ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ |
Mail Home Bbs |
Back Index Next |
2002年03月24日(日) | 愛についてパートスリー |
その日一日待っても丹羽は帰らなかった。 わたしは丹羽を待つのをあきらめ、うちに帰った。 途中のコンビニでお弁当とお茶を買う。日本代表のユニフォームの形の物にしようと一瞬思っが、中身がわたしの好みではなかったのでやめて、サンドウィッチ(イッチと書くよりウィッチと書いた方が、わたしにはおいしそうに見える。なんとなく、バターがたっぷりと塗られている感じがする)を買った。 夕飯は、椅子の上で膝を立て、フィギュアスケートをみながら食べる。 テレビの中で綺麗な男の子が踊り終え、わたしが卵サンドを口に運んだ瞬間、インターホンがなった。 丹羽だった。 「もしもし、ぼ、ぼ、僕だけど。ちょっと入れてくれる?」 やだ、とわたしが言うと、そう、とだけ言って丹羽は立ち去った。そういう男だ。 玄関の覗き穴から外を見たけれど、丹羽はいなかった。なんとなく、この間観たアメリを思い出した。 わたしは丹羽を追って外に出た。 丹羽はマンションの前の横断歩道の信号が青になるのを待っていた。車なんて通ってないのに。 「まってよ!」 わたしは叫んでみた。大きな声を出したかった。 「なに?」 丹羽はいつものやる気のなさそうな声で答えた。 「何があったわけ?昨日から」 「なんかね、いろいろあったんだ」 「いろいろ?」 「秘密」 丹羽が何かを隠すところなんてはじめてみる。 「いいけど、別に。言わなくて」 丹羽が赤信号を無視して横断歩道を渡りかけ、真ん中あたりでとまった。白と黒の縞々の白の部分に立っている。 「ねぇ、ありがとう。僕いろいろ考えたんだ。僕、どうやって死ぬかとかどうやって生きるかとかそんなことはずっと考えてたけど、死んだ後どうなるかとか、これから生きててどうなるのかとか、考えたこと、なかった」 良くわかんない、けど、わたし初めて知った。丹羽も生きた人間だってこと。 わたしはいつも拒絶してきた。自分以外の人間も傷ついてるとか考えてるとか、認めたくなかった。 トラックが、丹羽のもとへ走ってきた。 クラクションを鳴らし、邪魔だよ、と叫んで丹羽の横をすり抜けていった。 丹羽は間抜けな顔でトラックを見ていた。 「バカじゃないの?」 わたしが言うと、丹羽は歩道の脇にある空き地から石を拾って遠ざかるトラックに投げつけた。けれど、石はトラックには届かず、冷たいアスファルトの上に落ち、音を立てて弾けた。 丹羽は二つめの石を拾い、また投げつけた。 みっつ、よっつ、投げていく。 わたしも真似して投げる。 トラックが走り去ってもわたしたちは子供のように石を投げていた。 おしまい サイトはじめてから反応、ないんですね。 もう、全然☆って感じ。星つけちゃうよ。マジ。 さみしいからさー、つまんねーとでも言ってよ!メールフォームならバッチしこよ。 アドレスの所、ばれたくなければ、なんか適当に書いてよ。 おねがいでしたー |
Design by shie*Delicate Erotic
thanks for HTML→HP WAZA ! thanks for photo→K/K ![]() |