでまた繰り返すだろう、これは誰のせいなんだろう、それはわかってるんだろう。
このバンドに会えたことに感謝して、曲が残されていることに感謝して、ずっと聴き続けよう。
明るくなってぼんやりしていたら、「KWACKER」が流れ始めた。ミック・グリーンもそっちに行っちゃったよ、アベくん。その場を離れ難くなってうろうろしていたら、「サタニック・ブン・ブン・ヘッド」が始まった。フロアが盛り上がる。そしてうわきたよ「CISCO」!ロビーから戻って来るひともいる。思わずシスコー!やっちゃったよ。いやー、十数年振りにやっちゃった。もうやることもないだろう。「ガールフレンド」が流れ始めて、ようやく外に出た。ドリンク貰わないで出てきちゃったと交換用缶バッヂを見たら、今迄のリキッドロゴ入りのものではなく、クボケン撮影のカートとコートニーの写真がプリントされたものだった。
帰宅後、エアコンのスイッチを入れても起動音が聴こえず、何度もリモコンを押してしまった。耳鳴りが酷い。ミッシェルのライヴに行ったんだな、と思った。
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2010年01月23日(土) ■ |
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『猫を数える』 |
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『猫を数える』@フォト・ギャラリー・インターナショナル
ねこ写真のグループ展。平間至さんのミーちゃんの写真が出展されているとのことで行ってきました。
二階に分かれるギャラリーの、一階フロアは全部ミーちゃん。わーいまだらのミーちゃんだよ。かわいいー。ちょっと残念だったのは(多分)撮りおろしがなかったことかな。写真集も三冊で最終刊だったし、平間さんも思うところがあってのことでしょうが。私の中でミーちゃんはすっかり原節子のイメージになっているよ…。
二階フロアは平間さん以外の作家さん十二人のねこ写真がそれそれ二~三点ずつ。日本のひとが六人、海外のひとが六人。モノクロだったりカラーだったり、シルバープリントだったりポラロイドだったり、手法もさまざま。ひきのショットも多いけど、どこにねこがいるかすぐ見付けられる。ねこの存在感に依るものか、写真家の腕か、観る側のねこスキーに依るものか(笑)。全部でしょうかね。しかし皆が皆ねこへのアプローチが違っていて、それがまたねこへの眼差しを感じさせてほっこりしました。
ギャラリー近くのタリーズにもミーちゃんの写真が展示されているとお知らせが張ってあったので、そちらに移動して休憩。壁一面に沢山のミーちゃんが飾られていて、オレンジ基調の色味が多かったのでお店もなんだか明るい感じ。芝浦の橋をいくつも渡って、運河を眺めつつ品川迄歩いて帰りました。冬でも散歩は楽しい。と言うか、冬の散歩大好き。
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2010年01月21日(木) ■ |
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『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』プレヴュー初日 |
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阿佐ヶ谷スパイダース『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』@本多劇場
プログラム等に目は通していません。なので的外れなことを書いているかも知れませんが、予備知識なしの印象を大事にしたいのでまずはこれで。楽日にもう一度観ます。
休憩なし130分、プレヴューでの反応を見つつ手を入れると事前に言われていましたので、変動あるかも知れません。当日券は基本毎回出すとのこと。この日は通路迄びっしり埋まっていました。通路使いの演出があるので、役者さんがよいしょ、って感じで通ってた(笑)。
留学の成果を見せる的な意気込みもあったと思いますが、それにしてもこういったアプローチで来るとは。いや、気配は阿佐スパの前作『失われた時間を求めて』や、留学中に仕上げたと言う『桜姫 清玄阿闍梨改始於南米版』(こちらは串田演出でしたが)からあるものだった。ワークショップを重ねることで構成していったそうなので、前述のプレヴュー云々のことから考えても、初日迄の時間がまだあったらまだまだ発展する部分があったのではないか、と思わされたところもありました。しかし今回やりたかったこと、の提示は明確にされていたので、留学後の第一作として納得出来るものでした。
長塚くんってやっぱりクレヴァーなひとだよなあ。今後こういった形で続けて行くのかは判らないが、これからの長塚作品がどうなっていくのか興味はある。
長塚作品おなじみのグロテスクな描写はありますが、今回は、これ迄の視覚的なショックを招くようなシーンはそれ程多くはありません(それ程、ですが)。しかし、視覚的なものよりも、言葉で表現されるそれの方が遥かに恐ろしく、おぞましかった。あ、一歩進んだ。と思った。どんなヴァイオレンスよりも、ひとの心の奥に潜む欲望の方が数倍強いのだ。それは裏を返せば、どんな暴力にも人間の心は打ち克てると言うことでもある。それ程ひとの心と言うものは強靭で自由なものなのだが、そこに到るには様々なものを失うことになる。平たく言えばそれは正気、であったり、関係性、であったり。そうして迄生きていく意味はあるのか?作家にとっては、大いにある。そして作家の周囲の人間は、それを焚き付け、誘導すらする役割を自覚している。それは作家への愛情なのか、そうなる作家を見たいと言う自分の欲望なのか。
台詞によって人間の欲を表現するパートを主に演じたのはイケテツさんだったのですが、もうズッパマリでした。やっぱりこのひとすごいなあ。淡々と、人間の好奇心としての欲をひとごとのように、しかしそれは自分のことに違いないと、そしてそれはこれを観ているあなたも同じだと言われたような気すらした。
