山ちゃんの仕方がねえさ闘病記 日記一覧|前の日へ|次の日へ
中国清朝末期の独裁者として知られる西太后だが、どうも実像は世間の噂とかなり違うらしい。 「西太后」は「せいたいこう」と濁らずに読むのが正式な読み方だそうだ。まず最初にそこを確認しておきたいところだ。 筆者は前書きにおいて、本書の目的として「従前の誤った俗説や偏見を排し、彼女の生涯の真実を浮き彫りにすることにある」と宣言しているとおり、「稀代の悪女」というイメージを払拭する内容となっている。私はこの本のよって、西太后のイメージはいかに作り上げられた話や俗説などによって歪曲され、現実とかけ離れたものになっていることに気付かされ驚いた。確かに彼女は独裁者ではあったが、政治的に全く無能だったわけではない。結果的にかもしれないが、西太后こそが近代中国への扉を開いたといえるという。特に清朝末期と重なる西太后最後の十年は日清関係に大きな影響を与えている。 それまでの中国は、いろいろな西欧列強から「いじめ」を受けていたが、中国人の外国人に対する態度は、いわゆる「反日」だけが突出している。「反日愛国」という言葉が存在するくらいだ。日清戦争開戦のおり、清朝の主戦派が「反日愛国」を錦の御旗として政権を批判するの図がこの戦争で発明されたのだという。 反日の激烈さは反英や反仏、反露などとは次元が違うという。「反日愛国」という「正論」には主戦派さえ表だって反対できなかった。このような中国の反日愛国運動の特徴は、清末も今日もあまり変わっていないのだそうだ。 最近の中国は海洋において、国際法上においても明らかに独善的な示威行動を見せたりしているが、いったい彼らがどういう精神構造で「反日」を叫ぶのか、この西太后のいた清朝末期の歴史を学ぶことで見えてくることがあるという。
日曜の日経に「スマホ中毒にご用心!」という記事が出ていた。 昨今の日本にはびこっている偽装問題。事は食肉や生産地に留まらない。紙や中古家電などリサイクルしていると言いながらほとんどしていなかったり、世の中は環境に関してウソが多すぎる。 一つひとつ取り上げればきりがないが、例えば古紙のリサイクルだ。国民はリサイクルされるものと思って一生懸命回収しているのに、実はほとんどされていなかった。 もう一つ挙げるなら割り箸だ。割り箸を使わずにマイ箸を持ち歩こうという運動はずいぶん早くからみられた。しかしこれも著者が言うように、間伐材などで作られていたため、この運動が起こったことにより国内で生産ができなくなり、結果中国などの森林資源を脅かすこととなった。かつて同僚に「マイ箸運動」を一人で頑張っている者がいたが、いくら説明してもかたくなに受け入れてもらえなかった。 以前アルミ缶のプルタブを熱心に収集している後輩がいた。たくさん集めると車いすと交換してくれる団体があるそうだが、アルミ缶はプルタブだけてなく缶全体がアルミだから、缶ごと集めたほうが格段に効率が良いのは明らかだ。そういう説明のサイトも紹介してみたが、彼は全く聞く耳を持たなかった。その後も彼はプルタブのみを集め続けていた。彼はこのような誤った情報の被害者の一人なのかもしれないが、こんなのは国民みんなで気が付いてもらいたいものである。
「ヒッグス粒子」発見されたそうだ。 著者の村山斉氏は1964年東京オリンピックの年の生まれで、東京大学大学院博士課程修了。専門は素粒子物理学であり、現在東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の初代機構長をされている。理論物理学のホープである。 NHKBSで放映されている「コズミック・フロント」など最近ホットな宇宙の話題にしばしば登場している。そこで宇宙に興味津々の自分としては恥ずかしながら入門書といえる本書を手に取ることにした。ところが途中からちょっとずつ難しくなってきた。自分が学生時代から理系として過ごしてきたにもかかわらず、知らないことが多い。自分が30年以上も前に受けた講義とは違い、格段に進歩していてついていけないのだ。 おりしも本日の午後「ヒッグス粒子発見」のニュースが世界中を駆け巡った。本書執筆時点(2010年9月)では著者は「ヒッグス粒子」を「暗黒場」と呼んでいた。それはほとんど未知の物質だったのだ。それをCERN欧州原子核研究機構が発見したと発表した。CERNには世界40カ国、数千人の科学者が参加しており、日本からも百人以上が研究に加わっている。一周27kmという地下の加速器を用いて実験が行われたという。東京の山手線(一周34.5km)ほどの大きさだ。ちょうどこの辺を読んでいたので興奮せずにはいられなかった。 ところでこの宇宙物理学を難しくしているのが、、まだまだわからないモノが多いことだ。