Sotto voce
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2008年08月01日(金) 秘密と痛みと。

朝もやの中で
己の欲情の赴くままに身体を重ねた
すべてを終えたとき そのひとは


また秘密を作ってしまったね と呟いた


互いの脳裏に去来する 一人の女性の影
彼にとっては 一途に思い続けた愛しいひと
私にとっては どうしても超えられない恋敵

朝もやの中での出来事は
私たちの心の奥深くに
沈めておかねばならない裏切りの証

十二時間後 彼は愛しいひとと会い
焦がれ続けたその身体に
己の欲情のありのままをぶつけ

私は 手に取るように見えるその情景を思い浮かべては
増すばかりの彼への恋情との葛藤で眠れぬ夜をすごす

昨日までは うんざりするくらい鳴り続けた彼専用の着信音は
今夜からしばらく ぴたりとやむのだろう

そして私は明日も明後日も
何事もなかったかのような顔をして二人と会う

人目をはばからずいちゃつき続ける二人を
歯がゆい思いで眺めつつも
それを「妹分」としての笑顔で塗りつぶしながら
奇妙なトライアングルの一角としてそこにいるのだろう

彼が彼女にありったけ注ぐはずの欲情の一部が
この身体にぶつけられた
彼に刺し貫かれた快楽と心の痛みをまだ残したまま


安積 紗月 |MAILHomePage

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