あーこの辺り、『sisters』のことも思い出したな…上演された当初、「近親相姦と言う少女マンガのような展開をキレイごととして描いている」なんて批判もあったけど、あれって注意深く観ていたらそんなもんじゃないと気付く筈なんだ。あれは間違いようのない性的虐待で、登場人物たちはそれぞれを正当化するために必死で、それこそ死にものぐるいで“キレイごと”を主張する。その主張には、それぞれの全存在が込められている。馨は、性欲処理の道具として父親に“選ばれた”と思い込むこと。美鳥は、自分は父親を“愛している”と思い込む―それは父親によって無意識に“勘違いさせられている”こと。ふたりはその主張を失ったら生きていけない。一方美鳥の父親の“キレイごと”は、文字通り言葉が上滑りするような言い訳にしか聞こえない。その主張に彼の存在価値等なく、それを奪われても生きていけるからだ。
文字だけだったら、正直それに気付いたか判らない。あれは書かれた言葉の力と、それを身体に入れて声にした演者の力の相乗効果のようなものがあった。今回のイケテツさんの表現には、その力があった。
役者さんたちはしんどかったのではないかなーと思いました。やり甲斐はすごくあったかと思います。役者ってやっぱりどMだよね…そんで長塚くんは演出家としてはどSで作家としてはどMですね(笑)。
タイトル通り時間軸がいったりきたりし、それがストーリーの流れかすら曖昧になっていくのを追う面白さがある分、観る集中力がかなり要ります。乗り遅れたらきっと寝ます(笑)。
セットは抽象(二村周作さーん!てなモノトーンの美術よかった)、小道具も使う時とマイムの時がある。あと面白かったのは、舞台転換を逆手にとったところ。基本舞台上での“移動”は、セットが転換され、そこに役者が入っていくことで表現されるが、今回同じセット(机、椅子)を両端に一対ずつ置き、そこに役者が直接移動することで空間をねじまげるパートがある。前のセットに三人いたところ、二人が後のセットに移動し、もといた一人が「不在」になる。この辺りは想像力で自在に遊べる舞台の楽しさがありました。そういう試みが随所に散りばめてあります。まさにワンダーランド。
■よだん 『キャッチボール屋』を観ているひとは、序盤の光石さんを見て思い出すことがあると思います(笑)あれ、冒頭の緊張感あるシーンだったのにちょっと笑いそうになった…
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2010年01月20日(水) ■ |
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『NINE INCH NAILS “Lights In The Sky Tour” 独自編集映像・特別試写会』2 |
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OPEN FACTORY『NINE INCH NAILS “Lights In The Sky Tour” 独自編集映像・特別試写会』@UPLINK FACTORY
(昨日の分、追加訂正あります。記憶で書いていますので他にも間違いありましたらお知らせください)
と言う訳で以下本編おぼえがき。この手のやつは経緯を説明するので手一杯になってしまって(…)肝腎の内容に辿り着かなかったりするので、今回は根気よく?書いてみる。
この時のメンバーは、Trent Reznor(vo)、Robin Finck(g)、Justin Meldal-Johnsen(b)、Alessandro Cortini(Syn)、Josh Freese(Drs)。カッコ内はメインパートで、全員他にも楽器をとっかえひっかえします。勿論トレントはギターもピアノも弾くし、マイク投げとばして「ボコッ」とかそういう音も出します(笑)。以下ネタバレあります、これからご覧になる方で内容知りたくない方はご注意ください。
セットリスト ----- 1. "999,999" 2. "1,000,000" 3. "Letting You" 4. "Discipline" 5. "March Of The Pigs" 6. "Head Down" 7. "The Frail" 8. "The Wretched" 9. "Closer" ("The Only Time" Breakdown) 10. "Gave Up" 11. "The Warning" 12. "Vessel" 13. "21 Ghosts III" 14. "28 Ghosts IV" 15. "19 Ghosts III" 16. "Ghosts Piggy" 17. "The Greater Good" 18. "Pinion" (Pre Recorded) 19. "Wish" 20. "Terrible Lie" 21. "Survivalism" 22. "The Big Come Down" 23. "31 Ghosts IV" 24. "Only" 25. "The Hand That Feeds" 26. "Head Like A Hole" ~encore~ 27. "Echoplex" 28. "The Good Soldier" 29. "God Given" 30. "Hurt" 31. "In This Twilight" ("Zero-Sum" Piano Outro) -----
・はああーYouTubeで一曲ごとにちまちま観ていた映像をノンストップで、大画面で、沢山のひとと観られるこのしあわせー ・だんだん場内の空気が薄くなりましてん ・皆固唾を呑んで見入っているのがビシビシに伝わる感じで… ・上映会なのに携帯でスクリーン撮るひともいる始末(おいおい)。ライヴ会場にいるみたいな気持ちになっちゃったのかなー ・映像の密度といい内容の濃さといいライチュウ照明といいトレントのモリモリ筋肉といい全力を傾けるその姿といい。途中から(自分が体調悪かったってのもあるけど)具合がわるくなりそうに ・と言いつつ終始笑顔で観ていた。ニヤニヤもするっちゅうねん、楽しくて ・ところどころで鳥肌がざわざわ立ったり ・落ち着いて観てるつもりでも身体は正直ですねー ・文字通りまばたきするのも惜しい。しかしまばたきしとかないと後々危ない(笑) ・最後列だったので、場内全体を見渡す感じで観られたのも面白かったです ・スピーカーはスクリーン下に三台、左右に一台ずつ配置されていたので、臨場感をどっぷり味わいたいひとは前で観た方がいいと思う ・段差がないところもあるので、席選びには気を付けてー ・音は途中からちょっとあがった?最初「う、ちっちゃいかな」と思ったんだけど、途中から気にならなくなったので。こっちの集中力が上がったのかも知れない
