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わたしは、さみしくて仕方ないのに 一人でいるのが好きだ。 誰かと齟齬が生じて、あれこれ悩むことを思うと よほど一人でいることの方が我慢できる、というか馴染める。 昔は、一見そつなく行動できていたみたいなので、 それ程、不器用には思われていなかったと思う。 でも、本当は人との関わり方が上手にできない。 思えば、子供の頃から違和感に翻弄されて生きてきた。 付き合いのお酒やカラオケも、 相当、頑張って適応しようとしたものだ。 いつも心の中で、良いの悪いのと 葛藤が生じていて、ひとりで草臥れてしまう。 最近は機会がないけれど、スキーも、焼き肉も、 よく一人で行ったものだ。 一人で食事する時は、かえって焼き肉の方が楽だった。 三軒茶屋では、初めて断られてしまったことがあったけど、 中学生の頃から、わたしは一人で渋谷の紳泉の朝鮮料理屋で テレビを見ながら親父のように、ビビンバや焼き肉を食べていた。 そんなわたしだけど、免許を取って車に乗るようになって まず、感じた事は、風景に直接触れることのできない、 金魚鉢の中にいるようなバーチャルな 何とも言えない孤独感だった。 電車に乗ったり、歩いたりの日常生活の中では ほとんど寂しいと感じたことのなかったわたしが 飢(かつ)えていると思う程に、 人と接触したいと節に望むようになった。 車って便利だけど、物凄く寂しいものなんだ。 何人と乗っていても、意外な展開は起こっても遠くからしか来ない。 自分は自分でしかない。 他の要素の入り込む隙や、反省したり揺らいだりが、全くない世界だ。 一瞬で風景は過ぎていくし、見えている人々は 車という鎧を着たまま過ぎていくばかりだ。 ところが、自分の足で歩いていると、 面白い程に、いろいろなものと出会える。 お店や草花や土や風を、じかに身体で感じることができる。 深い繋がりでは、もちろんないけど、 小さな失敗をしたり、何気ない視線のやりとりで 心に残る瞬間に肌で出会える。 わたしがO型のせいだからか? もう、何年もそういう なんてこともない出会いに触れたことがない。 街が遠のいてしまった。 風も遠のいてしまった。
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