水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2001年12月13日(木) 乃南アサ著『魅惑の輝き』

宮部みゆきさんは、'87年に『我らが隣人の犯罪』でオール読物推理小説
新人賞を受賞、デビューし、'98年に『理由』で直木賞を受賞しました。
'88年に『幸福な朝食』が日本推理サスペンス賞優秀作に選ばれ、'96年に
『凍える牙』で直木賞を受賞したのが、乃南アサさんです。
お二人とも1960年生まれです。

宮部みゆき著『人質カノン』(文春文庫)の裏表紙には「日常に潜むよりすぐり
のミステリー」とありましたが、書店で手にした乃南アサ著『家族趣味』
(新潮文庫)の裏表紙には「日常に潜む狂気」と!!
ミステリーの次は、狂気の世界を覗いてみましょう。←怖い誘いです〜笑

乃南アサさんの短編集『家族趣味』から、第一話は『魅惑の輝き』。
う・タイトルからは想像できない場面の書き出しで、読むのに気力が必要です。

有理子は、お風呂さえない四畳半一間のアパートでひとり暮らしです。
飲食店で朝八時から夜零時まで働きづめの生活です。夏物のスカートは二枚、
ブラウスは五枚しか持ってないから、朝の支度に悩む余地はない・・って、

そっかー、仕事の時は制服でも、スカート、あと三枚あるといいですね〜
スカートが五枚なら、組み合わせにぐんと幅がでるのにぃ〜着まわしの基本は、
トップとボトムの数を同じにすることなんだけど〜 (オイオイ !)

有理子のお給料は、手取りで60万円以上です。(高給取りじゃないですか!)
もらったばかりの給料袋を古ぼけた布製のバッグに入れて、向かうのは
デパートの宝石売り場です。(バッグも買おうよ〜)

そこで、高価な指輪を買うと、サラ金で借金をします。この繰り返しは、
依存症でしょうか。宝石にとり憑かれ、のめりこんでいきます。
ある夜、仕事から帰り、鍵をかけ忘れて寝転んでいるところを、隣の部屋の
男が侵入し・・・

愚かな女です。宝石は借金して買うものではありませんよね〜
有理子の生活は見てられません。救いようのない女を作者も救いません。
これ、乃南流ですか?心理描写も巧みですが、生活描写もすごいです。

乃南アサ著『家族趣味』(新潮文庫)収録の『魅惑の輝き』は38ページ。
宝石の魔力を知らない自分にほっとした14分。
とり憑かれるって、怖いです・・


☆今夜、晴れていたら 夜空を眺めてみてください。
 ふたご座流星群に会えるかも知れません。





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