・キャメロンチームによる3D撮影が実現していたらさぞかしすごいものになっただろうなあと思った ・勿論そのままで観てもすごいんですけど、随所に3D撮影を意識したような演出があったのでね… ・ここらへんはインタースコープとユニバーサルに(以下略) ・LEDフェンスで演奏エリアを遮ったり挟んだりする演出が秀逸 ・もともとNINはこの手の演出はよくやっていて、逆光照明やカーテンで観客の視界を遮ることで転換等していましたが、今回その役割をLEDフェンスが主に担っている訳です ・LEDフェンスを前後で使うことで、遠近感の狂いを楽しめると同時に、演出用の映像自体の美しさが堪能出来る。魅せる魅せる ・つーか普通の照明の数も半端なかったが。オープニングでステージ背後にズラッと並んでいる照明群見てほげーとなった ・こんな規模のセット、日本には持ってこれんわ…つうか持ってきても採算とれんわ……か、悲しい ・だからねー2008年のサマソニ辺りで呼べればよかったんだよねー!今となってはたらればだけどねー! ・でも2009年のサマソニもスペシャルな素晴らしさだったからそれはそれでいい(何せ自然現象の演出がありましたからね) ・「Closer」の時、逆光で横顔のシルエットを見せていたけど、これヴィデオクリップを思い出したなー。トレントがヴィデオディレクターのマーク・ロマネックに「君の鼻のラインは綺麗だねー」と誉められたと言うエピソードもあったな。自分でもよく分かってらっしゃる(笑) ・と言えば、「Survivalism」もヴィデオクリップと連動した感じの映像演出だった。六分割の監視映像みたいなの ・演出用のカメラで自分の顔のどアップを撮り、リアルタイムで加工して映すところがあったんだけど、その正面顔はハムナプトラみたいになってた(笑) ・そうそう「Only」のクリップみたいな感じだよ。でもこの演出「Only」の時じゃなかったなー
・で、そういう光の演出がかなりきらびやかなんですが、使う色がシンプルなんです。単色で、同時使いしても二色くらいかな。フルカラーの映像使いはオーラスの「In This Twilight」くらいだったかなー。そのまとめ方がセンスよくて ・『THE SLIP』のアートワーク辺りから使われている、ロシアアヴァンギャルドっぽい直線使いのシンボルやロゴも加わって統一感があった
・『Ghosts I-IV』のアコースティック楽器を使った演奏は日本では観られなかったので、13~15曲目は嬉しかったー。マリンバもシロフォンも自分たちで演奏している。マルチプレイヤー揃いならでは ・スティーヴ・ライヒみたいな趣もあり。その前後の流れとは違う緩急自在の構成 ・つーかトレント、さりげにマレット三本使いしてた…あれ結構難しいんだよ…… ・こういうの見ると、あー練習してるんだよなあ。とアホみたいなことで感心してしまう ・ジョシュはティンパニ使ってましたね ・『Ghosts I-IV』以外の曲でも、珍しいところではロビンがバンジョー(多分)弾いたり、JMJがウッドベースも使ったり。トレントはグロッケンも ・楽器と言えば、「Echoplex」で使ったLEDフェンスとタッチパッドが連動したみたいなのって、あれ何なんだ?シルエットで曖昧だけど、多分ジョシュがやってたよね。それでリズムパターンを出してイントロに入ってた。面白いー ・ところで「Wish」の終盤がツーバスに聴こえますジョシュ。どうやってるの ・そして「Gave Up」のコーラス、ロビンの妖怪声はやっぱりいいね!(笑)怪鳥音みたいだよねー
・あー練習してるんだよなあ、と言うのは、照明や映像とのタイミングを合わせて動かなければならない演出も多かったので、そういうところでもしみじみ思った。何げにすごい段取り多いんですよ。ちょっとタイミングズレたらパーになるし。演奏自体を見ているとむっちゃ暴れてたりするところもあるんですが、非常にコントロールされていました。ステージそのものがインスタレーションの作品のようだった
・演奏はもう…素晴らしかったです…… ・あ、あとアンコールでメンバー紹介したのにちょっとビックリした
はあはあはあ、こんなところか。もう観た端から忘れていくね!
東京では2月9日に追加上映が決まっていますが、こちらももう満員御礼とのこと(イエー)。それでもまだ知らないひとっていると思うんだよね…今はとにかくwebで情報を拡げるしかないか。また追加上映決まればいいけど。本当に内容的にも画質的にも高クオリティの作品なので、映画館規模での上映が実現するといいな。そしていずれはソフト化を…。ひとりでも沢山のひとが観られますように!
東京以外での上映会企画も進んでいます。札幌、大阪はかなり具体的なところ迄行っているようです。興味ある方はこちらの情報交換掲示板をご覧になって、是非足を運んでください。
ねもい。推敲もせずに寝ます。
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2010年01月19日(火) ■ |
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『NINE INCH NAILS “Lights In The Sky Tour” 独自編集映像・特別試写会』1 |
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OPEN FACTORY『NINE INCH NAILS “Lights In The Sky Tour” 独自編集映像・特別試写会』@UPLINK FACTORY
(ご指摘頂きましたのでちょこちょこ訂正してます、有難うございますー。何ぶん記憶で書いていますので、他にも何かありましたらお知らせください)
ええとー長いですよ。それこそtwitterとかで検索すれば読みやすい感想がざくざく出て来ると思いますよートホホ。あれだ、自分は長々書かないと忘れちゃうんだよ!書いても忘れるけど!まとめる能力がないんだよ!
