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コンクール■2002年12月07日(土)

「先生、今日機嫌良くない?」

昨日の指導の時、生徒にそう訊かれた。

そう見えるかな?

「うん、なんかいいことあったんでしょー?言ってみてよ?」

いや、なんにもないよ。





彼女に会う前までの不快は、僕の顔には現れていなかっただろうか?





数学。

生徒は風邪薬を飲んだため、頭の回転が今ひとつ。

順調に解けなくなると、すぐこたつ布団の中に隠れてしまう。

「眠いんだってばー。やらなきゃいけないのは分かってるって。」

最後は彼女に合わせて、僕もうつぶせになって解き方を教えていた。

ありえない光景…。

解説が終わると、しばらくの間、彼女はくたーっとして動かなかった。

おつかれさん。





「もういい、私、充分頑張った。もう勉強しない。」

一人前に受験生らしい憂いを感じているみたいだ。

そういうとこ、かわいいよ。





生徒は、幼稚園のころから(それ以前からかも)習ってきたピアノのレッスンを辞めると言い出した。

彼女は来年の3月のコンクールを節目として選んでいた。

「だって、大学入ったら忙しそうだし、プロになるわけでもないから。」

じゃあ、最後くらいは演奏を見に行こうかな?

僕がそう言うと、彼女は絶対にいやだー、と言った。

知っている人に見られていると思うと、意識しすぎて上手く弾けなくなるそうだ。

「こう見えて、私、結構、小心者なんだからね!」

そーですかぁー?






3月のコンクール、か。

いい演奏が出来るといいね。

今年のコンクールは休んじゃったもんな。

僕は、一年前、夜中に受けた彼女からの電話を思い出した。





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