第17の素粒子といわれるヒッグス粒子は今回見つかったが、わからないモノの代表格に ・暗黒物質(ダークマター) 23% ・暗黒エネルギー(ダークエネルギー) 73% ・反物質 0% ・暗黒場(ヒッグス粒子) 10の62乗% などがある。星やガスなどの宇宙のすべての原子を集めても、宇宙全エネルギーの4.4%ぐらいにしかならないという。なんだかわからないモノが約96%もあるのだ。暗黒物質は23%、暗黒エネルギーはなんと73%もある。すべての物質には反物質が存在するはずなのに宇宙のどこにも見当たらないのだそうだ。 そして最も謎なのは、今回発見されたという「ヒッグス粒子」の「暗黒場」である。物質の質量がそれによって生まれると考えられる粒子で、宇宙全体の10の62乗%だそうだ。何のことかさっぱり意味がわからない。著者自身も謎で分からないことだらけだと言っているのだから、私たちが分からなくても当然であろう。こうして宇宙の謎はどんどん解明されていくのだろう。いずれにしてもタイムリーな読み物であったと思う。若くて優しそうな著者村山氏の今後の活躍を期待したい。
早朝4時頃、雉の鳴き声で目が覚めた。また浅い眠りに入ったと思ったら、今度は「カツカツカツ・・・」と誰かが歩く音。いったい?誰だ? この本のカテゴリを「宗教」とするか、はたまた「美術」とすべきか悩んだ。そこでやむを得ず無理に分けるのをやめ、「宗教美術」という一つの分野としてカテゴライズすることにした。 サブタイトルの「メガネをかけたようにわかる」に惹かれて入手したが、私のイメージとは違った。実際私はメガネをかけているので、「メガネをかけたように」ということは、今までぼんやりしていたものがクッキリ見えるようになるというイメージだ。 ところが今回私がこの本でクッキリわかるようになったのは、「仏」は大別すると4種類の、「如来」、「菩薩」、「明王」、「天部」に分類される。また、像の「姿勢」の違いでは、「立像」、「半跏像」、「座像」があるということぐらいか。 後半は仏像の「見方」からは離れてしまい、何ヵ所かの秘仏を訪ねる旅の特集になってしまった。普段見られない所を紹介してもらっても「見方」の参考にはならないのではないか。中には寺で出す料理まで写真入りで解説している。 なんだか別なものを買ってしまったような気がした。 テレビ討論などの論客として良く知られる著者の金美齢氏は台湾の出身である。もうすぐ80歳になろうかという彼女は、70歳を過ぎてから日本国籍を取得したそうだ。台湾で日本の統治に触れ、その後日本に留学した彼女のメンタリティは日本人以上に日本人だと言える。 本書の中で彼女は日本人に対して数々の警告を発している。それはいちいちもっともである。我が国には今や個人主義がはびこり、昔ながらの連帯感や仲間意識、また日本人の得意であった団体行動などがどんどんすたれてしまった。特に中国に関しての忠告は聞くに値する。彼女が台湾出身であるだけに、余計に説得力を持つ。 「中国人に一歩譲ったら、二歩攻め込まれる」 そうだ。尖閣諸島沖の事件が良く物語っている。また、「無孔不入 無悪不做」という諺があるそうだ。“つけ入る隙のない孔(穴)はなく、できない悪事はない”という意味だそうで、最近流行りの「愛国無罪」に良く似ていないか。かの魯迅も「打落水狗」という言葉を残している。“水に落ちた犬は叩け”という意味だそうだ。 今や中国は太平洋上のあちこちで強引に進出を図りトラブルを起こしている。我々日本人はただの「お人よし」にならないよう気をつけなければならないのだ。金氏のような人たちが警告を発してくれているうちにである。 朝鮮と清朝の関係は陸続きで国境を接しているだけに微妙である。隣国とはいえ我が国と両国との関係とは大差がある。 朝鮮王朝が清朝に対していかに苦労したかが見えるようにわかった。「属国自主」を掲げ、朝鮮は清に対して儀礼的朝貢はする「属国」であるが、政治的には「自主」であることを貫こうとする。それに対し清は徐々に干渉を強めていく。そしてそこに日本が介入しなければならなくなっていく。 教科書では教えてくれない、日清戦争へ向かう経緯などがよくわかり、近代の日清韓関係を知るのにとても良い著作だと思った。また、この手の著作は偏向する傾向があるらしいが、本著は大変中立的立場で書かれていると思われた。 半分以上がコミックだとは知らずに購入した。面白そうなテーマはたくさんあるものの、掘り下げがあまり深くないので物足りない。 フューチャー・サイエンス・シリーズを自負するなら、コミックなどにページを割いていないで、個々のテーマをもっと深く掘り下げて欲しい。それぞれちょっとずつ半端な印象が拭えない。
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