いやあ…すごかった……。あああーこれ沢山のひとに観てほしいなあーそういう機会がこれからも増えますように。つうか増えろ、増えてくれ(念)。
本ッ当ーに日本のメディアでとりあげられなかったんで(なんつうか、メジャーのレコード会社の所属から離れるとパッタリ、と言う状況には愕然としたところがあったよ…)伝わってない部分もあると思うので、今回の企画者・鈴木喜之さんの前説から、自分用備忘録も兼ねて以下メモしておきます。
・放流された映像データは、2008年『Lights In The Sky Tour』終盤の三公演分。480420GB(ヒー)
・その中の一公演分を編集し、画質をなるべく落とさない方法で圧縮して160GBに (・そのうち一公演分をまとめて完成させたものが166GB、それを圧縮したものが約40GB。上映には後者を使用) ・(つーことは環境さえ揃えば元のデータをそのまま観ることも可能なのです) ・編集したのは、NINのツアーサポートアクトを勤めた日本のバンド、BORISの映像等を手掛けている方だそうです ・BORISはトレントが是非ともと選んだバンドで、最初のオファー時はBORISの欧州ツアーと被って実現しなかった。それを待って、再びオファーしてサポートを実現させたので、トレントはホントにBORISに入れ込んでいたよう ・(そんなバンドの映像を手掛けているひとに、今回の映像を託すことが出来てよかったなー) ・今回はラッシュの試写会と言う感じ(タイトルやクレジット等入ってない)。いつかは映写音響設備がもっとしっかりしたところでやれたらいいなと言う気持ちもある ・本国でまとめられた映像(『THIS ONE IS ON US: Another Version of the Truth: The Gift』)と、勝負!と言う感じ(笑)
・(そんでまあ、この映像の制作費用は鈴木さんのJI・BA・RAです。還元と思ってこちらのTシャツを購入してみるといいのではないかな…)
・長いです!二時間以上あります ・そして照明効果がすごいです。所謂ピカチュウのあれですね…あれがライチュウくらいに進化して(ゲラゲラ) ・そんな感じなので、なるべくリラックスしてご覧になってください ・構成、演出も大規模。メンバー人選も適任ばかり。このライヴを観ると、トレントがどれだけこのツアーに力を入れていたか納得するし、これをやりきったことで、もうライヴは引退、と考えたのも無理はない、と思います ・次にやるならコンパクトな編成で、肉弾戦(笑)のライヴになるよなあと ・(昨年の来日は『Wave Goodbye Tour』の4人編成、セットもなし、シンプルな構成のものだった。ツアータイトル通り、2009年をもってNINはライヴツアーを停止している)
・今回トレント・レズナーがこういうこと(データ放流)をやったのは、ヤケクソになったとか、当初の予定だった3D撮影の資金を出してくれなかったインタースコープやユニバーサル等への当てつけも多少はあったかも知れないけど(笑) ・(そういやポンチさんが言ってたけど「ほらちゃんと自分でサインしてるだろう動画UP」がこどものような反応だったので、「カッとなってやった」みたいなもんかと…笑) ・それ以前からのアルバム全曲フリー配布、マルチトラックの公開、そのデータを使ってのリミクスサイト開設、と意識的にやっている彼のことだから、明確な狙いもあったと思う ・リスナーが動いてくれるだろう、と言うような
・自分がアーティストを支援する、と言う意識を持ってほしい。そのためには、作品を買う!ひとに伝える! ・この上映会に来ているようなひとたちなら、NINの作品は全部持ってると思うけど、それでも買うんです!(場内爆笑) ・そしてともだちに勧めるとか、今ならネットもありますから、そういう場を利用するとか ・今はきっとメディアに頼るより、実際に観た・聴いた皆がブログやmixiやtwitterで「よかった!」「面白かった!」と言う方が確実に効果がある
つうか私の頭ではおぼえがきすらまとめられん…しっかりした経緯の詳細は鈴木さんとこのブログ『「勝手にアンコール企画」へ向けて(その1)~(その7)』を読んでくれ!長いけど!しつこい程にリンクしているが(すすすすずきさんすみません)。そりゃ準備から公開迄一年以上かかるっちゅうねん!あああーすみませんー誰かやってくんないかなーなんてダラダラ待っててすみませんーいずれは本国のが出来るじゃろなんて呑気にしててすみませんー!
・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その1) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その2) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その3) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その4) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その5) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その6) ・「勝手にアンコール企画」へ向けて(その7)
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なげーよ!と言う訳で本編感想は翌日付のとこに。
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2010年01月16日(土) ■ |
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『能楽現在形 劇場版@世田谷』『ソコバケツノソコ』 |
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SePTハシゴ。
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『能楽現在形 劇場版@世田谷「能は能か、演劇か」』@世田谷パブリックシアター
半能『高砂 八段之舞』 、能『邯鄲(かんたん)』。
『高砂 八段之舞』から。高砂と言えば結婚式等で謡われる「高砂や~」が有名で、『高砂』も祝言の能と言われるもの。今回は半能と言うことで、本来の構成の後半のみ、“神舞”が中心となった「八段之舞」の部分。「高砂や~」から連想されるゆったりとしたイメージとは随分違い、かなり激しい舞と地謡でした。住吉の松の神の化身が長寿と世界の平安を祈って舞うもので、新年と言う雰囲気もあり、シャキッとした気持ちになりました。いいもの観た。
