ホームステイ先のホストファミリーの方に会った。
えっ、なんで? カナダにいるんちゃうの? そう思われるだろうが、実はこれにはワケがあるのだ。
先日もお話したとおり(12/7と12/8参照)、バンクーバーでお世話になるホストファミリーさんは、マユゲが通っていた矯正歯科医さんのお知り合い。そしてそのご家族はバンクーバーに住む日本人なのである。さらにそのご家族の旦那さんは最近日本でのビジネスを始められたとのことで、現在「来日中」なのである。そしてなんと彼はクリスマスには家族の待つバンクーバーに帰り、年明け再来日するという。ちょうどマユゲがバンクーバーのお宅にお邪魔するときには、ご主人は日本にいることになるそうだ。これは言ってみれば、お留守中にご厄介になるということ。
先方にしてみればマユゲは、知り合いの歯医者さんの患者とは言うものの、齢(よわい)三十を前にして無職という、どこの馬の骨かも分からない男。これでは先方もご心配なのではないか?
これはいかん。不肖マユゲ、これでも礼節をわきまえたるニッポン男児。会えるチャンスがあるのならば、ここは是非とも実際に会ってご挨拶をせねば。
というワケで、まずは直接この間抜け面を見てもらうべく、カナダへの帰国前の忙しい時間を無理を言って割いていただいたのである。
待ち合わせは、都内某駅改札を出たところのベーカリー前。気持ち良く晴れた日曜日の午前中。年の瀬とはいえ、どちらかといえばのんびりとした雰囲気だ。少し早く着いたので近くのコンビニを探す。一応用意してきたレジュメ(英語版履歴書)をコピーしておこう。まずはこちらがどんな人間かを分かってもらうのが今日の主旨である。
約束の時間の少し前になって公衆電話から携帯に電話を入れると、先方はもう既にベーカリーの前に来ているという。その場所を見てみると何人かの人がいたのだが、そこは雰囲気で何となく分かるもの。それらしき人に声をかけると、やっぱりビンゴ! ホストファミリー氏は、笑顔の爽やかな若い男性であった。若いといってもそれは醸し出す雰囲気のことであって、実際は三十代後半(?)といったところだろうか。電話の声からするともっと年上の人のイメージであったが……いい意味で年齢不詳な人である。
さっそく連れ立って駅ビル内の喫茶店へ。実はこの後、コーヒーを飲みケーキを食べながらなんと結局三時間近くも話し込んでしまったのであった。つまり彼はとても「話をしやすい人」なのである。「聴く耳」をお持ちであると同時に、言うべきことはしっかりと言ってくれる。初めてお会いしたというのに、マユゲ的には勝手ながら「意気投合」させてもらった。
マユゲのやってきた仕事のこと、さかのぼって学生時代のアメフトのこと、バンド活動のこと。そして旅行のことも。もちろんこのサイトのことも話した。
これからの話としては、今不安に思っているアルバイト探しや語学学校選びといった話題に始まり、その後の人生について考えていることまでも熱く語ってしまった。そのなかで、「手に職」をつけることができる専門学校に通いながら英語を勉強する手もあるというアドバイスをもらい、鼻息を荒くする。
英語の上達法で手っ取り早いのは、ネイティブスピーカーの彼女をつくるというのが一番、なんていうアドバイスもあってさらに鼻息が乱れる。帰国後会った友人の多くから「青い瞳のカノジョできた?」と言われ続けてきたが、世界をあちこち歩いてみた今も、やっぱり日本人の女の子が好きだということには変わりはない。でもな、この際変な決め事はやめて、こちらの面でもフラットな気持ちでかまえてみるとするか……。
一方、先方の仕事、ご家族の様子、街の様子についても伺った。聞けばなんと家から車で十五分のところにゲレンデがあるというではないか。メチャメチャ近い。娘さんたちもよくそこに滑りに行くそうだ。せっかくカナダに行くのだから一回ぐらいはスノボーしよ、なんて考えていたのだが、これなら毎週なんてことも有り得るぞ。夢は膨らむ。
改めて費用や生活ルールなど、条件面の話についても聞かせてもらった。ステイさせてもらう期間については最終的には現地にいらっしゃる奥さんと話し合って決めることになるのだが、聞けば聞くほど一週間だけの滞在ではもったいない気がしてきてしまう。それほど魅力的な環境なのだ。まぁ、先方のご都合もあるだろうし、マユゲ的にもネイティブ・スピーカーとアパートをシェアして住むという計画があるしで、どう転ぶかは現時点では分からないのだが……。
時間はあっという間に過ぎた。ホストファミリー氏にお礼を言って別れ、気持ちのいい午後の歩道を駅に向かいながら歩く。仕事探しなど苦労しそうな要素もあるにはあるが、何といっても「楽しみ」だ。この先どうなるか分からない俺の人生。まったくお気楽な話だが、今はそれが「楽しみ」でしようがない。
また、新しい生活が始まる。
2001年12月16日(日)
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