風のひとり言
kaze



 卒業

今日は長男の卒業式だった。
会社を午前中のみ欠席し、式に参列をした。

昨日の温かい陽気とはうってかわって冷たい雨の降りしきる日。
いかにも長男の卒業式らしいと感じた(笑)
肝心な時に雨を降らす長男も、
無事に小学校を卒業することになった。

彼はこれから中学校に進む。
彼の先にはどんな未来が待っているのだろうか?
そう思いながら息子を見ていて、ふと心に去来するものがあった。

女房に言わせれば、ここ1年、息子の様子がおかしかったと言う。
やけに怒りっぽくなったり、急に塞ぎ込んだり、物にあたったり・・・
思春期にありがちな、成長過程においての本人の焦りや葛藤、
ジレンマなどがきっとあったのだろうと想像できる。
6年生と言う最高学年に身を預け、与えられる責任と無言の重圧、
そして卒業を控えての級友たちとの別れや、
中学に進むにあたっての期待と不安など。
そんな色々な感情が彼を包み込み、
それに押しつぶされまいともがいていたのではないか?
自分の前ではそんな姿を微塵も見せていなかったのは、
単に父親である自分が無関心であったのか、
それとも彼が苦悩を背負い込んでいたのか・・・どちらかであろう。
少々父親として反省しなければいけないかもしれない・・・

もう一つ思い当たる節がある。
それは昨年の今頃に行った、引越しによる転校。
親の都合によった転校が、想像以上に彼を苦しめたのかもしれない。
卒業を1年後に控え、5年間一緒にいた友人たちと強制的に離されることは、
口では理解をしている風を装っても、
頭の中では割り切れない、納得できない部分があったに違いない。

そういえば・・・とさらに考える。
自分自身も親の都合により、小学校5年生に上がる時に転校をした。
幼稚園から仲間だった友人らとの別れが、この時であった。
両親は、
「○○はすぐに誰とでも仲良くなれる性格だから大丈夫だよね?」
「別に外国に行くわけではないのだから、会おうと思えばいつでも会えるんだし」
「新しい友達が増えるんだよ」
などと口々に言う。
それは、ともすれば抵抗をしそうな子供に対しての、抵抗を無くすための説得。
自分でも単純に親の言うことに「そうか」と半ば納得したものの、
何か割り切れない思いをしたことを思い出した。
結局、子供のそんな本当の気持ちを察しず、
親としてそうなることを強要するために、詭弁を繰り返していただけで、
何の解決にもならなかった。
案の定転校後・・・かつての友人たちとは中学入学を境に、コンタクトが途切れた。
勿論これは自分のせいでもあるんだけど・・・

結局・・・自分も両親から受けたことと同じように、子供に強いた。
同じような詭弁を吐き、納得してもらうように努めてしまった。
その結果が・・・子供の心の中までを充分に理解してやれなかったということなのだろうか?

一体・・・どんな選択が正しかったと言うのだろう・・・
それは今でもわからない。
子供は年々成長して行くし、3人の子供のよきタイミングを計ることなど、
事実上不可能だった・・・(と思う)

過ぎてしまった過去を恨み、固執し、悔やんでいても前には進めない。
だからこそせめて息子には、
過去を振り返らずに、前を向いて歩いて行って欲しいと強く願うばかりである。

卒業おめでとう。




2003年03月25日(火)
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