『邯鄲』は、仕舞の方を昨年なかのZERO能で観たのですが、今回初めて能の構成で観ることが出来ました。今で言うニート?(笑)の若者がこれではいかんと旅に出て、途中の宿でそこのおかみさんがごはん作るから休んどきなさい、と枕を渡す。これが“邯鄲の枕”です。若者はその枕に頭を預けて眠ると、帝がやってきてあんたに今の地位を譲るよ、と言う。若者はあれやこれやの楽しいことを過ごし、五十年の月日が流れる。舞を踊って眠りにつくと、おかみが起こしに来る。「粟が炊けましたよ」。所謂胡蝶の夢です。能楽堂とは違う演出でやるのが『能楽現在形 劇場版@世田谷』、舞の台がせりになっていたり、照明も天井から吊るす等面白い趣向でした。三階席の上手側から観たのですが、両端に演奏者が分かれており、上手側に地謡、下手側に楽器だったので、演奏者をよく観ることが出来ました。鼓や太鼓の楽器陣は叩き乍ら合いの手を入れるので、そのタイミングも確認出来て面白かったです。
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SePT独舞 Vol.20 黒田育世×飴屋法水『ソコバケツノソコ』@シアタートラム
反復。反復。生きること。
チケット確認したら「全席自由(オールスタンディング)」と書いてあり、「トラムで?」「ダンス公演で?」といろいろな「?」を抱えつつ入場。トラムの座席をとっぱらいフリースペースにしていました。関係者用か後ろの数列のみ座席が残されており、そこと演技スペース以外であればフロア部分のどこから観てもいい。上演中に移動してもいい。実際には流石に動きづらく一箇所で観てしまったのですが、フロア全体を使う作品だったので死角もあり。つい普段のトラムで観る感覚で、普段ステージがある方向を前と設定し、そちらに向かい合う位置から観てしまった。演技スペースは流動するので、見えるところと見えないところがある。この「死角がある」限定観測は、逆から言えば、「自分だけしか目に出来なかった視界」でもある。聴きとれない言葉も沢山ある。「自分だけしか耳に出来なかった言葉」が拾われる。
普段ステージがある側の上手側に音響卓と飴屋さん。飴屋さんは自分で音響操作をするのだが、普段の劇場だと客席後方に卓があるので、どういうふうに音を入れているのかを見ることが出来ない。今回それを目に出来たのが楽しかった。下手側の壁面に、黒田さんの幼い頃のスナップ写真がスライドで映し出される。(自分の位置から)下手側手前に、黒田さんの衣裳と飲料水、その他小道具が運び込まれる。下手側後方からくまが登場する。上手側手前に会話をするスペースが出来上がる。下手壁面にはいつのまにか老女がおり、あるシークエンスで演技スペースに入って来る。黒田さんをじっと見詰める老女は、スタッフに促されて退場する。
その中で黒田さんは踊る。「踊ります」と言って踊る。跳ぶ、足首に鈴を付けて踏み鳴らす。フロアを噛むように踵を叩き付ける。まるで泣いているかのように(実際に泣いていたのだろうか)叫ぶ。「バケツの底で、あのひとに会いました」。他の出演者と関わり、世界と関わる。そこに身体は不可欠だが、魂のようなものの触れ合いも存在する。
『3人いる!』『4.48サイコシス』のメンバーも参加していた。立川さん、村田さん、クルクさん。くるみちゃんも。序盤流れるテキスト朗読の声を聴いて、あ、あのひとだ!と思う。出て来たひとを見て、あ、あのひとだ。あのひとだ。と思う。なんだか勝手になつかしさも感じてしまった。実際にはこちらが見ているだけで、話したことすらもないのに。
しかし村田さんの声は素敵だなあ。一度聴いたら忘れない声。
立川さんがいちばん動く…と言うか、沢山の役割を抱えている担当で、黒田さんと対峙するかのようにマイクでアジテーションしたり、くまをつれてきたり(この時立川さんのしていたマフラーが、マタギの装束に見えた…笑)、今回の作品のテーマであるらしい(配布されたリーフレットに掲載されていた)『大きなこびと』を朗読する。終盤、立川さんと村田さんが並んで『大きなこびと』を朗読するのだが、それには一定の振付が付いている。向かい側ではクルクさんが、恐らくふたりとは違う振付動作をずっと続けているのだが、それは死角になっていたので実際どんな振付だったのか定かではない。彼が足首に付けていた鈴の音だけははっきり憶えている。目は立川さんと村田さん、黒田さん、飴屋さんを、ひたすら追っている。視点がめまぐるしい程に移動する。
反復。反復。立川さん、村田さん、クルクさんは動作を繰り返す。途中黒田さんが、立川さんと村田さんにそれぞれブランケットとチュチュを被せる。立川さんおばけみたいになった。村田さんライオンみたい。チュチュって下から見るとライオンみたいなんだ。フリル部分がたてがみで、脚を出すところが目、股の部分が鼻。なんだかかわいらしいふたり。飴屋さんの作品に現れる反復は、時々キュートでチャーミングだ。動作は繰り返され、静かな足踏みの音、毛布とチュチュ、身体の擦れる音が続く。反復は決して同じにはならない。毛布がずり落ちてくる。脚の位置が変わって来る。生きることは反復だが、決して同じことは出来ない。この日、この時にしか存在しないもの。
序盤、黒田さんのインタヴュー音声が流れる。どこで生まれ、育ち、バレエを始め、バレエから今の踊りに到ったか。それは黒田さんが反復を繰り返し生きてきたから辿り着いたもので、同じ道を他者が辿ることは決してない。自分は自分でしかなく、同じ他者というものは絶対に存在しない。それを観ている自分も、他にいない。しかし自分と他者は繋がっている。黒田さんは最後に「私の名前は、ハットリミキさんです」と言う。これは恐らく序盤、黒田さんがひとりの観客に話し掛けていたシークエンスに繋がる。彼女はその観客に、名前を尋ねていたのだ。そして黒田さんは、最後に「ハットリミキ」と名乗る。演者と観客の繋がりが浮かび上がる。『大きなこびと』の「ぼく」は、「名前がな」かった。その「ぼく」が、最後に観客の名前を名乗る。自分は他者には決してなれず、その反対もそうだが、繋がることは出来る。「昼間の星は、どこにいるの?」目に見えないけれど、そこにいる。いつでもいる。
飴屋さんの作品は、いつもこういうことを考えさせられる。演劇(今回はダンス公演だが。ライヴと言ってもいいかな)は反復の作品でもあるが、同じものは決してない。しかしそれは生きることに繋がっている。反復。反復。生きること。それは時々キュートでチャーミング。
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テーマ的な位置づけの曲がジョアンナ・ニューサムだった、確か。探してみよう。
