風のひとり言
kaze



 伯父

私の母親は三人姉妹の末っ子だった。
長女夫妻と次女夫妻が、自分の母親と関西で一緒に暮らしていた。
その祖母が今年の正月に亡くなった。
そして・・・

長女の旦那さんである伯父の訃報が舞い込んだのは、今朝の10時過ぎ。
解離性大動脈瘤の破裂により、
一度も意識を回復することなく逝ってしまったようだ。

長年にわたって義母の面倒を見てきた伯父は、
正月にその大役からようやく解放され、
これからやっと夫婦の時間を持つ事が出来る矢先の出来事。
残された伯母の心中を考えると、
かける言葉も見つからない。

伯父の人生はどうだったのか。
定年後の人生に待っていたものは、
心豊かな老後ではなかったのではないだろうか。

8年前に突然襲った阪神大震災により、長年住んだ家を追われた。
それまでも義母の面倒を見続けていた夫妻は、
一念発起して家を建て、階上に義妹夫婦を住まわせた。
そして3年程前・・・
まず妹夫婦の旦那さんが倒れた。
そして今年の正月に祖母が逝き、
今回運命の矢は、伯父本人に向けられたのだ。

伯父の人生に物申すつもりもない。
伯父の人生であり、自身がその選択を行ってきたのだから、
そこには間違いなどあるはずがない。
そしてまた、色々と悔いが残ったであろうと言われる中で、
そんな悔いなど残らず、伯父自身の天寿を全うしたのだと考えたい。

人生に起きる出来事は全て偶然のようでありながら、実は必然である。
おそらく伯父の死もまた、なるべくしてこうなった結果であると・・・
将来においてその必然の意味が解明されないとしても、
少なくとも自分はだけはそう思っていたい。

人はいつか必ずその時を迎える。
人によってそれが早いか遅いかはあろうが、それもまたその人の天寿。
そう言いつつも、年老いた自分の両親を見るにつけ、
その時が確実に迫っているのだという思いもある。
もっともその時を迎えるのに、確たる順番など存在はしないが・・・

伯父の冥福を心から祈る・・・




2003年03月26日(水)
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