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2010年01月15日(金) ■ |
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TINTED WINDOWS JAPAN TOUR 2010 |
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TINTED WINDOWS JAPAN TOUR 2010@duo music exchange
会場がZEPP TOKYOからduoに変更。中止にならなくてよかった、来てくれてよかったー。近くてアットホーム!極上のポップソングと、お互いを尊重しあい楽しんで音楽をやっているバンドメンバーのほんわかした雰囲気に、最初は様子見おずおずだった観客も徐々に盛り上がって来る。それがなんかよかった。バンドの調子も関係なしに最初からギャー!何をやってもキャー!ってライヴもいいけれど、そしてそういう盛り上がりがバンドのコンディションを高めることもあるんだろうけど、この日は音楽そのものの力が感じられるいいライヴでした。
duoと言うこともあり、序盤は音がバラバラでペラペラ。ヴォーカルが大きくコーラスが全く聴こえなかったので、え、カラオケ?と思ったくらい(苦笑)。そしてドラムがかなりもたったりバタバタしたりしたので、お、おじいちゃんがんばれ!なんて失礼なことも思ってしまいました。しかしだんだん調子が出てくる。おじいちゃんもあったまってきた!(失礼)アンサンブルも噛み合ってきて、あーこれがTINTED WINDOWSのサウンドなんだーと感じられるくらいになりました。
そして何がビックリしたかって、ヴォーカルのあの子の声が変わっていなかったことだよ。ごめんアルバム聴かないままライヴに行きました。なのでヴォーカルどうなってんのかなー、声変わりしてるだろうなーなんて思っていて…確かに大人の声になってはいたんだけど、ハイトーンの声の色は変わっていない上、厚みや深み、艶のある声になっていた。し、か、も、ちょーイケメンになってた!(笑)アー写の写り悪いよ!ビックリした!なんつうのパワーエリートのビジネスマンに見えなくもない風貌になってたよ…衣裳もワイシャツネクタイだったしな……。唄うのが楽しくて仕方がないと言った感じで、フロアとのコミュニケーションもしっかりとるし、うわーなんかいい育ち方したねえよかったねえとか思ってしまったよ…余計なお世話です。
ちなみに無礼にもおじいちゃんとかあの子とか書いていますが、このふたりはチープトリックのバンさんと、キラメキ☆ンーバップのハンソンのテイラーくんです。あとのふたりは、元スマパンのイハくんとファウンテンズ・オブ・ウェインのアダムくん。うへえってなラインナップなのですよ。ライヴはサポートでギターのひとが入っていて、五人編成になっていました。FOWは来週来日公演があるので、アダムはこのまま残るんだろうな。
バンド幻想も通過し、アメリカのショウビズの酸いも甘いも噛み分けたであろうひとたちが組んでいるバンドなんだけど、今回観た限りではすっごく初々しかった。本当に楽しそうに演奏してた。いろいろあって今辿り着いたのがここだとしたら、よかったねえとほっこりしてしまう。ライヴ終了後、フロアが笑顔でいっぱいだった。年齢層は高めだったけど、目がキラキラしてて頬が紅潮してる感じで、少年少女みたいになってるひとが沢山いた。テイラーくんにも黄色い声が飛んでいました。
アルバム一枚しかリリースしていないので、持ち曲が少なく短いセットでしたがとてもいいライヴでした。ナックやバズコックスのカヴァーもあったよー。
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2010年01月09日(土) ■ |
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ライヴ初め |
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面影ラッキーホール@Shibuya CLUB QUATTRO
ヘヴィーメタルと紙芝居と面影。いやあ、これがライヴ初めでよかったな…なんだかすごく前向きになった……。
しかしアッキーも言っていたが、ひとに言えませんね(笑)どんなの聴いてんの?面影ラッキーホール!て。言ってますけど。まあ言うひと選びますけど。しかしここに書いているので選んでないのか…いや、聴いてみれば?と勧めるひとは選びますね。ダメなひとはダメだもんよ。で、ダメじゃないひとには何かしらの信用が生まれますよ。
ホーンセクションがKinKi Kids(一発変換)のサポートのため欠席(アッキー曰く「そりゃああっちを選ぶよね」)、代役さんの三人が参加されてましたが巧いひとばかりでTbソロなんぞもありました。振付けもちゃんとやってくれてたよ!Tpのひとはコーラス参加してないのに唄ってたし。Fl、Tsのおねえさんだけが、ちょっと心配になった…にこやかに演奏してらっしゃいましたが、どういうバンドか知っての上でいらっしゃったのかどうなのか。ホーンセクションの譜面だけ渡されてリハにやってきて歌詞聴いてどんびきとかじゃなかったことを祈ります。それにしてもなんでアッキーはDCPRGに対抗意識を持っているのか…しかも今更……P-VINE繋がり?以前対バンした時、遅刻したので面影観られなかったんだけど、その時何かあったのか…それにしたってもう何年前よ。なんで最近になって言うようになったんだろう(笑)。
MCの内容についてはまあ書けませんが(…)、セットリストは「SO-SO-I-DE」が初めてライヴで聴けたり、あと「あの男(ひと)は量が多かった」も久々じゃなかったかな?あ、あと導入が格好よかったよ!出囃子が小林旭の「昔の名前で出ています」だったんだけど、その“おもかげ~”の部分をループかけたリミクスにのってメンバーが登場、そのまま「私が車椅子になっても」になだれこみ。これは格好よかった…シビレた。そして終盤、愛の嵐ルック(素肌にサスペンダー)で腰を振るアッキーは神々しくすら見えた(ここらへんが、共感出来るひとを探す必要がある難しさ)。
対バンのTHE冠は新感線でもお馴染み冠徹弥さんのメタルバンド。バンドでは初めて観たのですがこれがよかった。自虐ネタも多かったんですが、それがなんつうか自分を対象化、相対化出来ているところがむしろ清々しい…「カラオケが入ってるようなやっすいキャバクラで女の子と話が弾まなくて歌唄ってるって言ったら『唄って~』て言われたのでジューダス・プリーストの『ペインキラー』をめっさ真剣に唄ったら皆どんびき、お客も帰ってしまった」「メタルで身を立てると言うから私水商売であんたを支えてきたのにもう十年、私ママになってしまったやないの!メタル作る言うからパーソナルコンピューター?買ってあげたのに、あんたがそのパーソナルコンピューターでしていることと言えば、エロサイトか2ちゃんねるかニコニコ動画見るだけやないの!あんたの動画なんかニコニコ動画にはないわ!」(爆笑)これがもう淀みなく怒濤のように唄い語られる訳です。最高ですやん…歌は勿論素敵です、やっぱ高音が素晴らしいですね!あと動きがあんなに面白いひとだってのは知らなかった、フレディ入ってた。そして終わった後話してたんだけど、メタルのひとはやっぱり演奏が巧いですねえ。ベースは六弦をぶいぶい弾いてた。春の新感線三十周年公演にも参加するそうです。
あ、あと冠さん、動画はYouTubeにあるよ!大丈夫!(笑)
そして転換時に大橋裕之さん(太田出版から本が出たそうです)の紙芝居二本。「こんなにひとがいるところで紙芝居するの初めて、やりづらい」なんて言いつつ始めたのですが、これがどちらもいい話で!フロアは静まり返って紙芝居をじっと見、話に聴き入っておりました。
それにしても、THE冠と大橋さんのファンが面影観てどんびきしてませんように…冠さんは面影スキー言うてましたが。いつもより笑いの部分でどよめきと言うか「ざわ…」としていた感じがしたので、初見のひとも多かったのかも知れない。今回のブッキングは多分またあの天才マタバ氏だと思いますが、ホントなんでこういうメンツを思いつくかな…天才だ。ひとによっては災難かも知れないけど。
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2010年01月06日(水) ■ |
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NINE INCH NAILS『Lights In The Sky Tour』映像リリース |
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本国で出ました。Blu-ray(これはまだ)やDVDデータを落とすもよし、iPodやYouTubeで観るもよし、自分で選べと。 ・NEWS: 1.5.10: NIN fans collaborate on massive free DVD/Blu-ray of "Lights In The Sky"
で、データその他はこちら。フィジカル版のパッケージは自分で組み立てるんだぜ!(楽しい) ・THIS ONE IS ON US: Another Version of the Truth: The Gift
で、早くもアートワークやライナーの改訂版が出ています(苦笑)。 ・ライナーとか ・カヴァー、パッケージ
これもいつ迄あるか…情報はThisoneisonusのTwitterでチェックするのがいちばん早いかな。もうこういうのは普通に日記でアップしてても埒があかないよなあ…もはや自分がデータのありどころを見失わないためにメモっているに近い。
しかし思うのは、このやり方って「環境が揃ってないひと」には厳しいですよね…まさしく「貧乏人は麦を食え」みたいな(真意は別として)。以前の巨大ポスター配布の時にも思ったけど。全ての家にB1出力出来るプリンタがある訳じゃねーぞ!て言う。ここらへんの断絶は深そう。そこで興味が途絶えてしまうひともいるだろうし。その程度の興味かと言われてしまえばそれ迄だけど、もっと気軽に…と言うと語弊があるかな、敷居が高いと思うことなく、たくさんのひとがアクセス出来ないもんかと。
トレントとそのファンの発想力、機動力はホントにすごいと思うし画期的なことだとも思うけど、で、自分も受け身ではいかんなとは思うけど、ただ聴きたい音楽をすぐ聴きたい、観たい映像をすぐ観たい、あれやこれやの手間と時間をその聴く、観るよりも多く割かねばならないことになってしまっては苦しい。その為に制作者と言うのがいて、ショップと言うものがあるのだと思うし。正に時間を金で買う感覚だけど。「ご家庭用」の機材では作れない商品を買う嬉しさ、楽しさと言うものもあるしね。同時にプロフェッショナルが作ったものを手に出来る嬉しさも。
まああれだ、年末rockarchive.comのエキシビション@EYE OF GYREに行って、アートフォトプリントの質感、美しさに感動したばかりだったから、今やたらそこらへんが気になるのかも。あとまあ、職業柄…あーでもないもんは自分で作るってのは、ほら、まあ、ザズゥシアターの時には一所懸命やってて……ホントになかったからね(笑)。なんだこの葛藤。
しかし今回、受け手側が動かなければこの映像はずっと観られないままだったし、作り手側は出来るぞやってみなって意味も込めてデータをオープンにしたのだろうし。実際参加しているひとは大変乍らも楽しかっただろうし、自分も遠くから見ていてワクワクしたし。迷い乍ら探っていくことになるんだろうなあ、自分は。今後ヒントも見付かっていくだろうし。
あっ、でも今回のは結果的にこうなった(それがまたエラい面白く発展したんだけど)と言うか、もともとはオフィシャルでリリースする予定だったんだもんね、これ。ダメならこうだと切り換えるトレント・レズナーの前向きさを見習いたい。
とまーグチッてるようですが、実際はウキウキダウンロードしたりしている(と言っても軽いデータだけね…)。そして本国のBlu-rayリリースを待ちつつ、2月9日(火)に追加上映が決定した(すげえ!)『NINE INCH NAILS "Lights In The Sky Tour"独自編集映像・特別試写会』を楽しみにしている今日この頃野口五郎。初見のひとが沢山観られた方がいいので、2月は様子見です。気になるひとは行ってみてー。
そして日本各地でも上映会を拡大するべく情報交換の場が出来ています。気になる方は読むなり書き込むなり。 ・NIN Lights In The Sky Tour 特別試写会
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2010年01月05日(火) ■ |
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ねこ三昧+1 |
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年末年始にねこものばかり。まあ今年は寅年ですし。
■『猫』有馬賴義、猪熊弦一郎、井伏鱒二、大佛次郎、尾高京子、坂西志保、瀧井孝作、谷崎潤一郎、壺井榮、寺田寅彦、柳田國男/編集・クラフト・エヴィング商會 50年前に出版されたねこアンソロをクラフト・エヴィング商會が再編集したもの。かなや漢字もほぼ当時の表記で、一瞬どう読むのか戸惑ったりする。「三疋」とか「辷った」とか、味がある。井伏鱒二の「鱒」も旧字体なんだよー。PCでは出ない。 基本随筆だけど、壺井榮の『小かげ』だけはフィクション的な書き方だった。実際はどうなのかな。ところでこれ、目次と扉では『小かげ』なんだけど、柱では『木かげ』になっている。どっちが正しいねん。校正せんかい。通常だと『木かげ』だけどねえ。 ねこを連れて疎開したため田舎で騒動が起こったり、初めてのお産で人間の方が右往左往したり、ねこの遭遇する幸せと不幸せが滋味ある筆致で描かれています。寺田寅彦の二編がよかったな…物理学者のせいか、理系的な観察眼で描かれていて哲学的でもあり、人生への深い悲しみがちらちらと顔を出す。もらわれていったこねこを通りで見掛けた時の描写が、目の前にその寂しい風景が拡がるようでじんわり沁みます
■『俺とねこにゃん』1 唐沢なをき ■『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』伊藤潤二 続けて読んだんだけど、ねこの生態についていろいろ被っていて面白かった。結構力が強く引き戸を開けるとか、すぐ吐くとか。あとどちらもだんなさんの方が食べものでねこの気を惹いたりして、甘やかし気味。そしてどちらも猫写真載せてて親バカです(笑)。 唐沢さんの方は最初っからデレデレですが、伊藤さんの方はねこが家に来る迄の葛藤や警戒心がホラー絵で描かれています。これがまたあの絵だから怖い。しかし初対面シーンのむーのかわいらしいことと言ったら!伊藤さんがハートを撃ち抜かれた瞬間のこのコマには、むーへの愛情が溢れかえっていて微笑ましいです。呪い顔のよんと打ち解けて行く流れにもほろり。 唐沢さんは下ネタを生き生きと描いていて、流石の独自路線(笑)。続刊も楽しみ
■『ニャ夢ウェイ』2 松尾スズキ+河井克夫=“チーム紅卍” 元妻子がオロチを連れていったので、オロチの日常はあまり描かれておらず、すっかりキャラ化している(苦笑)。そこらへんの生身のねこ不足は、梅佳代さんのオロチ撮りおろし写真やねこカフェ探訪等の追加原稿でフォロー。それにしてもオロチきゃわい~ん。デブになってもきゃわい~ん
■『ニャ夢ウェイ』松尾スズキ+河井克夫=“チーム紅卍” 文庫版。単行本で持ってるんだけど、元妻子(ハジメツマコと読むらしいよ)の後書きが追加されてたのでつい…。まあこの間いろいろあって、それは殆ど(勿論全てではないけれど)作品に反映されているので、松尾さんを見てきているひとは皆知っている。しかし妻子側からの話は初めて読んだので、いろいろ思うこともあり。オモシロを追究し続けるには身体(脳みそも)がタフでないとなあ。うっかりで大ケガもするし、命を落とすこともある。その過程で献身もオモシロになるし、うまいこと波乗り出来ればなあと思う。 それはともかく、ちっちゃい頃のオロチもやっぱりきゃわい~ん
■『ウルトラバロック・デプログラマー』4 浅田寅ヲ これはねこ関係なし。途中からweb連載に移行したので、フィジカルな本が出るか心配だったんだよー。出てよかった!やっぱり手にとれる、触れるのは嬉しい。解体屋もいよいよ復活、本領を発揮しつつあって展開も俄然面白くなってきた!脳内描写も冴えまくっている!ちゃんと最後迄連載出来て単行本化もされますようにー!
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2010年01月02日(土) ■ |
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『フォース・カインド』 |
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『フォース・カインド』@新宿バルト9 シアター7
昨年最初に観た映画は『悪夢探偵2』だったんだけど、今年はこれですよ…。いや、景気付けにあんまり考え込まない映画がいいなあと言うあれだったんですが、いやっ、考えちゃう!考えたら怖い!いーやー!(泣)しかも今これ夜中に書いてるからますます怖い!書いてるうちに3時33分とかになったらすごくいやー!!!
実際の映像と再現映像を交えた、って設定なので『es』や『セッション9』みたいなものかなーと思ってたら予想外の方向に話が転がっていきましてん。アラスカのノームで不眠症患者の診察をしている心理学者が体験するーうわああああらすじ書いてるだけで怖くなってきた!信じるも信じないもあなた次第ー!てなんかあったよね、TVか何か…ああー怖いの苦手なのになんで観ちゃったんだあああー。いやミラ・ジョボビッチ好きなんだよね…顔も容姿も……それが理由か。
まあその、「実際にあった映像」と言うのもちょっと眉唾ものではある(2000年に起こったことなのにやたらと古い色合いだし、ノイズも後入れっぽい)けど、なくはない話なのでねえ。宇宙人はそりゃいるでしょう、こんだけ宇宙は広いんだから、地球人だけが生命体ってのもおかしな話でしょう。だからさあいてもいいからさあ、仲良くしようよ!もう拉致とか止めてよ!と言う。まあアメリカって土地もいっぱいあるし家も広いしUFOも降りやすいよね…もうそれでええやん。いるから!いるでいいから!だから拉致とか止めて!娘さん返してー!
しかしクリストファー・ノーラン監督の『インソムニア』もアラスカが舞台だったけど、土地柄不眠症のひとが多いそうですね。『フォース・カインド』で起こった出来事が実話かどうかはおいといても、信じないひとは信じなくていいけど、その不眠症患者や行方不明者がやたら多いこと、FBIがやたら訪問してることってのは…ねえ。事実ですから。そんなこんなで引き込まれるし、うそらさむ~い気持ちになります。タイラー博士(本物)の顔もちょう怖かったし……。全部つくりもんだとしても、ホントのことだよ~と見せ切る構成も巧いし、タイラー博士の妄想ですよって見解も描いているところが逆にリアルで面白かったです。
で、まあ、博士の妄想だったらそれはそれで博士がすごい可哀相で……そう言う状態になる迄追い込まれたってことだから。あーやだー結局考えちゃうー(泣)
いやー夜中にひとりで観たくないわあ。でも映画館で観ると音とかすごいからどっちにしろ怖かったわ…しかしいちばんビックリさせる映像がCMで使われていたので、心の準備が出来てビクッとはならなかった(笑)あれCMで見せない方がいいんじゃないのか。
と言う訳で信じる信じないはともかく面白かった…観終わった後えらい話が盛り上がります。ミラも素敵だった☆そして結局解明されなかったズンアブー・イーターって何ー!
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